オルチア渓谷の小さくて愛らしい村 Pienzaに別れを告げて、フィレンツェへ向かう。 車はトスカーナの田舎道をのんびりとしばらく走ってから高速道路に合流した。 高速道路はだいたいどの国も同じような感じで変化はないが、制限速度が130キロのこの高速道路をみなさんものすごいスピードで走るのには参った。全員が制限速度をはるかに超えているのだから凄まじい、制限速度で走行車線を走る車は大型のトラックか、ものすごい老人か、我々くらいのものだ。 そういう訳で渋滞は追い越し車線でまず発生するのだ。
私にとっては手に汗握る運転で高速道路をひた走っていると、フィレンツェが近くなるにつれて逆方向の車線が大渋滞になってきているのに気がついた、バカンスシーズンが始まって都会から出てゆく車で大渋滞発生と前夜のニュースでやっていたのを思い出した。 B&Bの主人アンドレが「フィレンツェに向かって北に行くのは大丈夫混まない、逆方向は毎年この季節は大渋滞だけどね」と言っていたのを思い出した。
高速を降りてからのややこしい道をカーナビの指示通りに進む。 ガソリンスタンドを見つけて満タンにしたらすぐにフィレンツェ空港に到着した。 20年前にフィレンツェに来たときにダウンタウンが狭くて一方通行だらけ、そこに車が殺到して大渋滞という風景を目にしていたので、今回はレンタカーの返却先をダウンタウンではなくて空港オフィスにしたのだ。
空港でレンタカーを返却、同じグリーンのサインがある「別の会社の駐車場」に車を停めてしまい、Europcarの係員に「場所が違うでしょう、お客さん!」とぶつぶつ言われながらもダメージチェック、「No Damage」でサインすることが出来た。 初日につけてしまったバンパーの傷は「この程度は問題なしと認識」したのか「他社の場所に停めたので早く移動したくてチェックが適当になり見逃したのか」、私にはわからないが多分後者だろうと思っている。
空港から路線バスに乗って駅まで移動した。 駅から歩いてすぐの場所にホテルはあった。 ホテルで一休みしてから早速大聖堂を見に行く、 20年振りのフィレンツェの街並み、華やかな雰囲気はほとんど変わっていないような気がした。
大聖堂広場はあとからゆっくりと見ることにして、Internet経由で予約してあったウフィッツイ美術館に行った。 美術館が閉まる時間が近かったのだ。 自宅のプリンタで打ち出してあった予約証明を出すと即チケットを渡された、チケット引き換えにはパスポートが必要と言われていたが、実際はまったくその必要がなかった、まったくいい加減なものだ。
一番見たかった「ダ・ヴィンチの受胎告知」を見たがやはり素晴らしい作品だった。 天使の羽の質感と衣服のヒダの様子が人間業とは思えない迫力で迫ってくる。 しかし驚いたのは美術館の中の人の多さだった、以前は入り口で入場制限をしていたが一旦入ってしまうとゆっくりと落ち着いて見ることができた記憶があったのだが、今回は事前予約して入場したにもかかわらずものすごい人数が美術館の中にいるのに驚いた。
ボッティチェリの有名な絵など人垣で見えない、そこに日本人、韓国人、中国人、**人のグループが次から次へとやってくるものだからもう騒がしいのなんのって! とてもメディチ家が集めた世界最高のルネサンス絵画を鑑賞するような雰囲気ではない、いったいどうしたのだこの美術館は!儲け優先に方針を変えてしまったのだろうか! まあそれでも見たかった絵だけはじっくり見たので良しとしておこう。
想定外の人と騒がしさに疲れてしまい、早々に美術館から撤収してしまった。 町をぶらぶらしてから、大聖堂広場に戻りじっくりとジョットの塔やドーモを眺めていると、昔のままで変わっていないことに驚く。 でもものすごい数の観光客がこの広場にいるなぁ、よく考えると今日は日曜日で、翌日の月曜は美術館が休みなのだ。 休みの前日の夕方なので美術館はあんなに混雑していたのかもしれないと思った。
今回の旅行の最後の夜は、路地のレストランを予約して豪華ディナーと洒落込んだ。 ピサの夕食のレストランでは諦めたT-Boneステーキを食べるぞ、500gでも頑張れば食べられるぞ、と気合を入れてメニューを見る。 T-Boneステーキを発見、予想通り100gの値段が書いてある。 Pisaでは500gからしかオーダーできないと言われたので、気合を入れて、思い切って、、勢い込んでT-Boneステーキを500gオーダーした、参ったか! それを聞いたボーイは済ました顔で「1kgからオーダーしてください、500gはだめです」って言ったぞ。
しばらく交渉したが全然受け付けてくれない。 一人500gなんて食べられない、無理だと言うとボーイは「大丈夫、大丈夫、(私を指差して)あなたが700g、お連れが300gに分ければ大丈夫でしょう」なんていう。 でもどうしても食べたくて結局1kgを注文してしまった。 出てきたT-Boneステーキは、大きな皿で補助テーブルと一緒に運ばれてきた。 部屋の全員の視線が一斉に集まるのが分かる。 この巨大ステーキ、すごい眺めだ!!!!
ステーキが来る前にパスタを食べた、ワインはキャンティクラシコだがステーキに合ってとても美味しかった。 この迫力のT-Boneステーキ、もちろんとっても美味しかった。 一気に食べて食べまくって、完食したぞ。 でもね、しばらくステーキは食べたくない気分になってしまった!!!
満腹と満足、ほろ酔い気分でフィレンツェの夜のぶらぶら歩きを楽しんだ。 ブロンズのイノシシ、昼間は観光客に取り囲まれてその姿は見えなかったが、さすがに夜になると人もいなくなって寂しそうだった。
フィレンツェのホテルは都会的な高級クラスにした、空調完備でふかふかのベッドはとても快適、トスカーナの田舎、オルチア渓谷の美しい風景を思い出しながら・・・・・ 熟睡。
・・・・・・・・ The End

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