★ ポブレ修道院 ★


 高速道路をMont Blancで降りて、標識に従い少し戻るとポブレ(Poblet)に到着した。 ポブレの村は立派な塀で囲まれているぞ、何だこれはと思いながら塀に沿った道を進むと、左手に突然入り口の門が見えた。 そしてすぐ右手に大駐車場が出現した。 時間はこのとき16時30分、駐車場はガラガラだった。 駐車場に車を停めて、まずはすぐ近くに門から村の中に入ってみることにした。

門を通過した入り口からすぐのところにインフォメーションセンターがあった。 お姉さんに「この村の中に今夜泊まりたいのでどこか紹介して欲しい」と言うと、お姉さんは怪訝な表情で「ここには宿泊施設はない、近くの村を紹介するので自分で探して欲しい」と言われた。 後からわかったことは、この塀の内部は全部修道院そのものであり、我々が想像していた「ポブレの村があってその中に修道院がある、当然村には宿泊施設がある」という考えは間違っていたのであった。

 まずは寝場所を確保しなければということで、インフォメーションで聞いたすぐ近くの別の村のホテルに行ってみた。 最初のホテルは格式高そうなのでパス、次のホテルは良い感じだったが残念なことに満室であった。 三つ目のホテルも少し格式高そうであったが、空室があるとのこと。 少々高い料金であったが、高速道路の運転で疲れていたこと、まだ明るいけれど夕方になっていたことからホテル探しを続行する気力もなくなり、このホテルに決めてしまった。

さてホテルも決まり一安心だ、ポブレ修道院を見に行こう。 ところが既に時間が遅くて入場締め切りとなっていた、残念。 まだ時間は18時過ぎだぞ、昼間の様に外は明るいぞ、まあ修道院だから仕方ないかと諦めて近くの村まで買い物に出かけることにした。 買い物から戻ってくると時間は7時30分になっていた。 さすがにお腹が空いたのでホテルのレストランへ行こうとしたが、1階の立派なレストランはまだ営業していない。 フロントのおじさんに開店時間を確認したら、「今夜は営業しない」と言われた、何じゃこりゃ。

仕方なく、最初に行ったホテルのレストランへと向かうがまだ開いていない。 ロビーで時間をつぶして「お腹がへったヨー」と泣きながら待って、9時のオープンを待ってやっと席に着くことが出来た。 このレストランは凄かった。 メニューを見た瞬間に−目が点−になってしまったのだ。 すごく高級なレストランだぞ! 空腹に耐えられずに「一日早いけれど今回の旅行の最終日の豪華ディナーにしよう」と納得させて気合を入れることにした。 「Poblet」というそのものずばりの赤ワインをオーダーしてから、ワインが恥ずかしくないレベルの料理をオーダーした。

今回の旅での最高のディナーを思いがけない場所で味わうことになったが、この落ち着いたレストランはワインも格別、料理の味も素晴らしく、もちろんサービスも申し分なくて楽しく充実したディナーとなった。 どうしてこんな小さな村にこんなに素晴らしいレストランがあるのか、今もって不思議である。 このようなサプライズもまた旅の醍醐味と言えるのだ。

貸切のようなレストランでの夕食を終えて外に出ると、やっと暗くなった村の空気はとても冷たかった。 ホテルに戻りワインの余韻を味わいながら即寝てしまう。


 翌朝、ホテルで朝食。 申し分ない内容だが、宿泊客が少ない雰囲気だ。 我々を含めて数組ではなかっただろうか? 不思議なホテルだな。

チェックアウトを済ませて、再び修道院へと向かう。 前日に調べていた朝一番の見学ツアーに申し込んだ。 ガイドはカタルーニャ語とスペイン語で説明するが英語の説明はない、ところがガイドからスタート前に日本語の説明コピーを受け取りびっくりした。 ツアーのお姉さんの後から参加者はぞろぞろ歩きながら説明を聞く。 我々は説明コピーを読みながら後に続き、とても興味深い90分のツアーを楽しんだ。

このポブレ修道院は、かつて歴代のアラゴン王から厚い寵愛を受け続けた栄光の歴史を有している。 12世紀に建築されたこの修道院は、アラゴン王の庇護の下巨大な勢力を誇っていたが、歴史の移り変わりの中で衰退し荒れ果ててしまったのをスペイン内戦後に修復されて現在に至っている。
広大な敷地には教会や回廊、修道士の生活空間など内部案内ツアーが組まれるほどの大規模な建築物があり、当時の繁栄の一端を見ることが出来る。
見学ツアーはとても面白かった、当時の修道士たちの生活の様子などを想像しながら建物を回っていると、中世の本物の修道院に迷い込んでいるような気分になってしまった。


さて、修道院のツアーでタイムスリップしたあとは、今回の旅行の終点であるバルセロナへと車を走らせる。



・・・・・・・・ to be continued


ボイ渓谷からポブレ(Poblet)へ 再びバルセロナ



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