ミュンヘンの朝は快晴。 朝食を済ませ、シャトルバスで空港へと向かう。
前日受け取った航空券を良く見ると何とビジネスクラスではないか。 これはかなりうれしいぞ、ということで期待しながら空港へと向かう。 出国のパスポートコントロールでは「昨日も出国してまた今日も出国するのか」と聞かれた。 確かに前日の出国スタンプが押されている。 「昨日は一旦出国したが、予定の飛行機に乗り遅れてまた戻ってしまった」と説明してやっと係員は納得し通してくれた。 午前中のこのフライトはクロアチア航空で運航されるのでなくルフトの飛行機だった。 席はビジネスクラスでも一番良い場所で短い時間ではあったが座席、食事など満足の優雅なフライトとなった。
我々の今回の旅行ではザグレブは最初から重要な都市ではなく、ドブロブニクへ当日着けないので立ち寄る程度の位置付けであったため、この飛行機に乗り遅れたハプニングは我々の計画にあまり影響を与えなかった。 実はこの予定外ミュンヘン滞在を楽しむ余裕さえあったのである。
ザグレブ空港は、小さいけれど各国の飛行機が乗り入れている国際空港である。 日曜日ということもあり、かなりの人で混雑していた。 我々は荷物をピックアップしてから再度ドブロブニク行きのクロアチア航空へチェックインした。 出発まで時間があるのでどうしようかと思っていると、見知らぬ人に突然英語で話しかけられた。 良くわからないがかなりの日本通(東京が昔江戸と呼ばれたことまで知っていた)であり、一方的に話している。 こちらも暇なので適当に話を合わせていたが、どんどん一人で話続ける。 最初はつきあっていたが、かなりしつこいので振り切ろうとするがどこへ行ってもついてくる。 結局、アドレスを交換して早めにセキュリティチェックを通過してやっとその変なおにいさんを振り切った。 ときどきこういう変な外人がいるので困るのだが、初めて会った瞬間は良い人/普通の人/変な人の区別がなかなかつかないのでまあ仕方ないか。
ドブロブニク空港へは30分遅れて着いた。 飛行機は観光客ばかりで満席だった。 飛行場にはバスが待機しており乗客はホテル別に次々と乗り込んでゆく。 宿泊場所が決まっていない我々はこのホテル別のバスには乗れず、バスターミナル行きのガラガラのバスに乗り込んだ。
バスはどんどん海の方へ向かって坂道を下ってゆき、20分程でバスターミナルに到着した。 バスを降りた途端、プライベートルームの客引き集団に囲まれた。 おばさんが大部分なのだが全員が口々に「安くて清潔でとても良い部屋だから私の家に来なさい」と言うからとても判断出来ない。 うーん、これが噂にきいたおばさんの強烈で強引な客引きなのか。 しばらくわいわいとやっていたが、最終的に先頭で一番熱心に売り込んでいたおばさんの部屋に決めた。 不思議なことに最初は全員が競うように激しく売り込んでいた連中が最後にはこのおばさんの応援にまわり、口々に「本当に良い部屋だわよ」「近くてきれいだよ」などと言うのである。 ガラガラのバスでもあり、連中にとっての客は我々だけであったことが判明した時点で争いは無駄と判断したのだろうか?
そのおばさんに連れられて5分程坂道を上り着いた家は確かに清潔で見晴らしの良いところであった。 自己紹介してくれたおばさんの名前は「Ruzica Brnada」さんという、そうかこの人が日本の某パソコン通信のフォーラムで有名な「ルジィツァさん」その人であったのだ。
部屋でひと休みしてから歩いて旧市街へと向かった。 長い上りの坂道を10分程進み、今度は下り坂をどんどん行くと、徐々にあたりが暗くなる風景の中、右手に城壁そしてその向こうに海が見えてきた。 幻想的な景色を眺めながら城壁の途中の道を進むと・・ 思わず息を飲んだ。
夕闇が迫り外灯に火が入ったばかりの坂の階段のちょうど真上に出たのだ。 その坂道は突然目の前に出現し、ぼうっと光る幻想的なライトは建物と石畳の道を淡い色に照らし出し、ゆっくりと歩く人達は周囲の完璧な構図に見事なまでに調和していた。 ここはいったいどこなんだ! 映画のシーンに迷い込んだような錯覚を覚えながら、この坂道をよろよろと下ってゆく我々であった。
坂道を下りきったところで大通りにぶつかる。 これが旧市街のメイン通りのプラッツァ通りらしい。 夜の8時過ぎだというのに多くの観光客で賑わっている。 しばらくぶらぶら歩いてから、熱心に勧めるおにいさんに連れられてレストランに入った。 客引きのおにいさん曰く「そのあたりの観光客目当てで夏場限りの店とは違い歴史と伝統ある店」は坂道の路地に並べたテーブルにキャンドルが灯る雰囲気のある店だった。 路地の両側は普通の家らしく、食事中に後ろのドアからそこに住んでいる人達が出入りするのがおもしろい。 店の名は確か「Regusa 2」といったが、値段はそんなに安くなく観光地価格という感じ、味はまあまあというところか。
夜の旧市街をしばらく歩くが、やっと苦労してこの街に辿り着けた安心感と移動の疲れもあり部屋に戻ってぐっすりと眠った。
・・・・・・・・ to be continued
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