グレンダロッホは山の奥の初期キリスト教会の遺跡だが、車が山奥へと向かうにつれて雨足が激しくなってきた。 やっと到着したときには更に激しい雨となっており、車から外へ出る気分になれない。 せっかくここまで来たのだから少しだけでも見るかと外に出たが、傘をさしているにもかかわらず、あっというまに全身ずぶ濡れになってしまった。
天気が良ければ、素晴らしいドライブと山と湖に囲まれた美しい景色の中、中世の教会跡を巡ることが出来たのにと思いながら、大雨の中ではそれ以上動き回る気にもなれずに、教会跡の入り口を一瞬散策しただけで車に引き返してしまったのであった。 楽しみにしていたのに・・・ ドライブの初日から大雨で気分はブルー。
大雨のグレンダロッホを後にして、この日の目的地であるキルケニーに向かうことにした。 山越えのルートを取ることに決定し、山をどんどん登ってゆくとあっという間に霧が立ち込めてきた、視界が悪くなりまったく前が見えない。 霧の山越えはとてもスリルのあるドライブとなったが、一時間程して平地に降りてくるとどんどん霧が晴れ、雨が上がり、あっという間に晴れてしまった。 今下ってきた背後の山を見ると絵に描いたような「暗雲」が依然として立ち込めているのがわかる。 まったくこの国の天気は面白い。
その後は快適なドライブを続けて2時間ほどでキルケニーに到着した。 予約していたキルケニーのB&Bに着いたところ、1階の居間で家族が大盛り上がりでTVを見ながら大歓声をあげている、クリケットの試合のセミファイナルで地元のチームが優勢とのこと、車をパーキングに移動させるのもこのゲームが終わるまで待ってくれなどと言って女主人も気もそぞろだ。
我々も部屋でゲームを見たが、家中に響き渡る1階の家族の歓声付で結構おもしろかった。 ただルールを知らないので今ひとつゲームの進行が理解できない。
試合はキルケニーの勝ちで、息子たちの最後の絶叫雄たけびと共に終了、直後に車を駐車場に移動させたが誘導してくれたご主人は勝利の余韻かご機嫌そのもので異常なハイテンションだったのを思い出す。
このゲームは「ハーリング(Hurling)」というこの国特有の競技で、ホッケーとサッカーを合わせたようなルールで攻守が瞬時に入れ替わるスピード感あふれるスポーツだ。 キルケニーは強豪チームを有しており町中が応援しているという訳だった。
そのあとに町へ出かけたが、町中が大騒ぎとなっていることをそのときはまだ知らなかったのだ。 キルケニーのチームカラーは黄色と黒、この日は町中にチームのシャツを着た市民があふれていてハイテンション、車は旗を窓から出して振りながら走るし、子供から若者、おじさん、おばさんに至るまでみんながシャツやスカーフなどに、チームカラーの黄色と黒のものを身につけており、この日はチームの勝利で相当変な町になっていたのだった。
キルケニー城へ行ってみたが、18時まで受け付けとなっていた見学ツアー、17時なので問題なく参加できると思って受付に行くと、「本日は予約でいっぱい、一般の人は明日の朝に来てね」と言われた。 失礼な話だ! 仕方なく、この中世の姿を完全な形で今に残す美しい古城は、周囲からその姿だけを楽しむことになってしまった。
町をぶらぶらしたあとで、町のBARで夕食とした。 BARではあるが奥にレストランもある「The Marble City Bar」という店に入った。 夜の7:30、この時間でカウンターは半分空いていたが、店の奥のテーブル席は我々が座って満席状態。
本日のスープ、タラのフライ、そしてキルケニー・エールを注文した。 実は最近良く行く店で時々キルケニーというエールを飲んでいて気に入っていたため、本場のキルケニーで飲むことを楽しみにしていたのだ。 本場キルケニーで飲むエールはやはり格別だ、気のせいか日本のキルケニーよりライトな感じがする。 値段は1パイント4.15ユーロで日本の900円に比べて安くてうれしい。 スープはパンが付いていてボリュームたっぷりであるがとてもおいしい、でもタラを見てびっくり、無茶苦茶大きいのが山盛りのポテトフライの上に乗っていたのだ。 フィッシュ&チップスの感じでオーダーしたのだが、このボリュームには本当にびっくりして目が点になってしまった。 でもあまりの美味しさとキルケニーを飲んだ嬉しさで、頑張って全部食べてしまったのだった。
食事を終える頃には、店内がすごいことになっていた。 テーブル待ちの客が相当数いて、BARの中は歩けない程の人で大混雑状態、みんな立って飲みながら大声で話している。 客の半数は例のキルケニーカラーのシャツを着ており、みんな相当にハイテンションであちこちで盛り上がっている。 一体なんなんだ、この町は・・・・
本場で堪能したキルケニーの味に満足しながら大混雑している店を出ると、夜の9時半だというのにまだ明るくやっと夕焼けが始まろうという感じだ。 気温は下がり、長袖でも寒い。
翌日は朝から快晴だ、アイリッシュ・ブレックファストを食べながら、この日の「この国の西の端まで走る長距離ドライブ」に備えて気合が入る。 ところが出発した途端に雨が降ってきた、また雨か! まったく何という天気なんだこの国は。
雨の中をひたすら走る、当初あちこち見所に立ち寄りながらこの日の目的地であるKenmareへ向かう予定であったが、走行距離を考えて寄り道せずに一気に走ることにした。 雨は降ったり止んだり、そして晴れたり曇ったり、この国の天気予報は大変だと思わずにはいられない。
車はひたすら西を目指し、Killarnyに到着。 この町を素通りして南へと向かう。 しばらくは美しい国立公園を走ることになる。 途中にLady's View(貴婦人の眺め)と呼ばれる場所があった。 雨もすっかり止んで青空が顔を出してきた天気も幸いし、その美しい景色を十分に楽しんでから更に南へと走る。 やっとKenmareの町に到着した、ところが大渋滞だ。 このシーズンは観光客が大勢押しかけるとガイドブックに書いてあったのを思い出した。 それを日本に居ながら予測して、この町から5キロ離れたB&Bを予約した我々は、かなり偉いと自画自賛することになる。
・・・・・・・・ to be continued

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