搭乗券は駅の切符売り場のようなところで受け取ったのだが、黄色い紙に行き先が印刷されているだけのシンプルなものでゲートも時刻もなんにもなしである。 日本のGH3で調べたTAROM航空のバイアマーレ行きの飛行機は17:50発であったので16:20には空港に行った。
この空港は国内のハブ空港であり日曜を除く毎日、朝と夕方に2便程度国内各地への便が出ている。 列車に比べると時間的に効率の良い移動ができる。(例えば、ブカレスト市内で別れた彼は夜行列車でサツマーレに向かうのであるが、夜7時の列車で到着は翌朝になるところが、私の乗った飛行機だと夕方の離陸でバイアマーレ経由でその日の夜にはサツマーレに着いてしまう)
ところがこの愛らしい空港は、搭乗案内掲示板には何も表示されずアナウンスもないというすごいサービス内容であった。 あちこちへ向かう便が集中して出発する時間帯らしく人はどんどん多くなってくるのであるが、バイアマーレ行きの便はどのゲートから何時に搭乗開始するのかがわからない。
17:20頃になると心配になり、やっと見つけた係りの人に搭乗券を見せて「バイアマーレ行きはどこでしょうか?」と聞くと「こちらの部屋」と方向を指さす。 「もう入れるのか」と聞くと「もう入れる」と言う。 その部屋へゆくとルーマニアの人達がたくさんいた。 全員の視線を一身に浴びながら待つこと10分ばかり、突然のアナウンスが聞こえてきた。 「あれま、アナウンスもするのだなあ」なんて思いながら聞いていると、わからないルーマニア語の中に「*****バイアマーレ、サツマーレ****」という言葉が出て来るではないか。 やっと案内が始まってよかったと考えていると、同じアナウンスを何度も繰り返す。
そのうちアナウンスの口調が何となく苛立っている様な感じになってくるとともに、トランシーバー片手の係のお姉さんがバタバタと走り始めた。「あいつらなにやってんだ」などどのんきに見ていたところ、突然そのうちの一人のお姉さんがこちらに突進してきて「おまえはどこまで行くのか」と聞くではないか。 「バイアマーレだ」と言った瞬間そのお姉さんは「オーマイゴッド」の表情を見せて、「こんなところで何してるの、あなたがいないので飛行機と乗客がさっきから待っている。 放送で何度も言っているのに!!」と言いながら私達を外へ引っ張って行く。
外には、タラップを付けた小さな飛行機とタラップの前に並んだ数十人の乗客がいた。 乗客は全員こちらを見ている。 みんな私達の顔を睨んでいる。私は「どうなってんだ、まだ20分もあるぞ、早すぎる」と言ったのであるが「離陸時間は過ぎている。 みんなさっきからずーと待っている」とお姉さんはかんかん。と言っているうちにあっという間に乗り込みが始まり、最終の私が乗り込むやいなや飛行機は滑走路へと疾走したかと思うとせわしなく離陸していったのである。
何故こんなことになったかというと、実はこの飛行機は17:25発であり、17:50という私達が信じていた時間は古い情報だったらしい。
空港には当然案内板がありフライト情報はそこに表示される。 アナウンスは必ず行われる(当然英語でも)。 ・・と羽田空港の感覚で信じ込んでいた私が甘かったのであった。 もっと早めに離陸時間を確認するべきだったのである。
でも、飛行機の前で最後の一人を気長に待っている人々ものんびりしていますよねえ。
と言うわけで、私達のために離陸が20分程度遅れた飛行機も無事にバイアマーレに到着したのであった。
・・・・・・・・ to be continued
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