イベリア半島を一周するコースは、アイルランドを代表する観光コースでRing of Kerry(ケリー周遊路)という名称で親しまれている。 夏には多くの観光客がこのコースを訪れるため道路も宿も混雑すると、どのガイドブックにも書いてある。
ミシュラングリーンブックには「基本的には反時計回りでのコースを計画するように、海沿いの道は狭くて車が通過するのが困難な場所があるため、どのツアーも反時計回りで回るように計画して車の立ち往生を未然に防いでいる」と書いてあった。
前日の夜にに考えた。 「車の通過が困難なケースは大型バスの場合のみ、大型バスが全部反時計回りするのであれば、我々は逆の時計回りにしよう、大型バスの後ろを走り何度も待たされるのは嫌だ、みんなと一緒の回り方はおもしろくない、きっと反対回りのほうがスムーズに走ることが出来るに違いない」、ということで逆の時計回りコースに決定、これが結果的に大成功だったことが後から判明する。
朝起きると快晴だ、期待を胸に車をスタートさせた。 ところが突然の雨、しかしすぐに晴れ間が現れた。 Ring og Kerry道路に入った突端、前方に大きな大きな虹が見えるではないか! 思わず車を停めて写真を撮った。 こんな大きくて素晴らしい虹を見たのは何年ぶりだろうか? 感動した。
有名な観光地といっても車の台数はそれほどでもなく、一昔前の夏の信州ビーナスラインのような渋滞を想像していた我々は拍子抜けしてしまったことも事実である。 混雑という意味を考えてみる、確かにアイルランドの道路としてはこのRing of Kerryは相当な混雑だといえる、しかし日本の観光地の大渋滞道路から見れば実はガラガラの道路なのである。
快調なドライブを続けて車はWatervilleという港町に到着した。 この町はチャップリンのお気に入りで、何度も訪問して別荘もあったという話だ。 海岸の道路沿いにチャップリンの銅像があった。
ただ海沿いを走るだけではつまらないので、Lonely Planetご推薦のコースでもある「メイン道路から内陸へと逸れて山道を走る絶景コース」を走ってみた。 車の姿が見えなくなった道をどんどん上ってゆく。 峠がお勧めポイントということで車を停めた。 すると曇っていた空から突然激しく雨が降り始めてあっという間に嵐のような土砂降りとなってしまった。
絶景はどこだ、何も見えないぞ。 この雨は全然止む気配がない、しばらく様子を見ていたがあきらめて来た山道を戻ることにした。 もう少し先に更なる絶景ポイントがあると書いてあっただけにとても残念であった。
もと来た道の途中からとても細い道に入った。 草原の中を1本の細い道路だけが走っている、車はすれ違うことができない狭さ。 前にも後ろにも車も人も見えない、まさに大自然の中我々だけが走っているという感覚。 雨は弱くなるが、空は曇ってどろんとしている。 草原の細い道から再びRing of Kerryへと戻り、このイベリア半島に別れを告げることにした。
結果からいうと、ケリー周遊道路はよく整備されていて走りやすかった。 前日にベアラ半島のとても狭い道を走った私には楽勝の道であった。 景色は雄大で右手に山や丘が見えて羊、牛、馬などが平和そうにしている、左手には美しいケリー湾の入り江が次々に現れてきてこの変化に富んだ景色は飽きることがない。 対向車線には次々と大型バスが現れて・・・後ろには何台もの普通の車を引き連れている。 逆に走ってよかったと実感した。
さあ、目指すは次の半島、ディングル半島だ。
・・・・・・・・ to be continued

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