さて、静かで落ち着いた中世そのままの村 コルド・シュル・シエルに別れを告げて、今回の旅の最終目的地であるカルカソンヌへと向かう。 午後は長いドライブとなった。 更に南へと車を走らせるのだが、丘を越え畑を突っ切り、山を越え川を横切り、フランスの田舎道の変化に富んだ風景の中を延々と走るのだ。
幹線道路には何度もぶつかるのだが、例によってこのカーナビは幹線道路を横切り田舎道を走れという指示を出す。 田舎道をのんびりと走り続けていると、またまた突然幹線道路にぶつかった。 ところが、田舎道が大好きなカーナビが珍しくこの幹線道路を走れと言ったぞ。 しばらくこの幹線道路を走っていると車がどんどん増えてきた、カルカソンヌに入ったのだ。
カルカソンヌは大都会だった。 町の中心部は道が曲がりくねっており一歩通行が多い。 車の数も多くて運転は大変だ! カーナビの指示通りにこの町の複雑な道をぐるぐる走っていると、突然「目的地周辺に到着」というアナウンスだ。 目指すホテルの真正面だった。 以前のようにこの複雑な道を地図を頼りに走っていたら、何度も道に迷っていたことは確実で相当な時間をロスしていたどろう。 このカーナビは本当に優れものだとあらためて感心したのだった。
Good Viewの部屋を指定して予約していたのに1階の屋のキーを渡されたので、1階は嫌だ!高層階にしろ!とフロントのお兄さんとやりあって、何とか上の階へと部屋を変更することができた。 このホテルは「部屋からシテが見える」というのが売りだったので予約を入れていたのだったので、1階の部屋と言われて思わず切れそうになってしまったのだ。 部屋からは確かにシテを一望することができて満足。 夕方の空はあいにく雲に覆われておりいまひとつで、目の前に見えるシテの城壁の美しさが伝わってこないが、
部屋から見える城壁に囲まれた場所が、シテ(cite)と呼ばれる場所。 ここが世界遺産に登録されており、フランスではモン・サン・ミッシェルに次ぐ年間入場者数第二の大観光都市となっているとのこと。 「死ぬ前にカルカソンヌを見ておけ」といわれているそうで、300万人もの観光客が毎年来ているらしい。
長いドライブで疲れていたが、夕食ではこの地方の名物料理である「カスレ」を食べるぞということで、目星をつけていたレストランを探しに行くことになった。 驚いたことに、土曜日の夜だというのにホテルからシテへと向かう道には観光客の姿が見えないではないか。 300万人の観光客はどこにいるのだ! ぶらぶらしていると、ついに雨が降り出してきたで寂しくなってしまう。
目指すレストランを見つけたが、まだ時間が早いせいかガラガラだった。 もちろん「カスレ (cassoulet)」をオーダーする。 このカスレという料理は、カモ、豚、豆などをごっちゃにして土鍋で煮込んだ料理だ。 後から入ってきた連中もみんなこれをオーダーしているが、みんな人数分のカスレを注文して食べている。 我々はカスレを一つ注文してシェアして食べたのだが、それで十分でお腹いっぱいになってしまいデザートも無理というような状態。 隣のテーブルの年配カップルはカスレを二つ頼んで、驚いたことに土鍋から全部皿に出していまい、それを二人ともあっというまにきれいに平らげてしまった。 すごい、このような情景にはもう慣れたけれど。
念願のカスレを食べて満腹で幸せ気分、レストランから外に出ると時間は午後8:50だった。 シテのライトアップを見に行こうとホテル近くの橋まで行ってみた。 ちょうどライトアップが始まる瞬間に立ち会うことができた、ライトアップは夜の9時からだったのだ。 ちょうど日が暮れるタイミングでまだ青色が残る空をバックに少しずつライトアップされるシテの姿は幻想的で美しかった。 なるほど、これを一生に一度は見なさいといっているのだなと思った。
暮れゆく空の色は刻々と変化し、眺めているだけで楽しい。 でも気温が下がり寒くなってきた。 一旦ホテルに戻ってひと休みして、寒さ対策をしてから橋へと取って返す。
既に夜の帳が下りた空は青くはなくて黒一色、と想像していたのだが、なんと大きな月が雲の間から出てきているではないか。 この月と雲がまた何とも言えず美しい。 後からわかったのだがこの日はスーパームーンだった、月が地球に一番近づくことから満月が大きく明るく見えるていたのだ。
スーパームーンが照らす雲、ライトアップされた城壁、まさに幻想的な風景で月の位置と雲の形が刻々と変わり見ているだけで飽きない。 これがカルカソンヌの絶景なのかと感動、一生忘れないであろう素晴らしい体験となった。
・・・・・・・・ to be continued

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