★ ルーゴからコンポステーラへ ★




Lugo → Santiago de Compostela


 朝はゆっくりと起きてお約束のカフェ・コン・レーチェと巨大で大味なクロワッサンで朝食。 今日はドライブの終着地点であるサンティアゴ・デ・コンポステーラへ行かなければならないのだ。 昼前にホテルを出発する。 すっかりスペインペースになってしまっているのに気づく。

時間あればルーゴの町へ寄り道して城壁の上でも歩こうかと思ったが、コンポステーラに余裕をもって着くことを考えてこの街には寄らないことにした。

 コンポステーラ向かうドライブは快適で、よく整備されたガラガラの道路をガンガン走る。 それにしてもスペインの郊外の道路は良く整備されている。 片側1車線の道路は追越しOKの表示が頻繁に出てきて早い車はどんどん追い越してゆく。 時々見通しの悪い上り坂や対向車がきている道などとんでもないタイミングで強引に追越しをかける車もいて注意して走らないと危険な状況になってしまう。 しかし上り坂では登板車線が必ずといって良いほど設定されていて遅いトラックなどはここで簡単に追い越せる。
一般道路では制限時速100kmの表示で村に入ると50km表示となる。 高速道路は制限時速120kmの表示であり、日本で制限時速3ケタ表示を見たことがない私にはこの制限速度表示が非常に新鮮であった。 しかし、スペイン人の速度感覚は信じられない、普通の車がこの制限速度をはるかに超えているのだ。 私が120kmで走っているのに後ろにぴったりとついて山道でも坂道でもカーブでも追越しをかけてくるのである。 信じられない。

しかし、私にとって今回の運転で一番怖かったのは高速運転でも無理な追越しでもなく、「ロータリー」と「直進優先の道路」なのであった。 スペインでは交差点が必ずと言ってよいほど右回りのロータリーになっていて、日本では青信号で直進するところがロータリーに一旦入ってから元の道の延長線上の道へ抜けることになる。 困ったのは左折のときで、一旦ロータリに入り右周りしてから抜けなければならない。 理屈ではわかるが実際の運転は難しい。 慣れてみれば信号がいらない合理的な仕組みでどうってこともないが、少し大きなロータリーでは変則的な車線になっていることも多くて(大きなロータリの中に優先車線などが設置されている)自分の車が止まるべきか進むべきかが瞬時に判断できなくて困った。 少しでも躊躇していると即後続車からクラクションというのも困ったものだ。

まっすぐな優先道路から左の細い道や店に入るときは、道路の左に寄ってでウインカーを出しながら速度を落とし、あるいは対向車が途切れてから曲がるということ(日本では普通の曲がり方)はしない。 一旦右に出てから道路を横切る運転が正解でわざわざこのためのちょっと右に入る車線がある場合も多い。 これは直進車の邪魔をしないというポリシーだろうが、慣れるまでは混乱する。

 高速道路を走ると午後1時にはサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着した。 街に近づくと何と渋滞している。 街に入ると大渋滞だ。 エルサレム。ローマに続く世界で3番目の巡礼地でもあるサンティアゴは都会であった。
何でスペインまできてこんな大渋滞に遭遇しなければならないのかと怒りながら中心部に向かう。 中心部は狭い道が入り組んでいて一方通行がやたらと多い。 まごまごするとすぐクラクションの嵐。 まさに恐怖の市街地だったが、交通整理の警察官に道を聞き聞きやっとパラドールの近くまでやってきた。
このパラドールへ向かう道には侵入禁止の標識が出ていたので警察官に聞くまでそこから入るとは思わなかったのであるが、後から良く見ると一部許可車両はよろしいなどと(スペイン語で)書いてあった。

パラドールへ向かう道は観光客で溢れており、人込みの中をそろそろと進む。 なんでこんなに人がいっぱい歩いているのかとぶつぶつ言いながら細い道の突き当たりを右に曲がった瞬間そこは予想もしていない大きな広場の端に出ていた。 そこにはさらに、さらに多くの観光客がうじゃうじゃといてもう車が通れる状況ではない。
大勢の観光客に迷惑そうに覗かれながらよろよろと進みやっとの思いでパラドールの正面玄関へ到着した。 そう、このパラドールはこの街の一番大きな広場に面しており、世界3大聖地であるこの街の大聖堂のすぐ横にあるのであった。 私は過去にこのように多くの観光客を見たことがない!! 広場は観光客でまさに埋め尽くされて、大聖堂の入り口も中もびっしりとした人また人である。 パラドールも観光名所化しており見学客が連続的に出入りして記念写真なんか撮っている。 何とかパラドール正面に駐車スペースを見つけ、「ここへ駐車するな」という係員に「我々は宿泊客だ、予約確認書もほらこのとおり持っているぞ」と怒鳴りながら、人込みをかき分けてフロントへたどりつきやっとの思いでチェックインし、荷物を運ぶおじさんに続いて部屋へと向かう。

このパラドールは、以前は巡礼者のための病院/宿泊所として使われいたとのことで、古くて風格のある中庭を1つ、また1つと通るたびに広場とパラドール玄関の喧騒がすーと引いてきて静寂の空間が広がってくる。 どっしりとした階段と廊下を通るときに部屋と部屋のドアの間隔がとても大きいことに気がつく。 ほんの先ほどまで喧騒のまっただなかで車を進めるのに悪銭苦闘していたのに、いったいなんだ・・・ とても不思議な感覚だ。

 私はパラドールなるものに初めて宿泊したのだが、サンティアゴのそれは素晴らしい場所だった。 全てが一流であり、行き届いている。 印象的なことは建物それ自身が歴史的に重要な意味を持つこと、誇らしげにPのマークがついたとても重厚なバスタオルだったこと、などであるがスペインの誇りの一面を見たような気がした。

部屋で一休みしてから喧騒の中へと戻り、 パラドール正面から車を発進させる。 更に多くなった人込みの中をそろそろと進み、大渋滞を突破して郊外の空港へと向かった。 空港のHertzでレンタカーを返却(チェックイン)する。 駐車場に車を止めて、キーと書類を事務所に返却するとそれでおしまい。 車にキズがないかとかドライブは楽しかったかとか全然聞かずに事務的に処理するおねえさん、愛想がないぞ。

バスで市内に戻り、旧市街を探索する。 この街は確かに観光客が異常に多いが、巡礼の最終目的地らしく落ち着いた雰囲気がある。 石畳の道が曲がりくねる旧市街はそれ自身非常に情緒的であり、多分シーズンオフだととても良い感じではないかと思いながら観光客で溢れるこの街を歩く。




・・・・・・・・ to be continued




アストルガ サンティアゴ・デ・コンポステーラ



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