★ アルコバサ、オビドス ★



 バターリャを出発した車は快調に走る。 目的地オビドスまではそんなに距離もないので途中の町に寄りながらドライブすることにした。

車はスイスイと走り、あっという間にアルコバサへ到着した。 この町には世界遺産に指定されている有名な大聖堂がある。大聖堂前の駐車場に車を停めてさっそく目指す大聖堂へと行ってみる。 この大聖堂はペドロとイネスの物語でポルトガル中にその名を知られている。 彼らの向かい合って設置されているという棺は確かにガイドブックとおりの位置にあった。 

この日は土曜日ということで、大聖堂の中では結婚式が行われており多数の出席者でごった返す大聖堂を早々に後にしてひと休みできるカフェを探す。

大聖堂の前の道でワインショップを見つけたのでひやかしに入ったら、意外ときちんとした店でポルトワインのLate Bottled Vintageの試飲をしたところ、この1996年ものがとても美味しくて思わす購入した。 本場のポルトで買わずにここで買うか! と自分でも驚く。 ポルトのワイン工房の試飲はTawnyとBlancoばかりで味もいまいちという感じだったので買わなかったのだ。 あそこでもVintageを試飲させればよいのにと思った。

 アルコバサで昼食を済ませ、オビドスへと向かう。 オビドスに近づいてきたのは、遠くから見える小さな城壁がどんどん大きくなってくるのでわかる。 オビドスは今回の旅行で一番楽しみにしていた場所なので期待に胸が踊る。 町に入りボザーダの標識に従い細い道を上ってゆく。

坂道を登りきったら城壁の端だ、車一台がやっと通れる門を通ると古城が見えた。 その古城が目指すポザーダだった。 このポザーダは古城に手を加えた高級ホテルで部屋が9室しかなく、スイートは3室でポザーダのなかでも特に人気が高くハイシーズンは予約がとれないと聞いていたので、我々は2月にスイートの予約をしておいたのだった。
案内された部屋は1つの塔をそのまま部屋にしたスイートだった。 塔の階段を昇ると入り口がある。 入り口の部屋はリビングとバスルーム、狭い階段を上がったところに天蓋付きのベッド、ウェウカムフルーツにスパークリングワインというまさに最高のサービスだ。 今回の旅のハイライトに相応しいこのすばらしいもてなしに感激したのであった。

さっそく城壁巡りをしてみた。 村を1周する城壁は歩くことが出来て、ところどころから下の村へ降りることも出来る。
有名なポザーダのレストランは翌日にして、この日は町のレストランへ繰り出した。 夜の8時に入ったレストランは人影もまばら、しかし1時間もすると満員、これがこの国の夕食風景なのだ。

 夕食後に観光客のすっかりいなくなったこの小さな町を歩く。 気温が下がり肌寒くなったこの小さな町を歩く。 昼間は観光客であふれていたメイン通りも、夜になると小さな外灯に照らされるだけの路地となり落ち着いた佇まいを見せる。 この城壁に囲まれた人口500人の小さな町オビドス、歴代の王や王妃に愛された可愛らしい町は、現在でもその魅力を十二分に残していることをこの夜の散策で実感することができた。

 塔の中の我々の部屋は二階構成、壁が剥きだしで下の部屋には窓がない、上の部屋には多分鉄砲用の小さな窓が三か所あるだけで極めて採光性が悪い。 丘の上の城壁のそのまた上層部の塔まで水を引いているせいか水圧が非常に低い。 つまり近代的な設備とは程遠いのだ。 その代わりに壁にかかる兜や槍、狭い階段など神秘的な雰囲気は十二分に味わうことが出来る。 それにしてもよくこんな建物をホテルにしようと考えたものだと感心する。

夜寝るときにここは塔の中なのだと思うと、昔の兵士達がここから攻めてくる敵に向かって叫ぶ雄叫びが聞こえるような錯覚に陥ってしまう。 この夜はイザベル王妃の物語を思い出しながら、この不思議な部屋で夜の眠りに落ちていったのである。


 天蓋付きベッドで目覚めた翌朝、寝ぼけ眼をこすりながら落ちないように気をつけながら狭い階段を下の部屋へと降りる。 朝早いレストランは誰もいない、窓の横の特等席で朝食だ。 我々の部屋でもある城壁の塔を見ながら優雅に食事タイム。

空を見ると残念なことに曇り空で日がさしていない。 でも観光客がこないうちに朝の散歩をしようということで、前日とは逆回りで城壁の上を歩いた。 歩いていると徐々に日がさしてきてあっという間に快晴となってしまった、こちらの天気はおもしろい。
土産物屋の店頭でハンドメイドの亀の置物を見つけた。パイプをふかしながら釣りしてる愛嬌のある姿が気に入り自宅の玄関用に買った。
ブラブラ歩いていると昼が近くなり、観光バスが続々到着してくるとメイン通りに人があふれてきたので、ポザーダへ戻った。

 午後はゆっくりと過ごそうということになり、部屋の前の城壁の上の専用パラソルテーブルでビールを飲みながらフルーツを食べていたら、部屋掃除のおばさんが冷えたシャンペンを持ってきてくれた。 スイートは最高だぜ! とうれしくなって全部飲んでしまう。 快晴の昼真っから村を見下ろす城壁のプライベートテラスでシャンペン&フルーツとは贅沢な話だ。  すっかり酔っ払ってしまい、部屋で昼寝をした。 村を見下ろす古城のテラスで酒を飲みながら何もしない午後、素晴らしい休日となった。

昼寝から目覚めると、腹ごなしにすっかり馴染みになった町を散歩。 何故か夕方はまたまた曇り空になっている。 このメイン通りを歩くのは何度目だろうか?。 ポザーダへ戻りレストランの窓際に席をとり夕食。 ノルウェイのリルハンメルから来たという隣の席のおじさんと少しお話しした。 さすがにここのレストランはハイレベルで満足。

オビドス3日目の朝はゆっくりと目覚める。 レストランには今日も誰もいない。 このポザーダは全部で9室しかないので朝食はガラガラという訳だ。 今日も窓際の席でのんびりと朝食をいただく。 観光客が門を入ってきて写真をとってゆくのが窓から見える。 こんなに朝早くから観光している彼らは昨夜はどこに泊まったのだろうかと思う。
コーヒーとミルクと別々のポットで出てくるので好きな配分でコーヒーが飲めるのがうれしい。

重くて重厚な金色の部屋のキーを渡してチェックアウト、小さな城壁の村オビドスに別れを告げた。 


・・・・・・・・ to be continued




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