★ チェスキー・クルムロフ ★


 チェスキー・クルムロフは大観光地だった。 世界遺産に登録されており、世界でもっとも美しい町のひとつと言われている。 大きく蛇行するヴルタヴァ川に囲まれるように旧市街があり、川に沿った高台に聳え立つ城が有名。 プラハからは日帰り圏内であるという好条件も追い風となり、この小さな町は観光客で溢れかえる大観光地となっているのだ。

車は旧市街に入れない、旧市街入り口に立て札があり「旧市街は歩行者天国だぞ」という雰囲気に読めた。 チェコ語は読めないので本当のところはわからなかったのだが。 旧市街入り口に車を停めてから徒歩でペンションを探すことにした。

予約してあったペンションは旧市街の中心部にあった。 チェックインのときにカードを2枚受け取った。1枚は旧市街の車の通行許可証、もう1枚は駐車場の利用許可証だった。 駐車場はペンションから遥かに離れた場所にあり、徒歩で20分もかかる、旧市街通行許可証を使い一旦ペンションに車を横付けして荷物を降ろしてから、その離れた駐車場へ車を移動させるというシステムらしい。

観光客が占拠して大混雑の旧市街の道路を、冷たい視線を受けつつ遠慮しながら車は少しずつ進んで、やっとの思いでペンションに到着、荷物を部屋に運び込んでから駐車場へと向かったのであった。

車を駐車場に入れて一安心。 さっそく有名な城へと向かった。 既に夕方の6時を過ぎていたが、まだまだ日は高くて高台の城から見るチェスキー・クルムロフの町はとても美しかった。 大きく蛇行するヴルタヴァ川と美しい町並み、確かに世界一美しい町のひとつだと納得しながら、目の前に広がる絶景にしばし呆然としてしまう。


夜になると、観光客の姿が急に少なくなり、日中の喧騒が嘘のように静かな町に変わる。 日帰りの観光客が多いのだろう、夜になってやっとこの町は落ち着きを取り戻すのであった。

夕食は宿泊したペンション1階のレストランへ行った。 2階の部屋から階段を降りるとそこがレストランと いう便利な具合になっていた。 この町ではこのペンション&レストランというパターンが圧倒的に多い。 土産物屋とレストランには困らない感じで、この小さな町には驚くべき数のレストランとペンションがある。

チェコはビールが美味しい。 どこにいってもある国産メーカーのビールが抜群に美味しい。 ライトな感覚 と喉越しがとても良いバランスで、すっかり気に入ってしまった。 生ビールだけでなく缶もビンも美味しい。 しかも安い、信じられないことだが、この国ではビールがミネラルウォーターよりも安いのだ。 毎晩の(ときどきは昼も)ビールが今回の旅行の楽しみになってしまった。


 翌朝は早く起きて町を散歩した。 観光客の姿はチラホラで町はまだ落ち着いている。 城のチケット売り場が 開くのを待って、見学ツアーの予約をしてからペンションに戻り朝食。 城に取って返し、朝一番の見学ツア ーに参加した。 城の内部はツアーに参加しなければ見ることが出来ない、英語ツアーに参加したがとても興味深い内容であった。
見学ツアー終了後にチケット売り場を通ると長蛇の列が出来ていた。 朝起きは三文の徳なのだ。

この城は赤い門の入り口から上り坂になっているが、順番に興味深い庭が5つある。 第1の庭は広い広場、途中の橋の下で何故か熊が飼育されており観光客の人気者だ。 第2の庭も広い広場で見学ツアーのチケット売り場はここにある。 第3の庭と第4の庭は中庭で、美しい壁に囲まれている。 町を一望できる見晴らしが素晴らしい橋を渡った第5の庭は細長い形という構造でベンチが置いてある。 第5の庭から城の外に出て少し坂道を歩くと、よく整備された広大な庭園がある。 この庭園は奥に野外劇場まである本格的なもので落ち着いて散策することができる。

城の中の坂道を登りながら、美しい庭を順番に通り抜け、最後に広い庭園を散策した。 空には雲ひとつなく空気は澄んで、乾燥した風がとても心地よい。 ペンションに戻りお昼寝タイム、二泊すると時間的に余裕ができるのでゆっくりとお昼寝が出来てしまうのでとてもうれしいのだ。

夕方に起き出して、観光客の数が急に減りだした町を散策する。 旧市街の道という道は全部歩いただろうか、 小さな町というか村というほうが感覚が合う規模であり、もうこの頃には地図なしでどこへでも行けるようになっ ているのに気づく。

ぶらぶらと当てもなく散策していると、あっという間に観光客の姿が減ってきて町は静けさを取り戻してくる。 広場周辺のレストランはどうも値段が高いということで、川の反対側の観光客がほとんど通らない小さな通り沿いにあるレストランに行った。 実は昼の散策で目星をつけておいたのだ。
このレストランは大正解で、入り口は小さくて狭いが、中には立派な厨房があり奥には感じの良いテーブル席があった。 ボリュームたっぷりの料理とビールを時間をかけて楽しむ。 中心から少し離れた場所なので観光客も少なくて静かな雰囲気だ。 、ゆっくりと食事を楽しむことで旅行気分を満喫することが出来た。

夜の10時頃になってやっと外が暗くなってきた、ライトアップされた城がとても美しい。 夜の空気はとても ひんやりとして、肌寒いくらい、とても8月とは思えない。 この有名な観光地では、この時間帯は泊まりの観 光客達がそぞろ歩いていて旧市街中心部はまだ賑やかだった。


 翌日もまた朝早く起きて、人気のない町を散策する。 私は日頃から、宿泊したときの特権は「朝の散歩」と「昼寝」だと思っている。 ども町も朝は別の顔を見せてくれる。 朝の光線はエネルギーに溢れており力が沸いてくるようだ。 この日は城の入り口の塔に上ってみた。 狭い階段をどんどん上ると塔の最上階に出た。 町を一望できる景色はすごい、蛇行して町を流れる川の様子が一目でわかり、この二日で歩いた道がはっきりと見える。 まさに絶景と呼ぶに相応しい景色が眼下に広がっているのだった。

塔からの景色を満喫してから、車をビール工場(この工場の敷地内が何故かペンションの指定駐車場だった)へ 引きとりに行った。 ちょうど昼過ぎで、観光客がどんどん増えて活気に溢れた一日がピークを迎えるこの素晴らしい中世の町に別れを告げたのであった。




・・・・・・・・ to be continued




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