よく寝たが時差ボケの頭はいつものようにふらふらする。 空は曇りでどんよりしている。 ホテルでゆっくりと朝食をとり、昼前にチェックアウトしてから駅のEuropcarオフィスへと向かう。
昨年と同じオフィスで同じような手続きを済ませて、とてもわかりにくい隣のビルの3階の駐車場へと向かう。 車はルノーでMEGANE110CVという車種だった。 うーんコンパクトカーをリクエストしたのにこれは大きな車だなぁ。 またまた指定したクラスと違うぞ、まったくこのパターンには困ったものだ、クラスを上げればそれで良いってものではないでしょう!
しかしこの車は高級だな、というか数年前にポルトガルでパンクさせた車と同じような気がする。 あのときもコンパクトで予約したのに準備されたのが大きな車で、車幅の感覚がまだない初日にパンクさせてしまったのだった。
なんとなくパンクを思い出して気分が良くないな。 でもどうしようもなく仕方ないのでスタート、駐車場の狭い狭い螺旋の坂道をびびりまくりながらゆっくりと降りてゆく、無事一般道に出たぞ。 さあドライブ開始だ。
カーナビに先導されて高速道路に乗り、最初のサービスエリアはうまく入れずに次のサービスエリアで一休みしてランチにする。 このサービスエリアは広大で、運河の横にレウトラン、カフェ、ガソリンスタンドなどが点在している。 なんとホテルまであった。 サービスエリアンをこんな造りにするとは、さすがフランスはゆとりがあるなぁと感心してしまう。 相変わらずの空模様で曇り時々雨で、とっても寒い。
高速道路を降りるとそこはもう田舎道でマイロード状態。 怪しかった空からはついに雨が降ってきた、天気が良ければ素晴らしい景色なんだろうなと言いながらぶどう畑の中の一本道を走る。 雨の中をひたすら車を走らせるていると、目的地であるラグラッセ(Lagrasse)に到着した。 ラグラッセはフランスで最も美しい村に認定されている小さな村で、旧市街に入るには狭くて細い石畳の道に入るしかなさそうだ。
この狭い道の入り口にはすべて「一般車進入禁止」の大きな標識があった。 道は車一台がぎりぎり通れる幅で古い建物が両脇に立ち並んでいるのだった。 すべての道がそんな感じであって、カーナビはGPS電波を(建物に遮られてしまい)受信できないと判断したので、村の入り口に車を停めて、雨の中予約した宿を探す。
カーナビが示していた方向と住所を頼りに小さな村の中の狭い石畳の道を、宿を探しながらぐるぐる歩き回る。 観光客はまったく見当たらなくて、住民もまったく歩いていないぞ。 ぽつぽつとある店も扉は閉ざされているので誰かに道を聞くこともできない。 普通の家へ入り込んで住民のお兄さんに無理やり宿はどこ?と聞くと、彼は親切にもすぐ近くの宿の場所まで我々を案内してくれたのだった。
その宿の前は何度も通っていたのだったがまったくわからなかった。 というのも、この宿はまったく普通の家で雨の中の村の風景に完全に溶け込んでしまっていたのだった! 苦労してやっと見つけたその宿であったが、信じられないことに扉が硬く閉ざされておりチャイムを押しても扉をたたいてもまったく反応がない。 これは完全に留守だな。
参ったなと思いながら仕方なくまた村を彷徨っていると、「インフォメーションセンターはこちら」という標識を見つけた。 フランスで一番美しい村には必ずインフォメーションセンター(i)があるということをやっと思い出した。 ところがこの村の"i"にたどり着くのがまたひと苦労だった。
小さな村なんだけれど狭い道が入り組んでいてなかなか見つからない。 教会の横の行き止まりの道でやっと見つけた"i"もまた普通の家で、周囲に溶け込んでしまっていたのだった。 でもラッキーなことに扉が開いていた。
中にはおばさんが一人いた、このおばさんに状況を説明し「予約しているのに留守だ! 何という宿なのだ! どうすればよいか教えて!」と訴えた。 このおばさん、信じられないことに英語がわからないぞ。 フランス語で何か言いながらその宿の場所を地図で示し、「ここだから近いわよ」などとのんきなことを言う。 身振り手振り作戦で苦労してやっと状況を伝えることができた、おばさんは大げさに納得した様子でどこかに電話してから、10分くらいここで待っていてね、大丈夫。 というようなことを言う。
30分は待っただろうか、おばさんがまたまたどこかに電話してから、もう大丈夫よ宿は開いているわよ、というような感じで笑顔。 半信半疑で宿に行ってみると、中には電気がついておりチャイムを鳴らすと宿のおばさんが登場。 大げさなゼスチャーで我々を迎えてくれたのだった。
予約を忘れていて外出してしまい"i"からの電話で思い出してあわてて部屋を準備したか、あるいはまだ来ないわよねと勝手に判断してお買い物にでも行っていたのか。 真実を知りたいのだが、このさっきからものすごく早口で言い訳している宿のおばさん、これまた完全フランス語であったことから結局真相はわからなかった。
部屋が確保できて一安心、人の気配がしない村の中を駐車場まで戻って狭い石畳の道を慎重に運転して部屋の前の駐車場スペースまで車を移動させる。 やっと落ち着くことができたのだった、あー疲れた。 部屋は二階で、窓からは川の向こうにある美しい修道院が一望できた。 雨の修道院は美しくてなかなか風情があるものだ。
夕食は、歩いて10秒のところにあるレストラン。 宿を探していたときは閉まっていたが夜になるとオープンしていた。 フランス語のメニューを苦労しながら解読してオーダーする。 小さな村の小さなレストラン、でも料理はちゃんとしたものを出すのがフランスらしい。 我々とあと一組で今夜のレストランは独占状態だ。 こんな食事が旅の醍醐味なんだなぁ。
ラグラッセの朝・・・ やはり雨だった。 天気予想によると今日は回復するというので少しは気分が良くなった。 宿をチェックアウトしてから川向こうの修道院へ行く。 この立派な修道院は現在所有者が2名いてそれぞれが独立に管理しているとのこと。 それは別にいいのであるが、入場料を別々に払うというのは勘弁してほしいものだ。 手前の赤い表示の入り口で入場料を払い確認すると「お隣は今日はお休みだわよ」などとおっしゃる。 どうしてお休みなの?と聞くと「そんなの知らないわよ」って、それはないでしょう!
この修道院は相当歴史ある建物だが、残念ながら保存状態はいまいちという感じだったのがちょっと残念。 入場料を取るのだからメンテナンスはきちんとすべきだと思う。 見学はさくっと終わらせて隣にある緑表示の入り口を確認したが扉は閉まっていた。 案内看板を見る限り中はなかなか美しい感じだ。 緑の方もみたかったなぁ、残念。
修道院の見学を終えてラグラッセの村をぶらぶらする。 石畳の細い道を歩き川にかかる古い橋を渡る。 観光客がいないのはシーズンオフだからなのか?それとも雨が降っているからなのか? 雨の石畳の道を歩いていると、まるで中世まで時間が戻ってしまったような不思議な感覚になってくる。
まだ雨は止まないが、午後からの天気の回復を信じて雨のラグラッセを出発した。
・・・・・・・・ to be continued

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