パラドールで朝食、またエッグベネディクトをオーダーする、なかなか日本では食べないからねぇ。
女王様の部屋でお昼までゆっくり過ごしてから、さて出発だ。 今日は世界遺産の町クエンカに立ち寄ってからマドリッドに戻る予定なのだ。
駐車場でエンジンをかけると、なんと、オイルアラームが消えているではないか。 すごく安心してスタートする。
高速道路を北上して途中から一般道、1時間くらい走るとクエンカ (Cuenca) に到着した。 想像以上の大きな町だなぁ、久しぶりの信号にびっくりしてしまい、赤信号への反応が遅れ思わず急ブレーキを踏んでしまった。
残念なことに高速道路を走っている途中にまたオイルアラームが出ていた。 ま、まだ黄色だし(赤の場合は異常事態なので大変)エンジンオイル残量注意であることがわかったのでマドリッドまではこのままで大丈夫だろう。
カーナビには事前に駐車場の場所をセットしておいたのだが、曲がりくねった狭い坂道を走るので運転が難しいなぁ。ややこしい狭い道を走り、やっと目指す駐車場に着いたので車を地下パーキングへと滑り込ませる。 ほとんど満車だったが1台分だけ空いていたスペースに駐車することができた、今回の旅行では「残り1台分だけ空いている」ケースが多いな、今日もまたラッキーだなぁ。
そうか、今日は日曜日で快晴、マドリッドからの日帰り観光客で駐車場は満車なのだと納得した。 この駐車場は、有名な「宙吊りの家」の近くなので観光客がぞろぞろ歩いているぞ、一緒に同じ方向に坂道を登ってゆく。
左手に「宙吊りの家 (Casas Colgadas)」が見えてきた。 確かに断崖絶壁からはみ出して立っているお家だな。並んでいる家もみんな同じようにぎりぎりに建っている。
宙吊りの家を見ながら坂道をどんどん登ると、見晴らしの良い場所に出た。 目の前には橋があって、その方向の景色がすごい。 ここはウエカル川 (Rio Huecar) が流れるウエカル渓谷でその絶壁ぎりぎりに建物がずっと建っているいるではないか! 右手の大きな建物はサンパブロ修道院 (Convento de San Pablo) で今は国営ホテルのパラドールになっている。
この橋付近は多くの観光客がいて騒がしい。 この橋はサンパブロ吊橋 (Puente de San Pablo) で、ウエカル渓谷を渡ると修道院に行くことができる。 橋を渡った場所からは宙吊りの家が見えるので撮影スポットになっているようだ。
あまりの人の多さに閉口してしまい、次の目的地である大聖堂へと向かうことにした。 宙吊りの家は中に入ることができるらしいが、人が多いので避けることにした。大聖堂は更にここから階段と坂道を登る、坂道の途中のバルやレストランにも多くの観光客がいた。
大聖堂に到着、クエンカ大聖堂 (Catedral de Cuenca) は正面から見るととても大きい、いや巨大という感じだった。 入場料を払って中に入る、ちょっと値段高いと思ったが各国語の説明マシン貸出し付きだった。(日本語の説明できるのちょうだいって言ったら、ないわよって冷たく言われた)
大聖堂の中、なんだかいろいろな建築様式のものとかあちこちに絵画とか、金ぴかの部屋とかいろいろあるのだが、どうも私には「おおざっぱ」だと感じた、繊細さが感じられない。
説明の順路を無視して歩いていると、人気のない博物館のような場所に迷い込んだが、ここのベランダからは渓谷の美しい風景が一望できた。
さて、中吊りの家と大聖堂を見たのでクエンカに寄った目的は達成だ、ここでゆっくする時間はない、マドリッドへ戻らなければ。
駐車場に戻り、またまたややこしい道を走り抜けて高速道路に入る。 北へ向かう高速道路は、日曜の午後だというのにガラガラで快適にドライブを続ける。1時間くらい走ると高速道路は終点で一般道へ降りる、とすぐにまた違う高速道路に乗れとカーナビが指示する。
次の高速道路、乗った途端にびっくりした、車がいっぱいだぞ。 久しぶりにこんなに多くの車を見て思わず緊張するのであった。 この道路はマドリッドへと向かうメインの高速道路で、日曜の夕方は特に混雑するのだ。
どんどん車が増えてくるが大丈夫、ホテルまでの道は何度も運転しているので心配ない。 と思って安心していた。 複数の分岐も無事に乗り切り高速道路の出口が近づいてきた、出口に向かって進むがなんとなく様子が変だぞ。
なんと、この出口はホテルではなく有料道路のゲートに向かっているではないか! バックすることもできないので料金払ってゲートを通過した、この新しい道路はガラガラだ、すぐにバラハス空港が見えてきた。 この道路は空港までの近道だったのだ。
2年前に来たときはこの道路はなかった(と思う)、この有料道路へ続く出口(分岐?)がホテルへの出口のすぐ手前にあったので間違ったのだった。 空港を通過して再度高速道路に入る、分岐を繰り返しずーと回り込んでからまた同じ道に戻る、今度は間違わないぞ・・・と気合を入れて正しい出口から高速を降りる。
見慣れた景色に安心してガソリンスタンドで給油する、オイルタンクの蓋が開けられなくて隣のレーンのお兄さんに助けてもらいながら給油完了。 ホテルにチェックインしてからいつものように近くの El Corte Ingrés に買い物に行く。
夕食は、メトロに乗って近くの Barajas まで行く。 2年前と同じレストラン、料理も飲み物も値段が高いと感じた。 ここは都会なのだと実感した。 このレストラン、道路の横にテーブルがあって歩く地元の人たちを見ているだけで面白い。
朝はまだアラルコンにいて、古城ホテルの女王様の部屋の窓から絶景を眺めていたのに、午後には観光客で賑やかなクエンカにいて、そして夜にはマドリッドにいる。 一気に都会に引き戻された気がしてしまうのであった。
翌朝、ホテル近くのEurop carのオフィスに行く。 2年前と同じお兄さんが出てきた。 車に案内し、「オイルアラームが消えない!」とクレームした。「いったいお前の会社はどんな点検しているのだ、オイルアラームチェックなんて基本中の基本だろう!」と強くクレームする。
すると、このお兄さん真面目な顔で「おっしゃるとおり、わが社では車を引き渡す前に点検は完璧にしている」と説明するではないか。 自分でオイル残量確認したらminimumレベルより少なかった、あきらかに点検ミスだろう」というと、「スペインの南のほうは特に暑いからねオイルも蒸発するんだよ、アラーム出たらオイルを継ぎ足せば消えたのに」などと言う。
私が、「納得できない、どうしてくれるんだ!」と意気込むと、お兄さんは更に真面目な顔で「この車は国産だからなぁ、いろいろ不具合出るんですよ」「スペインの国産車はクレージーだから・・・」「まぁ、無事にここまで戻ってこられたのだから良かったじゃぁないですか」とか言う。
私が納得せずに更にいろいろ言っていると、お兄さんついに毅然とした顔でこちらに向き直り、「お客さん、ここはスペインですよ。そんな細かいことは言いっこなしにしましょう」と言い放った、あまりに真剣な顔だったので思わず笑いそうになってしまう、私は「負けた」と思い仕方なく彼と握手してしまうのだった。
・・・・・・・・ The end

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