ホテルの朝食のときに作ったサンドイッチで軽くランチ、午後はたっぷり時間があるので嬉しくなる。
エルミタという礼拝堂にぜひ行ってみたかったくなり、タウル(Taull)の村のサンタマリア教会すぐ横のインフォメーションで聞くと、元気なお姉さんは「駐車場の橋の標識に従い山道を20分歩くとすぐに見つかるわよ」と言った。 とてもわかりにくい場所にあるという噂だったがこのお姉さんの言葉に安心して歩き出した。 確かに駐車場の端でエルミタを示す案内板を発見。 矢印の先には、言われなければわからないような木々に覆われた小さな道があった、その道を進む。
一応道にはなっているが、ヤギや牛の糞が不規則にあり、ハエや小さな虫がぶんぶん飛んでいる。 すごい道だなあと言いながらどんどん進む。 道は坂道で曲がりながら上ってゆくが標識はまったくなくて少し不安になってきた。 途中の川でキャンプをしている家族を見た以外は人に出会わない。 少し広くてまともな道に合流してそのまま進むがエルミタには到着しない。 林間ハイキングコースになってきたぞ、エルミタはどこだと言いながらどんどん進む。 途中の道から崖の上を見たら、崖の上に小さく建物の屋根の端のようなものが見えた。 あれがエルミタかな? と一瞬考えた。 でも崖を登って確かめることも出来ずにそのまま通り過ぎてしまう。 もう50分は歩いているなと感じてインフォメーションのお姉さんを恨めしく思い出した。
ついにエルミタ探しは諦めてハイキングロードから離脱してみると、建物が立ち並ぶリゾート村のようなところに出た。 ここは午前中に車で山の上に向かう途中に通ったな、と思い出した。 仕方ないので道路を下って駐車場に戻ろうかなと思い歩いていると、周辺の地図を発見。 何とエルミタの表示があるではないか。 表示に従い歩いてゆくと、2分でエルミタに到着した。 偶然ではあったが、すぐ近くまで来ていたのだった。
観光客は誰もいない、ひっそりとした丘の上に小さな礼拝堂があった。 見晴らしは最高でタウルの村が眼下に小さく見える。 崖の下には今歩いてきた道が見えた。 やはり先ほど道から少しだけ見えたものがこのエルミタだったのだと。 この小さな礼拝堂は、雄大な山々の眺めとタウルの村を一望できる場所に建っていた。 中には小さな礼拝スペースがあるだけの質素な作りだ。 この礼拝堂で村人は何を祈ったのだろうか? 村の教会とこの小さな礼拝堂は対象的で興味深い。
素晴らしい眺めを独り占めしながらしばらくは幸せな時間をかみ締めた。 さて村に戻ろうか、そうだ崖を降りてみようと思い、慎重に急な崖を下り始めた。 無事崖下りに成功して駐車場への帰還を果たした。
ホテルに戻ってお昼寝だ。 夕方に起きてから車でCardetの教会を見に行く。 幹線道路からの脇道を登ってゆくと山に張り付くような小さな村があった。 サンタマリア教会はその小さな村にあったが残念ながら閉まっていて中には入れなかった。
気を取り直してDurroへと向かう。 この村も細い道を延々と走った山の中の小さな村。 サンタ・マリア・デ・ラ・ナティビダー教会(Santa Mari'a de la Natividad)は立派な教会だった。 この村には世界遺産に指定されているもうひとつのサン・キルク教会(Sant Quirc)がある。 通りががりのおばさんに聞くと、「その道を曲がってすぐよ」と教えてくれた。 言われた道を歩き出すがどんどん山の中へと入ってゆく。 30分くらい歩いたが全然それらしいものは見えない。 諦めて村へ戻ったのであるが、どうしても諦めきれずに車で再チャレンジした。
途中で引き返してきてよかった。 車でも10分くらいかかる場所、丘の上にその教会はあったのだ。 タウルのエルミタと同じようなロケーションで、雄大な山の景色とDurroの村が一望できる。 素晴らしい眺めだ。 3つのハングライダーが悠然と空を舞っているのが見えた。
気が付くとすっかり遅い時間となっていた。 夕暮れのボイ渓谷を疾走してホテルに戻った。 二日目の夕食は慣れたもので、優しそうなウエイトレス担当のテーブルに座り余裕で(前日の10分の1の時間で)オーダーを完了した。 この夜もパスタスープがとても美味しかった。
夕食後にまたまた目の前の教会の夜景を見に行った。 SONYのデジカメを持った地元の-おたく青年-が私のフィルムカメラを珍しそうに眺めていた。 彼と少し話したが、デジカメをとても自慢そうに見せてくれて撮影した写真を私に自慢するのだ、おかしな奴だったな。
ワインが心地よくて、またまた早い時間に寝てしまう。
ボイ渓谷の三日目、出発の日の朝となった。 朝食のときにランチを手作りして準備はOKだ。 帰り道に、まだ見ていない教会に寄ってゆくことにする。
最初にErill la Vallの村に行った。 この村の教会は鐘楼がとてもスリムでスマートだ。
次にBarrueraの村に向かった。 Barrueraは道路沿いの村でボイ渓谷の中では比較的大きい。 教会は道路のすぐ横にあり、全体的なバランスがとても良い教会だ。 教会の中では子供達が先生の説明を一生懸命聞いていた。
最後の村はCollだ。 曲がりくねった山道の上の村の入り口に教会があった。 入り口は閉まっていたが、観光客もいない静寂に包まれた美しい教会が印象的だった。
Coll村の教会で、ボイ渓谷の「カタルーニャ風ロマネスク様式教会群」として登録されている世界遺産指定の教会を全て見て回ったことになる。 満足感に包まれながらボイ渓谷に別れを告げたのであった。
・・・・・・・・ to be continued

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