前日、インフォメーションのお姉さんから聞き出していた見どころに行ってみよう。 まず最初にパラドールの近くにある ギホ・デ・サンタ・バルバラ (Guijo de Santa Barbara) を目指す。
パラドールの前の道から山道をどんどん登って行くと小さな村に到着した。ギホ・デ・サンタ・バルバラは小さな峠のような場所だった。 確かに景色はいいのだが絶景と言うほどのものでもないので少しがっかりした。
山道を降りてからプラセンシアに向かう道を東にしばらく走るとユステ修道院の標識を発見。 標識に従い右折するとまた山道で、どんどん登ってゆく。 しばらく走ると、目の前に突然修道院が現れたのだった。
この修道院がユステ修道院 (Monasterio de Yuste) で、カルロス5世が引退してからの余生を静かに過ごしたところなのだ。
山の中にある修道院はとても立派な建物だ、観光客も大勢きており入場料を支払って中に入ると見学コースが設定されており部屋や中庭を順番に見学することができる。 カルロス5世の部屋などもそのまま残されており興味深い。
この修道院は手入れがとても行き届いており、建物の外観、内装、そしても中庭も芸術的な美しさを保っている。 何時間いても飽きないと感じた。
さて、長い間この修道院の中を行ったり来たりしていたがそろそろプラセンシアに向かう時間となってしまった。 修道院からの山道を下り始める。下りの山道は細くて曲がりくねっており慎重な運転が要求されるが、車がほとんどいないのでのんびりと走ることができる。
大きなカーブにさしかかると、突然道路の片側が路上駐車で埋まっているのが見えてきた。 いったい何があるのだろうとスピードを落としながら確認するのだった。
地元の皆さんが泳ぎに来ていたのだった。 川を利用した天然のプールがそこにあったのだ。 相当数の人が水着で水遊びしているのが道路から見える。 キャンピングカーが無理やり路駐しようとして道をふさいだりしていて交通渋滞が発生していた。
インフォメーションのお姉さんが「天然水のプールリスト」をくれたのを思い出した。 このあたりにはこのような天然のプールが多くあるのだろうと納得してしまう。
天然プールを過ぎると目の前に緑に囲まれた美しい村が見えてきた。 プラセンシアへ行く前にこの村に寄ることにした。 村の名前は ガルガンタ・ラ・オリャ (Garganta la Olla) というらしい。
まずは広場、やはり噴水がありちゃんと動作している。 どんな噴水も必ず動いているのには驚かされる。 この地方の特色であろう住宅がここにもあって、人形の家 (Casa de las Muñecas) などと呼ばれているらしい。 教会もあったのだが閉まっていて入れなかった。
ガルガンタ・ラ・オリャから更に西に車を走らせるとプラセンシアに到着した。 巨大な城壁に沿って車を走らせ、迫力のある狭い城門を通り抜け(車1台がぎりぎり通過できる幅しかない!)、石畳の道をゆっくりと走りながらパラドールを探す。
パラドールは石畳の坂道の左手にすぐに見つかった。 大きな教会のような建物に前に車を停めてからチェックインに向かう。 プラセンシアのパラドールは12世紀の修道院を改装した国営ホテルで、修道院の雰囲気を当時のまま残しながら快適なホテルにしたという評判の良いパラドールであり期待は大きいのだ。
自動ドアの入口から入るとそこは美術館のような感じで、フロントがどこだかわからない。 左手の奥がフロントになっているのだった。 フロントでチェックインを済ませるとお姉さんが部屋まで案内してくれる。 中庭を囲む回廊を歩きながらホテルの案内をしてくれるのだが、この回廊がまたすごいのだ、美術館のようだ。
途中の大きな部屋は立ち入り禁止になっていたが、お姉さんから「今ちょうど、結婚式をやっているわよ」と言われた。 確かに新郎新婦が見える。
車を城壁の外の駐車場へ移動させてから部屋で一休み。 恒例のパラドールツアーに出かけてからウェルカムドリンクのワインで一息つく。 ウェルカムワインは COMPOBBARO でとても飲みやすくて美味しい。
さて、プラセンシアをぶらぶらすることにして外に出る。 最初にマヨール広場に行ってみる。 市庁舎の建物は広場に面しておりなかなかチャーミングだ。 良く見ると塔に何か人形のようなのがいるぞ。
これは、マジョールおじさんというらしい。 マジョールおじさんが時刻を知らせる鐘を鳴らしてくるのだという。
次に大聖堂に行く。 新しい大聖堂と古い大聖堂が隣り合う珍しい組み合わせと聞いて楽しみにしていたのだが、土曜日ということで教会はミサの最中で観光客は入れない、回りの店は軒並み閉まっている。 仕方なく教会の塔の植野コウノトリの巣を眺めたりしながらぶらぶら熱きを続けるのだった。
