★ ピエンツァとオルチア渓谷 ★



 朝一番から(といっても既に昼になってるが)、前夜調査した場所である景色3へと向かう。 前夜にはPienzaのみやげもの屋の絵ハガキの風景を目に焼き付けて宿に戻り、苦労してGoogleEarthで同じ写真を探し出して、その座標を部屋でカーナビにインプットした場所は、Montecchielloの近くの小さな丘あたりだった。

気合を入れて走り出すと、カーナビは何と前日と同じ場所に向かう同じ道をガイドするではないか。 やはり前日の場所が景色3だったのか!と少し残念な気分になったのだがそのまま進む。 すると驚いたことに車は前日の場所を左手に見ながらそのまま通り過ぎてしまった。 しばらく走ってからカーナビは細い未舗装の道を右折しろと言ってきた。 言われたとおりに細い上りの坂道を右折してしばらく走ると、「目的地周辺です」のアナウンス。
 
車を停めて外に出てみるが、今上ってきた道しか見えないぞ。

もう少し坂道を上ってみると突然左方向に景色が開けた。

開けた方向を見てみると、何と目の前に絵葉書の景色が広がっていたのだった。 ここが本当の景色3だったのだ! 前日に景色3だと思った場所はやはり違っていたのだった。

前日の場所からすぐ近くになるが、見る方向が全く違うとこれほど違う風景になるのかと本当にびっくりしてしまった。 この景色はアングル的にこの丘の上からしか見ることができないのだ、前日もすぐ近くを通過していたのであるが、普通の道からではこの景色は(同一平面上にあるため)普通の木と道が見えるだけでまったく気が付かないのだった。

誰もいないこの丘から、絵葉書の景色の絶景を独占できたのはほんとうに幸運だった。 抜けるような青空、渓谷からのそよ風に吹かれながら気分良くこの美しい景色をずーと見ていたが、隣の農家のおじいさんと挨拶した以外は人とも会わずに、ゆっくりとした、のんびりとした時間を過ごすことができた。 1時間以上もこの場所にいたと思う。



さて、景色3を十分堪能して満足した我々は、すぐ近くの丘の上に見えていたモンテキエッロ(Montecchiello)へと向かった。 Montecchielloは小さな小さな村だった。 時間は昼下がりでシェスタの時間帯、誰も歩いていない。 この村もまた城壁に囲まれているのだが、城壁近くのベンチからオルチア渓谷の雄大な景色を目の前に見ることが出来る。 Pienzaの村が遠くの丘の上に見える。 ベンチに座って渓谷からの心地よい風に吹かれているとなんとも気持ちが良いものだ。 例よって、この小さな小さな村をぶらぶらする。 ぶらぶら、そしてぶらぶら。 まったく観光化されていない村、中世の雰囲気を今なお残す村、静かで鳥や家畜の声しか聞こえない村、メイン広場では子供達がサッカーを楽しんでいる村、こんな村をぶらぶらするのは本当に楽しい。


Montecchielloをゆっくりと時間をかけてぶらぶらし満足したので、次にモンテプルチャーノ(Montepulciano)に行くことにした。 カーナビをセットすると駐車場のすぐ横の未舗装の道を行けと指示する。 その通りに行くと道はどんどん登りになってゆくが同時にどんどん狭くなってきた。 大大丈夫かなと思いながらどんどん行く。 丘の上にあるアグリツーリズモ、見晴らしがいい場所にあるなあと感心、途中でハイキングの若者たちとすれ違いながら今度は道を下る。 細い山の中の道は突然Montepulcianoに続く道に突き当たったのだった。

なかなか渋い案内をするなぁと関心していると、その道を左折しろとカーナビ、しかし道路標識は右折となっているぞ。 どっちが正解だ、カーナビの指示通りに左折してみるとしばらく走って今度は右折と言う。 おいおい、右に道はないぞと思っていたらなんと、細い細い畑の中の道があった。 この道を行けというのか? それはちょっと無理だろう、車は通れないほどの細さだったのだ。 ここは無茶を指示するカーナビを無視して元来た道を引き返す。 ユーターンしろとうるさいカーナビを無視して標識どおりに走ると、車は無事Montepulcianoの駐車場に着いた。

さて、町の散策開始だ。 この町は急な坂道が多い。 これまで多くの山の上の町や村を回ってきたが、この村の坂道の急な度合いは半端ではない。 歩くだけで疲れてしまう。 Montecchielloと比べると規模は大きいななどと思いながら、長い坂道を上り町の中心広場に着いた。 昼下がりの町はシエスタの雰囲気で観光客もそれほど多くない。

