山の中の小さくて美しい村コンクに別れを告げ、車はフランスで最も美しい村へと向かう。 トゥールーズへ戻る前に、近くの2つの村に行く予定だ。
朝から快晴で、雲一つない空は抜けるように青い。 フランスの田舎道をゆっくりと、のんびりと景色を楽しみながら走る。
ベルカステル (Belcastel) という小さな村が最初の目的地。 山の中の細い道を一時間ほど走り続けると、前方の渓谷の下に川が見えてきた。 川に沿って小さな村のようなものが見えた。
ここがベルカステルだった。 川が曲がる場所に古い石の橋がかかっており、急な崖の斜面に中世の建物が並んでいて、そこに村人が住んでいる。
斜面の上、崖の一番上には古い城が堂々と建っていた。 川と城、中世の古い家というのが典型的な「フランスで一番美しい村」なのだが、ここは完璧な状況だ。
真っ青な空にシャトーが映える。 日曜日なので観光客が結構きており、皆さんのんびりと散策したりカフェで休んだりしている。 それなりに観光地らしい感じだな。
川はアベロン川 (Aveyron ) でこの村でちょど蛇行している。 川に架かる美しい石の橋は、周囲の風景に溶け込んでいて全く違和感がない。 いったいいつからこの橋はあるだろうか?
橋を渡ったり戻ったり、川沿いをぶらぶら歩いて平和な風景を楽しんでから、城を目指して坂道を上ることにした。 橋の近くの階段からスタート。
坂道は石畳だった、家の間を縫うようにして昔の石畳の坂道が続いている。 建物はやはり石で作られており、見事に同じ色で統一されている。 村の人にあいさつしながらどんどん上る。
途中で下に流れる川を眺めると、やはり橋がアクセントになった美しい景色がそこにあった。 のんびり歩いて、少し汗ばんできたころに城に到着した。 川と橋でのんびりしすぎて時間がなくなり、城の見学はあきらめた。 残念!
もっとのんびりしたかったが、そろそろ次の村に向かわなければ夕方にとトゥールーズに辿り着けないことになってしまう。
さて、ベルカステルからまたまた山の中や平原の田舎道をのんびりと走り、今回の旅行で最後の美しい村となる ナジャック (Najac) に着いた。
駐車場からメイン道理の坂道を下っていると、目の前のずーと向こうの小高い丘の上に古い城が見えてきた。 あそこに行くのかなぁと思いながらぶらぶら歩く。
道の両側には店が並んでいて、一軒のレストランの入り口で「写真入りのアリゴ (Aligot)」を見つけた。 10€はちょっとお高いんじゃぁないのと思ったが、観光地価格なんだろうな。
フランスっぽい感じのビスケットショップを冷やかしたりしながら、急になった坂道を下ってゆく。 坂道を下りきると、今度は逆に城に向かって急な上り坂になった、案外タフな道だなぁ。
急な登り坂を上り切ると、やっと城に着いた。 人のよさそうなおじさんが入口にいて、入場券を買うと親切に城の歩き方を説明してくれた。 この古い城の中は案外複雑で、おじさんにいろいろ聞いていなかったら多分塔の上には行けなかった思う。
城の庭に面した部屋の隅にある、全く目立たない小さな小さな暗い入り口から、狭くて先の見えない階段が上へと続いており、これが唯一の塔に上る階段だった。案内標識も何もないので、知らないとここが階段だとははわからない。おじさんに感謝!
びくびくしながら階段を上ると、塔の上に出た。 塔の上からは、今歩いてきたナジャックの村が一望できた。 緑の中、細長く伸びた可愛らしい村だ。 なんだかポルトガルの山の中にあった小さな村の景色に似ているなと感じた。
この城の上にしばらくいたのだが、誰も上がってこない。 城の中庭には結構な観光客がいたのでけれど・・・ きっとみんなあの階段を見つけられずにいるのだなぁと、少しかわいそうになってしまう。
城から見る景色は雄大、風に吹かれていると気分が良いので、すっかりのんびりしてしまった。 フランスの美しい村は、それぞれ個性的で素晴らしいなぁとあらためて思った。
気が付くと、ずいぶん長い時間をこの城で過ごしてしまった。 そろそろトゥールーズに戻らなければと思い出した。
城のおじさんに挨拶、上からの景色はどうだった? と聞くので、「素晴らし景色だったよ、でも階段がなかなか見つからなかった」と言うと、だから最初に教えてやったのだよと嬉しそうに笑うおじさんであった。
さて、また坂道を下って上って駐車場へ戻り、カーナビをセットしてトゥールーズへのドライブを開始する。
・・・・・・・・ to be continued

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