ロカマドールの二日目の朝、早く起きて「霧のロカマドール」を見に行ったが前日とは打って変わり霧は出ていなかった、または消滅しかかっていた。 せっかく早起きしたのに残念無念、でも崖に張り付いた村に朝日が上から順番に当たって行く風景もまた素晴らしい眺めだった。 まだ暗く眠っている村に朝日が当たると、その部分が目覚めてゆくようにキラキララと輝きだすのだ。 宿に戻って朝食後にオーナーと話していたら、「今日はパディラック洞窟がオープンしているよ」と言うではないか、ラッキー!
オーナーに宿の隣の土産屋でフォアグラを買おうかなと言ったら、「それはやめたほうが良い、値段が高くて美味しくないよ。 近くの農場経営者がやっているフォアグラ直売の店を紹介してあげよう」などと言う。 オーナーから聞いた直売店は、道路沿いの小さな店だったが中は「全部フォアグラの缶詰」状態だった。 フォアグラの買い物をしてから早速洞窟へと向かう。
鍾乳洞に到着すると、なんと前日はガラガラだった駐車場には多くの車がいた。 人がほとんどいなかった建物では、チケット売り場から建物の外へと長蛇の列ができていた。 前日のインターネット予約のチケットを使って何とかこの長い列に並ばずに入ろうと思い、インターネット予約受付を探し出して交渉しようとしたがそこには係りの人がいない。
しばらく待っていたが誰も来ない、受付の書類を覗き込むと今日の予約は数名で2時間後に一組入っているような感じだな。 インターネット予約の人はほとんどいないのか、連日のツアー中止でみんなキャンセルしてしまったのか? 受付の人も2時間後にしか来ないということなんだろうなと思った。 仕方なくこの長い列に1時間以上並んで当日券を買ったのだった。
やっと入場券を手に入れて、チケット売り場の横のリフトに乗り込み下降する。 リフトは途中で乗り換えるぞ、でも別のリフトには乗らずに途中から階段でどんどん降りる。 この階段が前日穴を覗き込んだときに見えた「鉄の階段」だったのだ。 階段のすぐ横を水が滝のように流れ落ちている、凄い景色だな。 階段を下りきるとそこは穴の底辺部分だった。
穴の底から上を見上げるとぽっかりと丸く開いた穴から青空と雲が見える、とても不思議な景色だ。 周囲の崖からは水が滝のようになって落ちてきていた。 普段もこんなに滝になって水が流れ込んでいるのかな? これが大雨の影響なのかしらと思った。 地面に空いた大きな穴から奥へ続く洞窟探検が始まると思うとわくわくしてきた。
さて、待ちに待った洞窟探検の始まりだ。 穴の橋の部分からの階段を更に下ると、激しく流れる川があった。 ものすごい音を立てて流れる激流だ! まさに洞窟の中、鍾乳石に囲まれた暗い道を川に沿って進む。 狭い洞窟の天井からは雨のように水が落ちてきた、これも大雨の影響なのだろうか、たまらず洞窟の中で傘をさす。 このツアーで傘をさしていたのは多分我々だけだたっと思う・・・
鍾乳洞の幻想的な景色の中、傘をさしながらどんどん進んでゆく。 小さな川に沿ってしばらく暗い道を歩くと水の流れ落ちるような音が近づいてきた。 なんと洞窟の中には滝があって、大きな別の川が目の前に現れただった。 川の流れは激しくてまさに激流だ。 狭い洞窟の中でこの激流は怖い、この川の水位が上がるということは道が完全に川になってしまうということなのか、なるほどツアーが中止になる訳だと納得してしまった。
歩いているだけで、上から水がどんどん落ちてくる。 皆さん全身ずぶ濡れでぐっしょり濡れ鼠となってしまっており、その姿は笑えたが寒そうでかわいそうだった。 更に洞窟の中を進むと突然長い列を発見、狭い道の列の最後尾に自動的に並ぶことになってしまった。 なんだなんだ、この列は?
ボート待ちの列だった。
この細い道は川にぶつかり消滅していた。 道が全部川になってしまったからにはそれ以上先には進めない、泳ぐのかな?などと考えてしまう。 でも心配は不要だった、この行列はボート待ちの行列だったのだ。 小さな11人乗りのボートに次々と乗り込む。 どこからともなく現れた船頭さんが長いオールを手に最後尾に乗り込み定位置につくと出発だ。
ボートは狭い川をゆっくりと、ゆらゆらと進む。 船頭さんが大声で説明するがフランス語オンリーなので理解できない。 多分、「皆さんはラッキーだ、先週降り続いた大雨で洞窟の川の水位が上がりこの川も天井まで水位が上昇してしまった、しばらくツアーは中止していたがやっと今日から再開できた」などと言っていたのだろう。
鍾乳洞の川の流れはゆるやかだった。 ボートはゆっくりと、のんびりと進む。 壁に沿って設置されているオレンジのランプがなければここは真っ暗闇のはずだと思うと少し怖い。 オレンジのランプがゆらゆらと揺れながら壁を照らす、なんて幻想的な雰囲気なんだろう。 船頭さんの解説がうるさいなぁ、黙ってくれないかなぁ、とぶつぶつ言っているうちに、小さなボートは洞窟の奥にの波止場に接岸したのだった。
ここからは更に奥に向かって道が続いており、ボートの乗客単位の11名のグループで移動することになるのだが、なんと船頭さんがガイドに早代わりするのだ。 ところどころでみんなを集めて次々と説明してゆく船頭さん、いやガイドさん。 でも何を言っているのかわからない我々はひたすらグループから離れた単独行動を楽しむ。
この洞窟の奥はまさにツアーのハイライトだった、美しい川あり見事な谷ありで、大きな広場や吊橋まで出現して冒険気分を存分に楽しむことができた。 しかし、至る所で雨のように更に激しく水が落ちてくる、たぶん普段はこんなにすごくないのだろうなと思いながら、相変わらず我々だけが傘をさしながらのこの洞窟の奥底での「雨のツアー」は進行して行く。
吊橋から眼下のものすごい景色を見ていると、昔行ったスロベニアのシュコシャン洞窟を思い出さずにはいられない。 このパディラック洞窟はシュコシャン洞窟に匹敵する規模の洞窟だった、あきらめずに来て良かったなと思うのであった。
洞窟の奥の階段を上ったり降りたりしながら絶景を楽しんでいると波止場に到着、ボートに乗るとガイドさんがまたまた船頭さんに早代わりしてしまった。 この船頭さん、帰り道は上機嫌でボートをわざと揺らしたり歌を歌ったりの演出は楽しかった。
90分のツアーを無事終了して、外界が見える穴の下まで戻ってきた。 穴に差し込む日光が眩しい。 リフトを乗り継いで入り口の建物まで一気に戻る。 戻った途端、汗が一気に噴出してきたので驚いた、洞窟の中はとても寒かったのだということを実感したのであった。
・・・・・・・・ to be continued

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