★ エスタン Estaing ★


 トスカーナに似た風景を楽しみながら車は走り続ける、景色が平原から山間部へと変わってきた。 まだ太陽は高いが時刻は夕方なんだな、なんて思っていると、目の前に古いシャトーが見えてきた。 エスタンに到着したのだ。

宿はすぐに見つかりチェックインする、受付近くにいたおばさんが対応してくれたが、このおばさんはものすごく早口のフランス語を話すが英語がまったく通じない。 ものすごく苦労してチェックインを完了した。

エスタン、この小さな村もまた「フランスでもっとも美しい村」に認定されている。 まるで絵にかいたような風景で、川と古い橋が見事な調和を見せる印象的な景色に、古いシャトーと街並みが溶け込んでいるのだった。 夕食前のお散歩ということで村をぶらぶらするが、あっと言う間に一周してしまうのだった。


夕食はホテルのレストランだ、チェックインの時におばさんが「ぜひ、ここのレストランで夕食を食べろ」と強く勧めた(に違いないと理解した)ので、予約を入れておいた(入っていると信じていた)のだった。 でも、驚いたことに、この立派なレストランの今夜の客は我々ともう一組だけだった。

予想はしていたが、メニューはフランス語だけ、ウェイトレスもフランス語だけ。 時間をかけてメニューを解析し、満を持してオーダーしたのであるが、予想外のことが起こる!

メイン料理で、ポークだと判断して注文したのがチキンで、フィレステーキと信じて注文したのが魚だった。 とてもおかしくて笑いが止まらない! 大笑いする我々を見ながら、不思議そうな表情のウェイトレス。 でも両方ともとても美味しかった。

まったく、こんなガラガラなんだから予約なんて必要ないでしょう! 多分このホテルは村一番のホテルだと思うのだが、宿泊客も我々とあと一組だけらしいのが不思議。 今はシーズンオフなのかなぁ?


翌朝、予想は当たり宿泊客は我々とあと一組のみだということがわかる。 ガラガラのレストランで食べる寂しい朝食を済ませ、チェックアウト。 なんと、フロントのお姉さんは英語ベラベラだった。

なんだよあんなに苦労してチェックインして、レストランでもメニューが読めなくて困ったのに、もっと早く出てこいよ、などとぶつぶつ言うしかない。


チェックアウトしてから、また村をブラブラする。 そして、前日は夕方ということで閉まっていたシャトーの見学へと向かった。

受付でガイド付きかガイドなしか聞かれるが、経済的事情からガイドなしでチケットを購入すると簡単な英語の説明プレートを貸してくれた。 このチケットのデザインがセンス良くてフランスっぽい。

シャトーの見学それ自体はたいしたことはなかったが、城の一室に「前大統領の歴史」みたいな展示が組まれていた。 例によってすべてフランス語なのでよくわからないが、前大統領とはジスカール・デスタンのようだ。

ジスカール・デスタンは確かに以前のフランス大統領だけどね。 この部屋の写真とフランス語の説明をじっくり眺めて想像したところ、彼または彼の親族がこの村と縁があり、名前のデスタン (Giscard d'Estaing) はこの村に由来するらしい。

うーん、難しいなぁ、d'Estaing とEstaing ではちょっと違うぞ。 とても気になるので。説明プレートを返却するときに受付のお姉さんに聞いてみた。

お姉さんによれば、ジスカール・デスタン (Giscard d'Estaing) の奥様がこのエスタン(Estaing)村の領主であるデスタン家 (Famille d'Estaing)出身だったとのこと。

その後デスタン家の断絶に際しその名門家の名を継承することになり、ジスカールさんがデスタン家も名乗ることになったとのことらしい。二つの家系を続けて Giscard d'Estaing という名前になった。

d'Estaing とEstaingの違いについては、「同じなのよ」と言っていたが、何が同じなのかよくわからなかった。 だって明らかに違うでしょう!




・・・・・・・・ to be continued


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