小さくて美しい村エスタンに別れを告げる。
さて、旅も後半戦に突入だ。 エスタン近くの美しい村を訪ねることにした。 まずは道の途中で見つけたスーパーマーケットに寄ってみた。
郊外にある普通の中型の店なんだけれど、ここでも目立ったのは、ワイン売り場が充実していることだった。 普通の大型スーパーの一角に、ものすごい数のワインボトルがずらりと並ぶ風景は壮観だった。
日本の店のイメージで考えると、店の規模とワイン売り場の大きさがどうもアンバランスに見えてしまうのだ。 ここはフランスなのだと思い知らされるのはこんなときなんだなぁ。
この店をぶらぶらしていると、ちょっと変わった食べ物を見つけた。 アルミ容器に入って火にかけるとそのまま食べられる「鍋焼きうどん」のようなものが、大量に廊下のワゴンで売られていた。 これなんだろうな?
写真入りの説明をじっくりと眺めるが、フランス語なのでわからない。なんだか白いチーズのような食べ物がベロンとした写真は美味しそう。 この地方の食べ物だと書いてあるような気がする。
この美味しそうな食べ物に興味津々ではあったが、諦めるしかない。 いつまでもスパーマーケットにいる訳にもゆがず、目指す村に向かって車を走らせる。
サン・コーム・ドルト (Saint-Come-d’Olt) という村に着いた。 駐車する場所が見つからずに村をぐるぐる回る。無理やり駐車スペースを確保して車を停めてからぶらぶら歩きを開始した。 フランスで最も美しい村にしては、全体的に暗い色でなんとなく気分が落ち着かない。
村の中心には立派な教会があった、古い外壁には立派な彫刻があり中も立派だった。 しばらくこの教会を眺めていたら、自転車に乗った巡礼者が次々にやってきた。 教会の前に自転車を止めて情報交換をしている様子だ。
みんな帆立貝の印をどこかに付けているので、「サンチアゴ・デ・コンポステーラへと向かう巡礼者」であることは一目見ただけでわかってしまうのだ。 目的地のあの大聖堂に着いた時の、あの巡礼者たちの幸せそうな顔を思い出さずにはいられない!
この村の暗い雰囲気の理由がわかった、あちこちで大規模な工事の最中だったのだ。 大型の重機が入っておりその騒音で村全体がうるさいのだ。埃で空気もきれいではない感じで、どうも「美しくない村」だと感じてしまう。 これでは巡礼者たちが可愛そうだ。
工事は歴史的建造物の修復という感じだったので、工事が完了すれば本来の姿に戻るかもしれないなどと考えながら、この村には長居することはなかった。
さて、気を取り直して次の村へと向かう。 次の村は、サン・トゥラリー・ドルト (Sainte-Eulalie-d’Olt) という名前だった。 さっきの村と似たような名前で紛らわしいな。 村の外れの駐車場に車を停めて散策に向かう。
なんだか人気のない村だなぁ、村外れには小さな教会がぽつんと建っており雰囲気がでてきたぞ。 村の中心に向かって歩き出すと小さな川に出会う。 落ち着いた建物と川が良く調和している美しい村だ、誰も歩いていないので川の音しか聞こえない。
直前の美しい村が工事中であったことから印象が良くなかっただけに、この村の静寂が心地よい。 村の風景も建物の色が統一されていてセンスが良い感じ。 どんどん歩くと中心部らしい場所に出る。 小さなホテルや小さなレストランがあるが、派手なデコレーションもなく村に溶け込んでいる。 パン屋さんを発見、やっとここで地元の人がパンを買っている姿を発見しほっとする。
ところどころに、フランスっぽい風景を見つけながらぶらぶら歩くのがとても楽しい。 こんなに小さな村でも、このフランスっぽさはすごいと思う。 風景を切り取るだけで「絵葉書」になるような気がした。
ガラスの小物を売る小さな店に入る。 小さな小物を買ったのだが、店のおばさんから「息子が日本に行ったきり帰ってこない、寂しい」というような話を聞かされる。 100%フランス語で身振り手振りを交えて何かを訴えてくるのであるが、残念ながらほとんど理解できなかった。 ごめんなさい、おばさん。
のんびりとした中で、手作業で工事中のおじさんに挨拶しながら、相変わらず静かな村をぶらぶら歩く。 あちこちにさりげなく置かれた小物がこれまたおしゃれ。 まったく、このぶらぶら歩きは飽きないなぁ。
いつまでも歩いていたいのだが、もう夕方だ。 静かで美しい村に別れを告げた。
・・・・・・・・ to be continued

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