時間があるのでホラショヴィツェ村という近くの世界遺産へ寄ることにした。 快晴の中、田舎の道をのんびりとドライブする。 見渡すばかりの草原を見ながら誰もいない道をゆっくりと走る。 とても気分が良い。
ホラショヴィツェは畑の中の細い道を走っていると、突然現れた。 道が平行に2本走っており道に沿って可愛らしくて特徴的な建物が整然と並んでいる。 昼下がりのこの村には、全く人影が見当たらない。 車を木陰に停めて、ひと休みした。 ガイドブックによれば、この小さな村は「南ボヘミヤの歴史地区」ということで世界遺産登録されているそうだ。
この村へのアクセスは相当不便だと思った。 我々はプラハ市内で詳細な道路地図を買ったのだが、この詳細地図にも小さく出ているだけ。それでも道に迷ってしまうほどだった。 周囲は畑だけで目印も何もない。
この小さな村は、まるで映画のセットのような感じであったが、しばらくいると村の人の姿がチラホラ見える。 車も時々通りすぎる。 真っ青な空、心地よい風、静寂、まさに別世界に迷い込んだ感覚。 束の間の「のんびり休憩」を楽しんだが、いつまでもこの別世界に留まっているわけにもゆかないので、この可愛らしい村を出発して目的地であるテルチへと車を走らせる。
のんびりと風景を楽しみながら快適なドライブを続けて、テルチには夕方に到着した。 池に囲まれた美しい町と聞いていたので期待が大きくなる。
この町も二泊の予定。 たまには贅沢するかということで、町一番のホテルの広場に面した最上階&中央の部屋にチェックインした。
時間は夕方の5時頃でまだ太陽は高い。 窓を開け放して広場を眺めていると突然広場の真ん中、ホテルの目の前でコンサートが始まったのだ。 快晴、ドライな空気が心地よい、部屋に居ながらにしてのコンサート気分ですっかりご機嫌になる。
コンサートは1時間ほどで終了、ホテルを出て町の散策へと出かけた。 絵葉書をざっと見てから池の周りを歩いてみたら、絵葉書と同じアングルの絶景写真ポイントを発見した。
小さな池の対岸から旧市街を一望するアングルで、建物が池に写る景色は息を呑むほど美しいのだ。 絵葉書の何倍も美しい、思わずシャッターを何度も切ってしまうのであった。
この景色の素晴らしさは、とても言葉では言い表せないが無理やり例えるのであれば、フェルメールの有名な風景画が醸し出す高貴なイメージに共通する美しさだろうか。
夕食はホテルのレストランでとった。 夕食後に夜のお散歩に出たが、夜風がひんやりとして寒い。 夜は人通りも少なくなってこの小さな町はとても静かである。 夏休みなのだろうか、若者の集団がギターに合わせて楽しそうに歌っている声だけが広場に響く。
翌朝は少し早めに起きて朝のお散歩、朝の光線は力強くてエネルギーを感じる。 池のほとりを散策したが空気が美味しくてとても気分が良い。
朝食後に広場の端にある城に向かいツアーに参加した。 残念ながら、チェコ語のツアーしかなくて、英語のパンフレットをもらってそれを読みながらガイドの後をぞろぞろと歩く。 ガイドのお姉さんは一生懸命説明しているのだが、何を言っているのか全然理解できない。 しかし城のツアーは結構面白かった。
興味深いツアーが終了してから、お城のすぐ近くにある聖ヤコブ教会の塔に登ってみた。 ヨーロッパの古い町では、教会の塔に登って町を一望するというのが観光客のお約束になっている。 今回の旅行でも、行く先々の町に必ずあるこのお約束の「塔の上」に何度登ったことだろうか。
塔の上からは、この小さな町が池に囲まれていることが良くわかる。 池に囲まれた小さな町、本当に絵に描いたようだ。
塔の上から戻ってきて、先ほど塔の上から見たばかりの池の周囲を散策した。 この池は豊かに茂っている木々に守られるようにしてこの町を囲んでいる。
池の散策後に城の中にある郷土博物館へ行った。 説明用に英語のパンフレットを渡され、それを読みながら勝手に見て回る。 この町の歴史が年代順に記録されておりとても興味深い、ナチスの侵略の歴史が印象に残った。
博物館をゆっくりと見てから、またまた町とその周囲ををぶらぶらしていると、やっと周囲も暗くなってきて夕食の時間となってきた。 この日はホテルではなく、町のレストランでの夕食にした。 モラビアワインを飲んだが、これがまたコクがあってとても美味しいワインだった。 満足。
テルチ3日目の朝はゆっくりと起きた。 朝一番で城の中にある美術館へ行った。 この美術館は城の中庭に面して小さな入り口から入る小さなもの。 Jan Zrzavy というチェコの地元出身画家の作品のみを展示している。 この美術館はこの画家の若い頃からの作品を順に展示してあるのだが、その中の2作品がとても印象的な作品で、私はとても気に入ってしまった。 このような場所でこのような作品に出会えたことはとても幸運だと、幸せを噛みしめたのだった。 こんな偶然が旅行の醍醐味でもある。
美術館ですばらしい作品に出会えたことでとても気分が良くなった。 この日も快晴、時間はもうお昼に近い。 観光客が多くなってきて、いつも活気を取り戻しつつある広場を眺めながら、この美しい町テルチに別れを告げた。
・・・・・・・・ to be continued

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