ラグラースから高速道路へと戻る道、前日も今日も雨だが晴れていれば美しい景色なんだろうなと思いながら。灰色の空で色彩のない風景を走り抜ける。 高速道路に戻りぶっ飛ばしていると天気が徐々に回復してきた。
フランスの高速道路は130km制限であるが、曇りや雨の日は110km制限になると標識には書いてある。 でも誰も制限速度なんて守っていない、しかしスペインやポルトガルに比べるとずいぶんゆったりとしている印象がある。
高速道路をひた走る。 途中でSAに寄った、運河に沿ってレストランや売店などの建物が別々に点在する美しいSAだった。 さすがフランス、こんなところにも余裕が感じられてうらやましい。 平日の昼過ぎのSAのカフェはセルフサービスなのだが、みんなものすごい量の食事をとっている。 どう考えても二人連れなのに二人共一緒になってワインを飲んでいるカップルもいた。
走るうちに高速道路はどんどん車が少なくなり、途中からは本当にガラガラ状態となった。 ゲートが現れここで一旦料金を払ったが、それからは同じような素晴らしく整備された高速道路なのに無料区間らしく驚く。 高速道路は緩やかに上り坂になり、これが延々と続く。 いったいどこまで上るのだろうと思っていたら、前方に奇妙な橋のようなものが見えてきた。
とっても近代的な形をした美しい橋だなと思っていたら、それがどんどんと近づいてきたではないか。 この橋を渡るのかなぁ・・・・
この美しい橋は「ミヨーの橋 (Viaduc de Millau)」という名前の、「世界で一番高い場所にある橋」だったのだ。 あっという間にこの橋を通過したのではあるが、高速道路で突然こんなに美しい橋を渡るのは楽しい経験だった。
橋を渡りしばらく走ると料金所があってここでで7ユーロ支払う、これは橋の通行料なんだなと思った。 料金所のゲートの向こうには女性警察官が仁王立ちして通過する車をチェックしていた。 これがみんなものすごい美人で、引き締まった顔はモデルがポーズをとっているようだ。 思わず見とれてしまい前の車にぶつかりそうになってしまった。
高速道路から降りるとそこはもう田舎道だった。 天気は回復してきて、曇り空から時折日が差すようになってきた。 気分が爽快になる。 しばらくの間のんびりと田舎道を走っていると、道が下りになりさらにワインディングロードになってきた。 そういえばずいぶん高い場所を走っていたような気がしていたなと思いながら、日光いろは坂のような道をどんどん下っていると、突然前方に視界が開けた。
これにはびっくりした! 前方に突然広大な渓谷が現れたのだった。 これがタルン渓谷(Gorges du Tarn)か! その景色を前にして言葉も出ない。 いろは坂のような道を下り終えると、そこは渓谷の底で川が流れている、これがタルン川だ。 この川に沿って小さな村があり、そこに目指す宿を見つけた。
今回の旅の最初のメインであるタルン渓谷に到着だ。
宿は道路と川の間にある小さなB&B、気さくなご主人と奥様に出迎えられる。 部屋からは川と断崖絶壁が目の前に見える。 少し休んでから周辺を散策する。 なんとなく川が増水しているような感じがするなぁ。
夕食は、宿でとることにした。 チェックインのときに宿のご主人から「今夜うちで食べる?」と聞かれて、メニューを確認してからお願いしていたのだ。 美味しい料理だったので満足。
ところが、ここでショッキングな話を聞いてしまう。 連日の雨で川が増水しておりボートツアーは中止になっている、翌日も中止だという。
あと一週間くらいすれば川も元に戻りボートツアーも再開すると思っているとご主人。 この親切なご主人は、ボートは無理だけれどもっといい場所があるといいながら洞窟のパンフレットを持ってきて説明を始めたではないか!
近くに二つの洞窟があり、午前中にこちら、午後にこちらというコースがお勧めで夕方には滝を見に行けと言う。 この洞窟は世界で一番すごい洞窟だと、ものすごいことを言う。
あんた、世界中の洞窟を見たのかい!って突っ込みたくなったのは言うまでもないが・・・ 川が増水しても天気が悪くて雨でも、洞窟見学にはまったく関係ないと、この陽気なご主人のお話は続くのであった。
うーん、我々は一年前も今年もボートツアーには見放されているのだなと、がっかり。 この時期、季節の変わり目で雨が多くて、いつも川が増水しているということなのかもしれない。 それにしても残念だ。
朝のタルン渓谷は朝靄が立ち込める幻想的な景色だった。部屋の窓からは、目の前の断崖絶壁に霧がかかりなんともいえない幻想的な景色。 しばらくすると霧が晴れて青空が見えてきた。 朝食はクロワッサンが美味しい、宿の主人は朝から元気、陽気な顔で「今日はお天気だよ、洞窟には最適だよ」などとまだ言っているぞ。
こんなに良い天気なのに洞窟はないでしょうということで、予定通りタルン渓谷のドライブに出発だ。 宿から渓谷の川に沿った道を北へと走る。 左の断崖絶壁に沿って狭い道を注意深く走る、右は川なのだ。 カーブミラーもガードレールもない道を走るのはなかなかスリリング。
時々対向車が来るのだが、彼らは「基本的に対向車はいないと信じて」センターラインオーバーでカーブを曲がってくるので相当怖い。 でもこの道はガラガラで、美しい風景を楽しみながらの楽しいドライブとなった。 しばらく走ると、ボートツアーが出発する村ラ・マレーヌ(La Malene)に到着。 宿の主人はボートツアーは中止だと言っていたが、念のため乗り場と川の増水具合を確認してみる。
ボート乗り場は閑散としていた、受付は閉まっていて表示されているフランス語の張り紙は読めないが多分「増水のためボートツアーは中止します」と書いてあるのだろう。 川に下りてみたが、増水しているようしていないような? 我々が乗るはずだったボートが岸に積み上げられててあった。 本当に残念、こんなにいい天気なのに。
・・・・・・・・ to be continued

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