◇ アラルコン-2 (Alarcón-2) ◇


 パラドールのレストランで朝食。 お約束の生絞りオレンジジュースとカフェコンレーチェ。 珍しくBuffeスタイルではなくてオーダースタイルだった。 フルーツと卵料理を頼んだ。 朝から古城のパティオでのんびりゆっくり朝ごはん、この幸せな時間を楽しむ。

部屋に戻り、ここに住んでいた女王様の生活に思いを馳せながら窓からの絶景を楽しんでいると、お昼になってしまう。 前日村に入る前に立ち寄った丘まで歩いてゆく。 前日と同じで、まさに絶景がそこにあった。 蛇行する川はフカル川 (Río Júcar) で丘の先端には古城要塞が聳え立つ、このお城は場所と展望を考えると理想的な要塞であることがわかる。

前日はチェックインの時間が気になりゆっくりできなかったが、今日はたっぷり時間があるのでゆっくりと写真撮影したり塔に登ったり、お城の我々の部屋の窓が見えるのを確認したりしながらのんびりと過ごす。

しかし、この景色なのに、土曜日なのに、この場所には観光客がいないのが不思議だった。 絶景を独り占めできて最高の気分になるのだった。

また歩いて村まで戻り部屋でお休みしてから、部屋のすぐ横の階段を上り城壁に行ってみる。 フロントで受け取った鍵を使い城壁へと続くドアから更に上る。 この城壁からはまた違う景色を楽しむことができた。 蛇行するフカル川がこのお城を完璧な形で守っていることがよくわかるのであった。

さて、城壁ツアーを終えて、またまたひと休みだ。 アミーゴクラブカードを提示してチェックインの時に受け取っていた「ウェルカムドリンク券」を使おう。 シェスタ時間帯で誰もいないパティオ、たくさん歩いて喉が渇いたのでビールを飲みながら、ここアラルコンの地図を見ながら中世の暮らしを想うのであった。

エアコンの効いている部屋に戻りお昼寝する。 昼下がりのお昼寝は気分が良い、やっとシェスタにも慣れてきたのだろうか。

お昼寝したので元気が回復した、まだ夕食には早いので村をぶらぶら歩く。 この村のすべての道を歩いてしまったので、インフォメーションのお姉さんが一押ししていた教会に行く。 シェスタ後のオープン直後に入場料を払って中に入ると、おっと暗いぞ。

暗くてよく見えない、中央の椅子に座っていると目が暗さに慣れてきた。 壁一面に色鮮やかな絵が描かれているではないか!

壁一面に描かれている絵は、現代的ではあるが素晴らしい色使いで、躍動感があり生き生きとしている。 壁だけではなくて天井にも全体に絵が描かれていて迫力満点。 教会の出入り口の扉や窓などはそのままで絵に溶け込んでいて目立たない。

我々の後からは誰も入ってこない、絵に囲まれた広い空間、ここはいったいどこなんだろうか、異次元空間に迷い込んでしまったような錯覚に陥ってしまうのだった。

絵というよりは「壁画」だ、ミロのようなダリのような、そしてシャガールのようで、魅力的な、スペイン的な、絵のような壁画のようなものに囲まれて、とっても不思議な感覚で、時間が過ぎる。

この美術館に1時間以上もいた、見ていてまったく飽きない、誰も来ないのが不思議だった、夏のハイシーズンの土曜日だというのに貸し切りで独占・・・ 単にラッキーだったような気もするが。

教会を出るとまだ外は明るくて日差しが強い、目の前のアルマス広場は村の中心の広場なんだけれど、誰もいない。 またまた部屋に戻る、宿が近いと便利だなぁ。 部屋で教会と絵と画家について調べる。

この教会は 洗礼者ヨハネ教会(La Iglesia San Juan Bautista)で、外からは普通の中世の教会に見えるのだが、中は教会ではなく現代絵画が壁と天井に描かれている美術館なのだった。 作者は地元の画家 ヘスス・マテオ(Jesus Mateo)で、一人で1995年から数年かけて描き上げたとのこと。 ここは1997年にユネスコからの資金サポートも受ける権利も獲得しているとのこと。


 今日は違う店で夕食にしよう。 パラドール近くの広場にあるバルがよさそうだなぁということで事前に店の前のメニューを見てオーダーする料理を決めていたのだった。

広場に行ってみるとなんだか騒がしいぞ。 なんと、店の前の小さな広場ではライブ演奏が始まっていた・・・ 観客は地元の人が中心で椅子を出して聞いている。 MC付きの楽しい演奏でみんな大いに盛り上がっている。

バルはビールやワインのオーダーで大忙し、中も外も同じでバタバタしていて、とても「夕食にしましょう」という雰囲気ではない、さて困った。

しばらくこのライブを見ていたが、大ヒットした Despacito なんかも歌いだして、どんどん盛り上がってきて、とても終わる雰囲気ではない、こちらは昼間歩き回ったのでお腹か減ってきてもう限界なのだ。

バルはあきらめて、前夜と同じレストランに向かうのだった。 前日と同じ開店直後に行くがほぼ満席、しばらく待たされて案内されたテーブルは前日よりもいい場所だった、ラッキー。 コースは量が多いので、アラカルトを注文して分けるいつものやりかたにした。

ビールは ここでも Estrella Galicia、おいしい。 ラムチョップ、オイルサーディンなどを食べた、おいしい。 デザートまで食べて満足で前日のセットメニューより安かった。

夜の村をまたぶらぶらする。 前夜と同じで家の前に椅子出しておしゃべりしている老人が大勢いた。 通りに面した窓を開けて食事している家族も多くいた。

絶賛ライブ中だった広場ではライブは既に終了しており、若者グループが夕食の最中だった、時刻は22:30、この国ではちょうど夕食の時間なのだ。


・・・・・・・・ to be continued


 



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