★ バルセロナ Barcelona ★


 朝の目覚めはお約束の時差ぼけで眠い。 目をこすりながら地下鉄を乗り継ぎカタロニア美術館へと向かう。
この美術館が前日空港から市内へ向かうバスから見えたのを思い出した。 バスが広い広場のロータリーを回っているときに、突然目の前に出現したときには本当に驚いた。 丘の上に見えたこの美術館の、あまりにも堂々とした姿はとても印象的だった。 その美術館を今また正面の丘の上に見ている。 地下鉄の駅から降りるとスペイン広場(Plaza d Espanya)に出るが、この広場からモンジュイックの丘(Montjuic hill)の上に見える美術館までは遠い、本当に遠い。

到着したカタロニア美術館(MNAC : Museo Nacional de Art de Catalunya)は、なんと入場無料だった。 無料の曜日が変更になり日曜になっていたのである。 ラッキー!  この美術館は、ピレネーの山奥で発見された貴重な美術作品を強引な手法でバルセロナに集めて、本来の場所にはレプリカを展示している。 ある意味ではとても悪名高い美術館だ。
確かに、老朽化した教会と共に朽ち果てる運命にあったこれらのロマネスクの傑作を保護するためという背景は理解できるが、これらの作品が山奥の小さな村の教会に人知れず長い間存在して、それが村人たちの精神的支えになっていたことを考えると、未来永劫つきまとうであろう悪名からは逃れられないなと思う。


 さて、カタロニア美術館。 ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロックからモダンまで広範囲のコレクションが展示されているこの宮殿を改装した美術館は、この国の威信をかけた美術館だということがわかる。 時差ぼけの頭では全部回るのは無理だと考え、そして今回の旅の内容を考えて、ロマネスクを中心に見て回った。

ボイ渓谷(Vall de Boi)のタウイ(Taull)村の教会にあった二つの壁画が素晴らしい。 実際にこれらの壁画が描かれていた状況を、教会の内部に至るまで忠実に再現したこれらの壁画は、エアコンが効いて照明がコントロールされ、静かなBGMが流れる美術館で背中合わせに展示されていた。
「栄光のキリスト」は12世紀の作品でこの美術館では多分一番有名な作品だ。 鮮やかな色彩と力強い輪郭のタッチがとても印象的であった。 その後、我々は実際にタウイ村に行って、オリジナルの教会と内部に展示されているレプリカの壁画を見ることになるのだが、そのときの印象は別途報告することにしたい。

この美術館には、ロマネスク作品の他にもゴシック、ルネッサンス、モダンなどの作品が多く展示されているが、ロマネスク時代の作品がこの美術館の目玉であることを確信した。
他の時代の展示もざっと見たが、おいしい作品はマドリッドのプラド美術館へすべて持っゆかれたのだろうかという感想だ。


 カタロニア美術館に別れを告げて、近くにあるミロ美術館(Fundacio Miro)に行った。 ミロ(Joan Miro 1893-1983)はバルセロナ生まれの芸術家で、赤黄青緑の現職を大胆に使ったいかにもスペイン的?な作品で日本でも有名。
モーニングスター(Morning Star 明けの明星 : 1940)は思ったよりも小さい作品であったが、強烈な印象を受けた。 ミロの作品にしばしば登場する特徴的な「目玉」と「星」の描写が、実は子供の頃にカタロニア美術館で見たロマネスク壁画からインスピレーションを得ていることは有名な話であるが、なるほどと納得しながらじっくりとミロの作品を鑑賞する。 でも日曜の美術館は観光客で大混雑、入場料は高くて中はひどい混みようのこの美術館、ミロが見たら何と言うのだろうかと考えた。


 ホテルでお昼寝して体力を回復させてから、地下鉄で聖家族教会(Sagrada Familia)へと向かった。 この有名なガウディの作品をやっと見ることが出来ると思うと期待で興奮してきた。
その名も「Sagrada Familia」という地下鉄の駅から会談で地上に上ると、目の前にその建造物は突然出現した。
でかい!!! 想像以上に大きいぞ!!
何という存在感、なんという奇妙な建物、なんという巨大さなのだろうか!

この聖家族教会を実際に見た驚きとショックは相当なものだった。 時間をかけて周囲を一周するが、どの方角から見ても驚きがある。 入場締め切りの時間直前だったので、中に入ることはできなかったが念願かなってとても満足した。


 この国の夕食はとても遅い。 メイン道路沿いのレストランは避けて、細い路地にあるレストランへと向かった。 時間は夜の8時だったが、閑散としている 。 前菜に「生ハムメロン」をオーダーしたら、その量に驚いた。 大きなメロンにこれでもか!という感じで生ハムが添えられている。 目茶目茶美味しかった、値段を見てまたまた嬉しくなった。 食事を終えて店を出ようとして驚いた、時間は夜の10時なのに店内は満席で外には行列が出来ていたのだ。 この国では夜はまだこれからなのかもしれない、と時差ぼけが残り酒が心地よく回った頭で思った。


・・・・・・・・ to be continued


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