一日遅れのパディラック洞窟の見学も無事に終わり、今日の宿泊地へ移動だ。 今夜から二泊の予定でカジャックという場所の農家民宿に宿泊するのだ。 カーナビに農家民宿を入力して、高原の道や細い山道をドライブする。 このカーナビは何故か幹線道路を避けて田舎のローカル道を選ぶ傾向があり、地図を見ながらのドライブでは決して通らないであろうローカルな道ばかりを走るのだ。 でもそれはそれで楽しいドライブになるのであるので楽しいのだが。
夕方のドライブを楽しみながらひたすら西に向かって走る、幹線道路を避けるカーナビは田舎の道ばかり走らせてくれて、どのかな風景を楽しみながら走り続けると、ついに農家民宿に到着。 ここは事前にGoogle Mapでもその場所が発見できなかったのだ。少ない手がかりから場所を割りだし、最後は道路から畑のあぜ道を山に向かって相当入った場所、ストリートビューの映像がなくなる直前にそれらしき建物を発見して「ここしかない」と推測して入力しておいた場所だった。
それらしき建物の裏に車を停めるとそこにはウサギ小屋があった、建物の2階からばあさんが顔を出して何か言っているぞ。 ばあさんとのやりとりは埒が明かないなぁと困っていると、よく似た顔のおばさんが代わって登場したので民宿の名前を言うと「ここがそうよ、車はこここに停めないで」と(たぶん)言っている。 表に回り表札を確認するとやっぱりここが目指す農家民宿だった。
車をウサギ小屋の前から移動し指定された場所に移動させてからおばさんとご挨拶、少しだけ英語を話すが要領を得ない。 この宿に日本から宿泊希望のメールを打ったところ、フランス語で返信されてきた。 翻訳ソフトで解読してから、英語を翻訳ソフトでフランス語にして送ったら、こんどは英語で返ってきた。 この英語がむちゃくちゃ怪しかったことから想像はしていたがやっぱりねという感じだなぁ。
ハーフボードで夕食も込みという内容にしてはとても安い宿泊費だったので実は不安があった。 まあ農家民宿だから安っぽい食事でも仕方ないか、レストランなんて近くにないしなぁ、値段から考えるとまったく期待できないけれど、我慢するかとほとんどあきらめていたのだった。 二階の部屋に通されると・・・ うん、なかなかいいじゃあないですか、清潔で広い部屋だった。
長い距離を運転したので疲れてしまい少しお昼寝。 夕食の時間になったので一回のダイニングに行くと既に二組のゲストがそこにいた。 我々を加えて4組のゲストが揃って夕食がスタート、驚いたことにおばさんとそのご主人も一緒にテーブルに座ったのではいか!
夕食は手作りの食前酒となる梅酒でスタート、この梅酒が目茶苦茶美味しい。 最初の料理のグリーンパンプキンのスープで驚いた、素晴らしい味がした。 次にフォアグラが登場してまたまたびっくり、これがまためちゃくちゃ美味しい。 メイン料理はカモのコンフィ、カモをその油で長い時間かけて焼くこの地方の名物料理だ、ロカマドールでも食べて美味しかったがこのカモはさらに美味しかった。 手作り赤ワインも出たがこれだけは味がストンとしていていまひとつの味だった、ワイン造りはさすがには難しいのかもしれない。 台所で夕食の前からじゅうじゅう音がしていたのはこのカモ料理だったのだと納得。 デザートはこれまた手作り胡桃ケーキ。 最後にはコーヒーとレストラン顔負けの豪華な夕食だった。
この夕食、初めて会ったゲスト達がすぐに打ち解けたのと、宿のおばさんがお話し大好きなので、最初は緊張気味だった食卓の雰囲気があっという間に打ち解けてお話大会になってしまった。 フランス語が飛び交う会話に我々は当然入ってゆけない、テーブルの中心に座らされた我々にはは8時半から11時過ぎまで延々と続いたこのフランス語でのディナーは修行の気分だったと言っておこう。
でも、時々は隣の席のお目目パッチリお姉さんが英語で話しかけてくれたり、宿のおばさんが怪しい英語で話を振ってきてくれたりしてそれなりに楽しむことができた。 コーヒーの後もわいわいと長い間お話してやっと夕食が終了、みんなで食べた食器を食堂まで運んでからやっと部屋に戻る。 1階ではまだお話がしばらく大声で続いていたのであった。 宿泊費の安い農家民宿で食事はまったく期待できないと思っていただけに、この豪華ディナーには本当に驚いてしまった。
ゲストとおばさんとのお話はしばらく続いていたが、最後のゲストが部屋に戻ると突然静かになった。 夜が更けるとまったく静かで物音ひとつしない。 完全な静寂を久しぶりに味わって感動したが、ワインが心地よく回りあっという間に夢の中。
農家民宿の朝食もみんなで一緒に食べる。 ジュース、ヨーグルト、バターなどが全部ハンドメイド。 ジャムはいろんな種類があったが全部おばさんが手づくりしているよ自慢げに説明してくれた。 当然手作りのヨーグルトとメロンジャムの組み合わせが最高の味で感動を覚えるほど。 こんなに美味しいヨーグルトは食べたことがない。 パンも美味しい、フランパンはどこで食べても美味しいなぁ、フランスだから当たり前かもしれないけれど。
この朝食で驚いたことがあった、席に着くと目の前にどんぶりの小さいのが置いてあった。 これでシリアルでも食べるのか思っていたら、隣のゲストのおばさんがそのどんぶりに淹れたてのコーヒーをドバドバと注ぐではないか。 これはいかん、よりによってどんぶりにコーヒーはないでしょう!間違いを教えてあげようかな?余計なお世話かな? とびっくりの私だったのだが、みんな普通にしていてこの変なアクションに注意も払わない。
それどことかそのおばさんは私に「コーヒー?」と聞いてきたぞ。 思わずハイというと私のどんぶりにコーヒーをドバドバと注ぎ始めてしまった。 これにはびっくりしたがそのまま見ていると、次々にみんなどんぶりにコーヒーを注いでゆくではないか、ミルクを入れる人もいて、砂糖まで入れてかき混ぜているのもいるぞ。 すっかり固まって見ていると、みんなパンにジャムやバターを塗ってそのままこのどんぶりのコーヒーにつけて食べているぞ。 うーん、みんなが普通にやっているということはこれが普段の朝食風景なのかもしれない。
気を取り直して、みんなの真似をしてどんぶりコーヒーにパンをつけて食べてみる、以外に美味しいではないか。みなさん、軽く朝食を済ますとどんぶりを両手に持ってコーヒーをきれいに飲み干してごちそうさまをした。 同じようにしてみたが、この冷めたコーヒがバターやジャムの味がして・・・・ 不味い(のに決まっているでしょう!) 突然、ロンパールームを思い出した我々はもう笑うしかない! みなさん、朝は軽く食べるのね、我々はいつものようにがっつり食べてしまった。
・・・・・・・・ to be continued

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