さて、やっと夕食の時間になった。 広場の近く、少し横道のレストランに行く。 いつものようにティント・デ・ベラーノを注文したら、ビンで出てきて驚いた。 味はちゃんとしていたので良かったが・・・
ワインは Vina Puebla Crianza と Palacio Quemado Crianza でどちらも美味しかったが、夕方に飲んだパラドールのウェルカムワインのほうが美味しかったかな。 ここはカジュアルレストランだったが、食事を始めた9時はガラガラで食事が終わる11時には満席となっていた。
リオオリンピックのテニスではスペイン期待のナダルの試合のライブ映像がテレビに映し出していた。 ナダルの相手はアルゼンチンのデルポトロでこれが準決勝だった。
レストランの厨房から責任者らしいおじさんが時々出てきてテレビで状況を確認するのだが、ナダルの形勢が悪くなるとおじさんのご機嫌が悪くなり、そのうち頻繁に見にくるようになった。 仕事が手につかない感じで、ついにナダルが負けると絶叫し、そしてうなりながら天を(実際は天井を)仰いで大きなため息をついたのだった。
プラセンシア最後の日となった。 ゆっくりと朝食を楽しみながらこの旅で宿泊したパラドールを思い出す。 今回は古城や修道院という歴史的な建物のパラドールを選んだのだったが、どこも素晴らしいホテルだった。 ここプラセンシアもなかなか風情があって居心地の良いパラドールだなぁとあらためて感じた。
さて、 今日はマドリッドまで移動しなければならないので朝から気合が入る。 いつもの時間にチェックアウトしてからヘルテ渓谷の小さな村のサクランボで有名というところを訪ねることにした。
エル・トレノ (El Treno) という小さな村はへルテ渓谷の入口にある小さな村だった。 ちょうど村に着いた時間帯がシェスタ開始の頃で数件しかない店は閉まっているのだった。 村の雑貨屋のような小さな店をのぞきこんでいたら中にいた店の人と目が合いドアを開けてくれたり、閉店寸前の店を見つけて滑り込んだりしながら、さくらんぼの置物などをお土産に買うことができた。
ただ、残念なことにさくらんぼの季節は6月から7月らしく夏はシーズン終了後のような感じだった。 このあたりの桜はすばらしくて、全国から多くの人が桜を見に来るtらしい。 今はシーズンオフなんだと理解した、残念。
この小さな村をぶらぶらしていると、マドリッドへ向かう時間になってしまった。 高速道路まで戻り、一路マドリッドへと向かうのだった。 といってもいつものように、のんびりとした運転で途中のサービスエリアに寄って休みながら高速道路を走る。
ガラガラの高速道路はマドリッドに近づくにつれて車が多くなってきた。 ついにマドリッドに突入すると車線は3とか4とかになり車でいっぱいになった。 おー怖い怖い。 高速道路の車線変更を繰り返しながら必死で運転し、やっとの思いで予定どおりにマドリッドの中心部を避けて空港ホテルへ到着した。 ガソリンを満タンにしてからチェックイン、車を空港オフィスに返却に行った。
車を無事返却してから、久し振りのバラハス空港を少し歩いたが、日曜日の夜ということもあり空港は人が多かった。 警備も厳重でマシンガンを持った警察官があちこちにいて鋭い眼光で警備にあたっていた。 空港ホテルの近くにはレストランがなく空港で夕食を済ませようかとも考えていたが、テロの可能性など考えてそのままホテルに戻ることにして、シャトルバスでホテルに戻った。
ホテルのレストランで夕食にしたが、値段が高いなぁと言いながら軽く済ませるのだった。 ロビーのテレビではオリンピックのテニスで3位決定戦を放映していた。 錦織がスペインのナダルを破り銅メダル、96年振りの快挙だそうだ。 さすがにホテルでは前夜のように熱狂的に応援するおじさんはいなかったけど。
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今回のスペイン「銀の道」旅行は、古城や修道院のパラドールを中心に宿泊し、スケジュールを現地で変更しながらのんびりと楽しむことができました。 レンタカーは初めてのオートマ、高速道路は無料で良く整備されており快適なドライブでした。 そして、本場の生ハムと現地のワインを堪能できたことは格別な思い出になりました。
スペインは、まだまだ奥が深いなぁとあらためて感じた旅でもありました。
・・・・・・・・ The end

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