お腹が減ったのでレストランでランチとした。 パンのスープという風変わりな料理をオーダーしてみた。 スープの中にパンが浮いているようなものをイメージしていたが、多量のパンがスープを全部吸ってしまったような食べ物でもはやスープの液体は残っていない。 見た感じは不味そうだったが、食べてみるとでもこれがなかなか美味で驚いた。 このパンのスープはこの地方の名物料理だと後から知るのであったが。

さて、お腹を満たして落ち着いたので、広場に面して建っている市庁舎のテラスに上ってみた。 市庁舎の入り口から大理石の立派な階段を上ると3階に受付があって4Euroだという、ひとり4Euroは直感的に高いような気がしたが支払ってしまった。 テラスは・・・ たいしたことがない、高くもないし景色もそれほどではない。 このテラスは早々に撤収することにした。

テラスから戻り村をぶらぶらする。 坂道を行ったりきたりする。 メイン通りには多くのワイン屋があって、この村の名前が入ったVino Nobile di Montepulcianoというワインを売っている。 前夜にこのワインをグラスで飲んだのだが、深い味が印象的で美味しかったのを思い出したので思わず買ってしまった。 日本へ持って帰ることを考えハーフボトルにした。

坂道を歩いて疲れてしまったので、まだ早い時間だったがPienzaに戻ることにしてこの坂道の町に別れを告げた。 Pienzaに戻り宿で一休みしてから村をぶらぶらする。 土曜にのせいか前日より観光客が多くなっているような気がした。 昼間に買ったVino Nobile di Montepulcianoに影響されたのか、急にMontalcinoの有名なワインであるBrunello di Montalcino を買いたくなってきた。 この村の多くの店ではいろんな種類のBrunelloを売っているが、ハーフボトルはなかなか見ない。 メイン通り客足が絶えない店でハーフボトルを見つけた。 でも値段が高い、他のワインの倍以上するのだ。 散々悩んだ挙句、二本も買ったら鞄にに入らないと思い込むことにして買うのを諦めてしまった。

夕食は入り口門すぐのLunaというレストランに行くが、早い時間にも係わらず既に満員気味。 ボーイには予約で満席とさらりと言われ驚いた。 後日判明したことではあるが、この店は超有名店で週末はもちろん平日でも常に満席という店だったのだ。 土曜の夜に予約なしでは無理だったということだ。

仕方なく、すぐ近くの前夜行列ができていたレストランにいった。 ワインを買わなかったので悔しい気分で、Brunello di Montalcino をグラスでオーダーする。 グラスでも他のワインの倍の値段だがどうしても飲みたかったのだ。 Brunello di Montalcino は Vino Nobile di Montepulcianoとはまた違う上品な味がした。 とてもとても美味しくて大満足、これが有名なブルネロの味かと納得した。  英語ができないおじいさん店員と苦労してオーダーを決めたが結局違う料理が出てきたり、隣のテーブルの老夫婦がすごく大きなT-Bodeステーキをぺろりと食べるのをみて驚いたり、楽しい夕食だった。

食後に、またまた村をぶらぶらしてから宿に戻った。 今日はMontepulcianoへ向かうときにカーナビがおかしな指示をして参ったなと思い出しながら、翌日のフィレンツェまでの道順と時間を確認していたら、4時間以上かかるという表示が出てきた。 それはないでしょうと、ルートを確認すると信じられないことに一般道ばかりを選んで通るルートになっていた。 高速道路があるのにどうして乗らないのだと怒っていたら、急に何かを思い出してカーナビの設定を確認した。 なんと「徒歩自転車モード」になっていたのだった。

未舗装の山の狭い道を指示したり、畑の中の車が通れない道を行けといったりしたのは、この設定が原因だったのかと納得した。 よく今日一日この設定のままカーナビを使って無茶なことにならなかったな、ラッキーだったなあと思った。 設定を元に戻して再検索させると、高速道路を使う最短ルートでフィレンツェまで2時間という表示が出た。 これが普通でしょうと安心した。 東欧では、カーナビを過信した運転手が通行禁止のサインを次々に無視して進み、気が付いたときには車は湖に突っ込んでしまっており、命からがら脱出したという話を聞いたことがある。 おー怖!





・・・・・・・・ to be continued


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