スプリットのバスセンターではプライベートルーム客引きのばあさん達の攻撃を予想しており、その中から近くて安い部屋を選ぼうという計画だった。 さて、ばあさん達と勝負だ、と意気込んでバスを降りた。 あれ?何かおかしい、ばあさんたちはどこだ? 一人もばあさんたちがいないぞ。 あたりを見渡してもそれらしいばあさんはいない。 バスから降りた連中はいなくなってしまい途方に暮れた我々だけがその場に残されてしまった。
さて、どうしたものかとしばらく考えるが長時間の冷房なしバスで疲れた体と頭では思考がまとまらない。 「しかたないのでインフォメーションにでも行くか」ということになり荷物を引きながら歩きだす。 途中の道で突然日本語で話しかけられた。 若い女性で「何かお困りですか」と言う。 そんなに困った顔していたのかなあ。 と思いながらインフォメーションの場所が知りたいと言うと、彼女は連れの外国人に確認して教えてくれた。 彼女は以前ユーゴに住んでいて、現在はドイツにいるとのことで、連れの外国人は彼氏で、スプリット出身、彼女がこちらに遊びにきているとのこと。
インフォメーションにたどりつき、プライベートルームを紹介してもらう。 紹介された街の中心部に位置するその部屋はとても清潔であり、何より冷蔵庫が使えたことがうれしかった。
昼寝してからスプリットの街へと出かける。 事前にあまり調べていなかったのでどこに何があるのか良くわからない。 適当足の向くままのんびりと歩く。 旧市街は細い道が迷路のように曲がりくねっており簡単に迷子になってしまう。どう見ても遺跡の中と思える広場にカフェがあったりしておもしろい街だ。
今夜はクロアチア最後の夜となるので夕食はレストランにしよう。 またまたLonely Planetに出ていたお勧めの店へ行くことにした。 時間が早いせいかまだ人が少ない。 地元のビールを注文したがこれがうまい。 日中は日差しが強くあちこち歩いているとすぐに喉が渇く、特に今日は冷房なしのバスに長時間乗ったのでもう渇きが普通でない。 このような時に良く冷えたビールはたまらない。 この店ではステーキを食べたがボリュームたっぷりのステーキがとても安い値段であった。 サラダバーも充実しておりクロアチア最後の夜は素敵なディナーとなった。 大満足。
ほろ酔い気分で賑わう街をそぞろ歩きしながら部屋へ戻る。 まだ盛り上がっている部屋の外の騒音を聞きながら心地好い眠りについた。
翌日はゆっくりと起きる。 昨夜は上の部屋と外の音がうるさくてなかなか寝つかれなかった。 ここスプリットでもドブロブニクと同様、日が落ちる頃から街には活気が出てきて、前日も夜になるとメイン通りはかなりの人混みとなっていた。 我々の部屋は街の中心部にありとても便利なのだが、夜になると道には子供たちが遊び、飲み屋には大人達が集まりサッカーなどを見ながら大騒ぎ、道端ではおばさんたちがおしゃべりとなんとも騒がしくなる。 まあ、こんなに日中の日差しが強いのだから活動が夜にシフトするのも仕方ないかと思う。 でも子どもが夜中まで遊んでいて本当に良いのだろうかと少々心配になってしまった。
すっかり癖になった感があるが、近くのパン屋とミニマーケットでパン、ヨーグルト、飲み物を買って部屋で朝食をとる。 牛乳が飲みたいが何故か売っていない。
スプリットは街全体が世界遺産に指定されている。 街の中心部に大聖堂があるのだが、これが住居/店と一体化していてどこからが遺産でどこまでが生活空間なのかよくわからない。 この街もおもしろい、でも個人的な好みから言えば、何故か雑然としているこの街よりも小さくまとまっているドブロブニクの方が気に入ったというのが素直な感想である。
午後はスロベニアへ移動しなければならない。 少し早めに空港へ行くことにする。 エアポートバスの乗り場には「フライトの90分前にバスが出ます」と書かれたアドリアエアラインの標識がぽつんと立っているのみ、かなり不安になり心配しながら待っていると人が集まり始めた。 しかしもう少し親切な案内にして欲しいものだ。また飛行機に乗り遅れたらどうしてくれるのだ。
スプリット空港は建物も新しくこじんまりして落ち着いた感じ。 リュブリャーナ行きのフライトの出発は30分以上遅れたがもう慣れてしまったので驚かないぞ。 日本で最初に予約したときはこのフライトは所要時間1時間だったが出発直前に手にした航空券表示では時間変更ならびに所要時間が2時間に変更されていた。 この変更理由は旅行会社もわからないとのことで今回の旅行の「謎」であった。
謎を残したまま、初めて乗ったアドリア航空の飛行機は快晴の空へと離陸したのであった。
さらばクロアチア、さらばアドリア海沿岸の美しい街
そしていつまでも平和であれ。
・・・・・・・・ to be continued
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