★ ロカマドール3 Rocamadour3 ★


   メインストリートの奥に急な階段を見つけたので、気合を入れてどんどん登る。 巡礼者はこの急で長い階段を「膝だけで」登ったというから驚きだ。 途中の村の中層部分(二層部分)には複数の立派な教会があった。 ここに奇跡を起こすという黒いマリアがいるのだろうか? 時刻は既に夕方で教会も入り口は閉まっていた。
 
黒いマリアはあきらめてどんどんと進むと更に崖を登る坂道を発見した。 この坂道は巡礼者の坂道であり、昔の巡礼者たちは最初の階段に続きこの坂道も「膝で」登ったとのこと、膝の一歩ごとに神への感謝をつぶやきながら長い時間をかけて登ったのだそうだ。 うーん、同じような話はラメーゴ、ボンジェズスでも聞いたことがあるぞ、確か三度目だぞ、信仰の力は偉大だなと思った。

巡礼者の坂道までくると観光客はほとんどいない。 下の大通りの大勢の観光客はみんなどこへいったのだと思いながら、この神聖な坂道を「普通に歩いて」登るのであった。 坂道の途中には岩をくりぬいた教会があり神聖な雰囲気を倍増させる、この坂道を登りきるとそこはロカマドール村の崖の一番上となる上層部分だ、そしてそこにはシンプルな城がぽつんと建つていた。 ロスピタレ村の展望場所から何度も眺めたお城がこのロカマドール城だった。

この城の入り口には入場料2Euroの自動ゲートがあり動いていたので入場してみた。 まったく今日はメーデーということで昼間はどの城もクローズで入場できなかったのにここは関係ないのか! 要するに無人ゲートであればメーデーも関係なくオープンしているという訳か、まったく現金なものだとあきれてしまう。

2Euroの元をとるぞと張り切ってこの城に登ったのだけれど、実際にこの城の上から見る景色は素晴らしいものだった。 眼下にロカマドールの村を見下ろし第二層の教会と下の層のメイン通りが見える。 その向こうには蛇行するアルズー川(Alzou)と緑の丘、山の風景が一望できる。 我々の宿があるロスピタレ村も見える。 崖の上にあるこの教会からはまさに360度の景色を堪能することができ、ここからの景色はまた別のロカマドールの絶景だった。 観光客はほとんど来ない、みんなメインストリートだけで帰るのかな?もったいない。

さて、ここからは城と同じ高さにあるロスピタレ村まで崖の上の道を歩いて戻る。 ぶらぶら歩いて15分で宿に到着した、ホテルのお兄さんご推薦の散策コースは観光客を避けるルーとなっておりとても良いコースだったのだ、とても満足感が高い村の散策であった。

さて、宿へ戻るとそろそろ夕食の時間だ。 昼から周辺の美しい村と城、そしてロカマドール村のメイン通りから崖の上の城へと歩き続けたのでお腹はぺこぺこだ。 ロカマドールで一番と評判のレストランは観光客でにぎわう大通りではなくロスピタレ村から2キロ離れた田舎道に沿った森の中にあった。 事前調査でここを見つけていたのだけれど場所が良くわからなかったのだが、宿のお兄さんからこのあたりではこのレストランが一押しと聞いた。 彼が親切にも予約まで入れてくれるというので、この郷土料理レストランへ行くことにしていたのだ。

レストランはいろいろな種類の肉を豪快にグリルするレストランだった。 森の中にあり落ち着いた雰囲気のレストランで、ゆっくりと夕食を楽しんだ。 山羊のチーズである「ロカマドールチーズ」はワインと一緒だと素晴らしい味がした。 ラムとリブを豪快にグリルした料理は香ばしい味がした。

ゆっくりとした夕食、田舎の小さなレストランで地元の料理を楽しむのは旅行の醍醐味で、とても楽しい。 これこそ「脱日常」の体験であり素晴らしい経験になると思う。 このグリルレストランは、雰囲気/店の対応/料理の味/値段すべてがすばらしく、とても楽しくて充実した時間を過ごすことができた。

宿の戻ってから、夜のロカマドールを見に行った。 前日はレストランから出てこのライトアップを見ようとしたが、あまりの寒さに即撤収してしまったのだったが今夜は宿で完全防寒してからロスピタレ村の展望台へ出かけたのだった。 ロカマドールはライトアップされて幻想的だった。 まだ青さが残る空の色が刻々と変化してなんともえいない素敵な景色となっている。 目の前にライトアップされているこの素敵な村、数時間前にはその村の教会や城にいたのだと思うととても不思議な感覚を覚えるのだった。

ライトアップされたロカマドールを楽しみ、満足してこの日も熟睡!


 翌日、前日のような幻想的な景色を見たくて朝早く起きてしまった。 期待して外に出て展望台へと向かったのだが、何と霧は少ししか発生していなくてとても幻想的とはいえない景色がそこにはあった。 がっかりしてしまったのだが、気を取り直して眺めてみると朝日がロカマドールの上の層にあたり輝いているではないか。 徐々に太陽が高くなるにつれて、朝の光が差し込んできて真ん中の層そして下の層を照らし出すと、またまた違う雰囲気のロカマドールが出現したのだった。

まったくこの村は次から次へとその表情を変えるものだ、別の季節に来て見たいなと思った。 朝の光を受けてキラキラと輝く景色も長くは続かないのだろう、朝食後に見たロカマドールは堂々とした安定感を醸し出しており、朝の微妙な顔とは待ったく違うたくましさを見せるのだった。


短い滞在の間にいろいろな表情を見せてくれたこの崖に張り付く美しい巡礼の村ロカマドール、いつまでも変わらないで欲しいと願いながら別れを告げた。


・・・・・・・・ to be continued


ロカマドール2 美しい村と城



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