★ ソルト Sort ★


 アバデサスから10分程走るとリポーイ(Ripoll)という町に着いた。 ここの有名なロマネスク建築である旧サンタマリア修道院に行くのだ。 内部の教会を見学することができるはず。 この教会は、入り口の門と内部の回廊が12世紀当時のまま残されており、歴史的にとても価値があるとのこと。
小さな広場に面した建物のガラスの透明な壁でがっちりと保護されているのが入り口の門だ。 この門は「石の聖書」と呼ばれている、聖書の物語が門と横の壁全体にびっしりと書き込まれているのだ。

リポーイは、かつてこの地方の文化と学問の中心都市として繁栄した栄光の歴史を有している。 今ではとても静かな町であるが、この威厳を持つ教会からは当時の華やかな雰囲気を感じとることが出来る。 教会の中も厳かな雰囲気で圧倒されるが、「石の回廊」もすばらしい。
石の門の横の小さな扉を抜けると、そこには中世のまま時が止まっている様な美しい回廊があった。 中央に噴水を配した庭園があり、二階建ての回廊は柱の彫刻(柱頭彫刻というらしい)がユニークかつ精巧で見ていて飽きない。 時間をかけてじっくりと中世の雰囲気を全身で味わった。


 さて、リポーイを出発して山道のドライブに戻る。 途中のセウ・デ・ウルヘル(La Seu D'Urgell)の大聖堂など見たい箇所はあったが、欲張ってもしかたないと割り切りウルヘルはパスしてあっという間に通り過ぎる。 ウルヘルを通過してしばらく走ると道はワインディングロードが連続する山道になった。
愛車オペルの粘りのあるディーゼルエンジンは上り坂になると実力を存分に発揮する。 急なカーブでも道路ミラーがなくて、ハンドルを切りながら対向車が来ないかドキドキする。
このカーブで対向車が怖いのは、彼らがセンターラインをオーバーしながら曲がってくるためだ。 この国の運転手は例外なく「向こう見ずで命知らずのクレージードライバー」であるから普通にセンターラインオーバーしてくるという訳。
でもすっかりそんな山道の運転にも慣れて、自分でもこのスリリングな運転が楽しくなってきているのがわかる。


山道のドライブを続けているとランチタイムになった。 休憩も必要ということで、見知らぬ小さな村で目に付いたたカフェに立ち寄った。
このカフェ、入り口は村のバルという感じの小さなものであったが、中に入ってみるとなんと奥が本格的なレストランになっていた。 昼過ぎの2時半だというのに満員で、しばらく待ってからやっと着席することができた。 英語メニューがなくて困ったがなんとか注文を済ませて周りを見ると、地元の人達が盛大にランチを楽しんでいる。 どのテーブルもすごい量を食べている、ワインを飲んでいる人も相当数いる。 我々は第一の皿だけをオーダーし、運転を考えてアルコールはあきらめてミネラルウォーターをオーダーした。
このレストランは本格的で、第一の皿だけでもボリュームたっぷりでとても美味しかった。 第二の皿まで到達しないのにもうデザートもコーヒーも無理という腹具合になってしまった。 この小さな村で出会ったレストラン、制服のボーイがいるのにも驚いたが、この国の食文化はすごいなと再認識させられた。

満腹になってまたまた山道のドライブに戻り、ほとんど車がいない道路をひたすら走る。 山越え、峠越えを繰り返しながら山道を進むと、突然川沿いに開けた村が出現した。 ソルト(Sort)に到着したのだった。


 インフォメーションセンターはすぐに見つかったが、窓口のお姉さんは「はい、これがホテルのリストで村には4つしかないわよ、そしてこっちが周辺の村の宿泊リスト、ハイシーズンだから満室の所も多いかもね、頑張ってね」と早口で説明してリストの資料を押し付けておしまい。 宿泊場所を探してくれないのと聞くと、「そんのこと出来ないわよ、自分で探してね」と一言だけ。
なんだ、なんだ、愛想のないお姉さんだなとつぶやいてみたが、ここソルトは何故か人がやたら多くてインフォメーションセンターもすごい人で大混雑していることを考えると、いちいち個人観光客の宿泊の世話まで手が回らないということだと納得してしまった。 お姉さんは詰め寄る観光客を捌くのに大忙しであるが、見ているとてきぱきと仕事をこなしてゆく、でも全部「自分でやれ」と突き放しているだけかもね。

今夜の宿は自力で探すことにして、まずは村のホテルをあたってみた。 地図によると村のメインストリート(といっても細い路地のような道)に面しているはずのホテルは発見できず、川の反対側のホテルに行ってみた。 が・・・ 値段が高い高い、とっても高い。 次に村の入り口の目立つホテルのカウンターで聞いてみた。 スイートルームを提示されて残り一部屋だと言う、これがまた滅茶苦茶高い、信じられない値段。
さて、どうするかな? と思いながらメインストリートへ戻り最初見つけられなかったホテルを再度探す。 遂にそれらしき建物を発見したが、通りからはレストランの表示しか見えない。 レストランの中のおばさんに確認すると、実はここが探していたホテルで部屋は空いているとのこと。 ホテルといっても実際はペンション以下というレベルだったが、値段が安いのと実際に部屋を見て清潔そうだったので決定した。 川の向こうのホテルの半額、スイートを提示されたホテルの3分の1の値段だった。


車を移動させ荷物を運び込み、やっと落ち着くことが出来た。 慣れない山道の長距離ドライブと、軽いランチの予定が思いがけず本格的なレストランとなってしまったこと、そしてホテル探しで疲れてしまい夕食は村のスーパーマーケットで買ったハム、チーズ、パンで部屋で済ませてしまった。
早い時間に寝てしまう。




・・・・・・・・ to be continued


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