ピザのホテル、ゆっくりと起きて朝食。 前日は一日歩き回ったので時差ぼけは解消しているのが感じられる。 昼前にはホテルをチェックアウトして空港に向かった。 タクシーだとつまらないので、前夜に時刻表をチェックしておいた成果を活かすべく、ホテルのすぐ前のアルノ川横のバス停から路線バスに乗ることにした。
バスを待つが到着時刻になってもバスが来ない、バス待ちの地元のおばあさんに話しかけられるがぜんぜんわからない、適当に相槌を打ちながら聞いていると延々とお話しを続けるおばあさんであった。 バスが時刻どおり来ないのはイタリアらしいと思ってそれでも我慢して待っていると、やっと空港行きのバスが来て乗り込む。 おばあさんはなんと角を曲がってすぐの次の停留所で降りてしまった! 歩いていればとっくに着いているぞ! 運転手の乱暴な運転に閉口しながら、カーブのたびに荷物を押さえながら、なんとか耐えて空港へ到着した。 路線バスはやっぱりおもしろいな、料金は1ユーロと格安だった。
空港のEuropcarオフィスでレンタカーのチェックアウト手続きをしてから、一週間一緒に旅をする愛車と対面だ。今回の愛車はグレイのプジョーだった。 日本から持参したポータブルカーナビをセットして準備完了、本体より値段が高いEuropeの地図も正確にPisa空港を表示しているぞ、よしよし。
カーナビを操作し、目的地をSienaのホテルにセットして、途中のVolterrarとSan Gimignanoを経由地に指定してスタートすると、車はいきなり高速道路を走ることになった。 高速道路に合流した途端になんと方向指示器がニュートラルに戻らないぞ、戻したつもりが逆の指示になってしまう。 これには参った、指示器が故障しているぞ、大変だ。 しばらくの間はまっすぐ走りながら進路変更もしないのに、右に左にと交互に指示器を点滅させながら、時々ワーパーも動かしたりしながらよたよた走る怪しい車になってしまった。
あせった私はたまらず目にしたサービスエリアに飛び込み休憩タイムとした。 ここで方向指示器の動作を確認し、「数秒で自動的にニュートラルに戻る位置」と「ハンドル操作及び手動で戻る位置」の二段階あることを見つけた。 日本の車は数秒で自動的に戻る位置なんてないのでこの二段階方向指示器動作に混乱してしまったのだった。 ややこしい仕様にするなっての! でもこの二段階動作はとても便利であることを後日認識するのではあったが。
車の故障でないことが判り安心し、気を取り直して高速道路に戻りドライブを再開した。 しばらく走るとカーナビは高速を降りろと言ってきた。 指示に従い高速を降りてローカル道路に入ると車は少なくなり、ヨーロッパの田舎ののんびりした運転となっり、ここでやっと落ち着くことが出来た。
道路は次々とロータリーに入るのであるが、このカーナビは優れもので200mほど手前で前方にロータリーがあることをアナウンスしてから、直前では「何番目の道からロータリーを抜けてください」と言うのだ。 イタリアの田舎道で日本語で的確なナビゲーションをされると妙な気分になるが、運転者にとってはこれほど楽なことはない。 昨年までの「現地で詳細地図を買っても、道を間違い、道に迷い、運転中は悪戦苦闘、特にロータリーではどの道を抜けるのかわからず何周も回る、あちこちで道を聞いてやっと目的地に到着」という毎度お馴染みだった騒ぎが遠い昔のことのような気になる。
カーナビに誘導されて、車は上り坂を山の上へどんどんと上がってゆく。 ずいぶん高い場所に来たなと思ったら突然城壁が見えてきた、丘の上の町Volterraに到着したのだった。 城壁の外の駐車場に車を停めてVolterraを散策する。 Volterraは坂道の多い小さな町というより村、昔とまったく変わらない中世の街並みを今に残している。 観光客もまばらでのんびりと坂道を歩いた。
Volterraの町を後にして、次の目的地であるSan Gimignanoへと向かう。 San Gimignanoは世界遺産に登録されている美しい町で、こちらもまた丘の上にあった。 町に近づくにつれて車が増えてきたぞ、月曜なのに不思議だな、バカンスシーズンに入っているから曜日は関係ないのかな、などと考えていたら、町に到着。
城壁の横の駐車場は満車だったのでパスして別の駐車場を探していると道の左に突然小さな駐車場を発見、急いでハンドルを左に切るが、入り口付近の道路が窪んでいたのと急ハンドルで路肩ぎりぎりだったのと、運転初日でまだプジョーの車体感覚に慣れていなかったことから・・・ 嫌な音が聞こえた、右前方あたりを路肩か地面にこすってしまったかもしれない。 ところがその駐車場は住民専用で観光客は使えないという張り紙が張ってありがっかり。 しかたなく満車の駐車場に戻り、少し待ってから車を駐車した。 右前方を確認したが、明らかに今の急ハンドルが原因と見られるこすり傷が大きくついているぞ、白いバンパーに黒い線が何本もついていて少しへこんでいるな、とても目立つ。 それ以降はこの傷は意識的に見ないようにした私であった。
城壁の門から町へ入り坂道を上る。 満車の駐車場から予想はついていたが、ものすごい数の観光客が歩いていた。 ここは「塔の町」と言われている、昔の貴族たちは先を争っその権力の象徴として塔を建ててその高さを競ったという。 その名残である塔が現在でも相当数残っている。 町の中心の広場まで来たが、この広場には露天商が多く出ておりテントで広場が埋め尽くされてしまっている。 ガイドブックの写真では、静かな美しい広場が紹介されていたのだが・・・
あまりの人の多さに疲れてしまい、教会の中に非難することにした。 広場に面した教会は、静かで落ち着いた雰囲気でやっとひと心地つくことができた。 凄い人に疲れてしまい、塔にも登らずにこの塔の町に別れを告げることにした。
San Gimignanoから宿泊地であるSienaへと向かう。 カーナビに導かれて車を走らせドライブは快適、順調に走りまたまた城壁の町、Sienaに到着した。 城壁の門を入ってすぐに左折し城壁の内側の細い道を走ると目指すホテルの正面玄関に到着した。 このカーナビは素晴らしいと初日から絶賛する我々であった。
・・・・・・・・ to be continued

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