山の中の村ドルニイから幹線道路へ出る道は、予想通り対向車が多かった。 これからあの観光客でごった返す場所へ向かう車だろう、ご苦労さんという感じでこちらはガラ空きの道を快調に走る。 駐車場のお兄さんと山道で料金を取っているおじさんのぼろ儲けして笑っているであろう顔が目に浮かぶ。
ホテルの駐車場代を踏み倒して少し気分が良くなったが、イメージしていた静かで美しい村とのギャップが大きすぎたことと、朝から部屋に閉じ込められたことで、期待が大きかっただけにショックが大きい滞在となってしまった。 時間は十分にある、途中で大きなスーパーマーケットに寄って買い物したりしながらワルシャワへと向かう。
途中までは快晴の中での快適なドライブだった。 ところがワルシャワが近づいてくるにつれて、無茶な運転をする車が増えてきて、ワルシャワまで60キロくらいから恐ろしいカーレースを体験することになってしまった。 すっかりこの国での運転に慣れたと思っていたが、その考えはまだまだ甘かったことを思い知らされることになる。
ひたすらまっすぐな道で、遅い車は路肩に寄って走り、早い車はガンガン追い越しをかける。 交通量が多くなるワルシャワ近くでは、2車線の道路に4台の車が瞬間的に並ぶという恐ろしい状況が普通に起こることになる。 普通に走っていると対向車線から追い越す車がセンターランオーバーしてくる、路肩に寄れば簡単によけられるのだが、そのとき路肩に遅い車が走っていたり自転車がいたり歩行者がいたりすると路肩には寄れない、対向車はそんなことにはお構いなしにこちら車線へはみだしてくる。 これが恐怖の一瞬で、その度に冷や汗をかきながら運転する状況となり、本当に疲れ果ててしまった。
今回の車はオペル(Opel)のコルサ(CORSA)で1400ccの真っ赤な奴、昨年ポルトガルで借りた変な色のバンに比べると100倍は格好いい。 5速マニュアルでエアコン完備のこの車は、走行距離が5000キロ程度でほとんど新車状態、加速もよくてハンドルも軽やか、久しぶりにマニュアル車を存分に走らせることが出来て満足のドライブとなった。 走行距離はクラクフからワルシャワまであちこち寄りながら5日間で700キロ以上、ポーランドの平地を存分に走破した快感が残っている。
恐怖の運転をしばらく続けてからやっとの思いでワルシャワ市内に入った。 地図を頼りに少し迷いながら複雑な街を走り抜けて、ようやく予約していたホテルに無事到着して今回のドライブは終了した。
ポーランド最後の夜は少しおしゃれにゆこうということで、ホテルは5ツ星を予約、夕食は高級レストランへ行った。 旧市街近くのメイン道路沿いの地下にあるレストランは雰囲気最高、ボーイも感じがよく料理も美味しかった。 ワインも上々で料理も上品、しかしこの店で一番美味しかったのはやはりジャガイモだった。
何度も螺旋階段を4階や5階まで重い荷物を持って昇り降りしたり、電話が通じないとホテルのフロントとやりあったり、スピード違反で捕まりそうになったり(後からレンタカー屋のお兄さんに確認したら、日本円で数万円の罰金だったとのこと、あなたは超ラッキーだったねと言われた)、その日の朝には部屋に閉じ込められたりした後だけに、そしてポーランド語のメニューに悪戦苦闘したり、暗い暗いレストランで夕食を食べたり、ワインを造らないこの国なので毎日ビールばかり飲んだりしていた後だけに、高級レストランの雰囲気や素晴らしいワインや5ツ星ホテルの充実した設備の素晴らしさがいつもにも増して実感できるのであった。
この高級レストランで、楽しかったポーランド旅行の思い出を話しながら、ワルシャワの夜は更けていった。
・・・・・・・・ The End

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