ボートツアーに未練を残しながら、車を走らせて北上する。 センテネミー(Sainte Enimie)という村に着いた。 タルン川が緩やかに蛇行する場所にある美しい村で、例の「フランスで一番美しい村」にも指定されている。 川に沿った駐車場の入り口には進入禁止のロープ、シーズンオフだからかな?
道路沿いの駐車スペースはすべて埋まっており、車を停める場所が見つからない、やっとの思いで駐車スペースを見つけて一安心、さて村を散策するぞ。 川はやはり増水していたのだった。 この進入禁止の川の横の広い駐車場、よく見るとこの駐車場は浸水のため進入禁止となっていたのだった。
増水で川の水が駐車場の半分程度を覆うようなことになっていた。 なるほど昨年のラ・ロッカ・カジャックと同じか、駐車場が水浸しになるほどの増水ではボートツアーは無理だなあと納得した。
山の中というか渓谷の奥の小さな静かな村。 バスもタクシーもいなくて観光客はちらほらという感じでのんびりとした雰囲気が漂っている。 快晴で日差しが強い中、中世の雰囲気をそのまま残す村の坂道を登る。 細くて狭い坂道を登り城壁付近から眺める村と川、そして古い橋の景色が美しい。
川まで戻ってみると、閉鎖されていた駐車場の進入禁止のロープがなくなっていた。 なんと、半分くらい浸水しているこの駐車場には数台の車が停まっているではないか! もちろん車を移動させて駐車してみた。
こんな場所に車を停めてはみたものの、いつ車が流されるかと思うと心配で心配で・・・・ そんなに心配であればもっと安全な場所に停めれば良い? そのとおり。 でも日本ではこのような場合、「絶対に」「120%」駐車場を開放しないので、貴重な体験だと思って・・・
さて、ここからのドライブでは道は南へと進路を変える。 この狭くて曲がりくねった道はしばらく続くが、突然幹線道路に合流したと思ったらフロラック(Florac)という村はすぐだった。 村の入り口の駐車場に車を停めてぶらぶら歩きを開始する。
この村は比較的大きな村なのだが何となく活気がないような感じだな。 ここはタルン渓谷の西の入り口で、夏のハイシーズンには村の人口が3倍になるらしい。 でもまだシーズンは来ていないので観光客もほとんど見かけなくて、のんびりとしているのだった。
村をブラブラしていると美しいシャトーを見つけた。 シャトーの入り口は閉まっていて中には入れない、そういえば今日はメーデーだというのを思い出した。
昨年も大雨で洞窟ツアーが中止となり、メーデーにシャトー巡りをしてしまい全部閉まっていたのを思い出した。 村の中には小さなな川が流れているのだが、この流れがものすごい、明らかに増水しているのがわかった。
このフロラックがタルン渓谷ドライブの終点なのだった。 さて、来た道を戻りセンテネミー経由で宿へと戻ることにしよう。
帰り道は来たときの川沿いの道ではなく、センテネミーから断崖を上って崖の上の道を走ろうかなと思っていたのだが、のんびりとし過ぎたようで夕食の時間を考えるとちょっと無理があると判断し、来た道を戻ることにした。 途中の名もない村に立ち寄ったり景色の良い場所で写真を撮ったりしながらゆっくりと戻る。
この日の夕食も宿で、でも前日とは違い11名の団体が来ておりこの連中が食事中もうるさい。 落ち着かないので早々に夕食を切り上げて、夜の散歩に出た。
夜になると気温が急に下がり寒くてびっくりする。 宿の庭から空を見上げると、無数の星が見えた、夜空にこんなに多くの星があったのかと驚いた。
日本ではもうこんなに澄んだ夜空を見ることはできないのだろうな、「星の降るような空」はこのことなんだなぁと感動した。
カーナビの話を少し。
レンタカーは勝手にグレードアップされていたのであるが、なんとカーナビもついていた。 TomTomという名前のカーナビなのだが、こいつが突然「牛の鳴き声」で警告するのだ。
フランスの道路の最高速度は、高速道路では通常130kmで曇りや雨の場合は110kmとなる。 田舎の一般道の場合は90kmが標準で、村に入ると70km、50kmとなり村の中心部ではしばしば30kmと細かく設定されている。
町中では状況によりさらに細かく設定されているのであるが、カーナビはそれを忠実に記憶しており実際の速度と比較する。
少しでも速度超過すると、牛の「モゥー」という声で注意してくれるのだ。 この牛の声を無視して速度を落とさない場合、牛が連続で鳴き続けてうるさい。 速度以外にも、急な加速や減速などで同じく牛が鳴くという親切なカーナビなのだった。
村を結ぶ道は基本的に90km制限、どんなに坂道でも曲がりくねった道でも、狭い道でも90kmで、まあそんなにスピード出せないので牛は鳴かない。
逆に町や村ではガラガラでも50km制限や30km制限があり、そこで牛が鳴いてばかりでうるさいし気が散る。
問題は、この牛を鳴かなくさせる設定が方法がわからないことだった。 画面はフランス語で英語、または日本語?への表示変更方法がわからない。 何度も変更トライしたがついに諦めてしまった。
結局は日本から持って行ったマイ・カーナビとこの牛が鳴くTom Tomのカーナビの「デュアル・カーナビシステム」で運転することになってしまったのであった。
フランスでも、他のヨーロッパの道路と同じく、山道のワイディングロードには、カーブミラーがなくガードレールもほとんどない。 対向車は普通にセンターラインオーバーしてくるので、運転を誤ると谷にダイビングしてしまうというスリリングな運転なのである。
でも慣れると、このような状況でも特に気にならなくなり、普通に運転できてしまうのが不思議だ。
・・・・・・・・ to be continued

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