愛、そして復讐



 アフォンソ4世の王子のドン・ペドロは、隣国カスティリアから迎えた妻の侍女のイネス・デ・カストロと激しい恋に落ちてしまった。

 しかし、父王のアルフォンソ4世はこれに激怒し二人を引き離しにかかる。 密会を続けた二人であったが、彼の妻コンスタンサが亡くなった後も父王は二人の結婚を承諾しなかった。

 隣国のカスティリアからの圧力を警戒した父王とその重臣たちは策謀を企てて、1355年にイネスの喉を切り、殺してしまう。 彼らはこの恋人たちが既に極秘に結婚していたことを知らなかったのだ。

 2年後に父王が他界すると、王子はペドロ1世として即位する。 彼はイネスを正式な妻として認定し、教会にも認めさせる。 そしてイネス殺害に加担した者を捕まえ、彼らの心臓をえぐり出して食べることにより復讐を果たしたのだ。 さらにイネスの遺体を掘り出して化粧を施し、絹の衣装と王冠を付けさせると、居並ぶ重臣たちに対しこの王女の腐敗した手に接吻させることにより忠誠を誓わせたのであった。

 ペドロの命令により、彼の棺とイネスの棺はともに足を相手に向けて安置されている。 最後の審判が下り再び起き上がるときに、最初に見るのがお互いの顔であることを強く望んだのである。





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