★ シエナ ★


 カーナビに導かれ無事にシエナに到着し、ホテルでひと休みしてから町を散策する。 予想以上に大きな町でびっくりした。  その昔はフィレンツェと勢力を二分した強国であったらしいが、その面影を存分に今なお残している。 この町も観光客が多いので驚いたが、町自体が広いのでSan Gimignano程の人の密集感はない。

町のぶらぶらは翌日のお楽しみということにして、おなかがへったのでまずは夕食だということで城壁の外のレストランへと向かった。 目指すレストランは城壁の外にあり、外へ出る門はちょうど谷のようになった下のほうに見える。 ここシエナは丘の上の町なので坂道がやたら多いのだ。 急な坂道を下り谷の下に降りて門から城壁の外に出て、また少し坂道を下る。 

そのレストランは小さな家族経営だった。 おばさんが一人でウェイトレスをやっているアットホームな雰囲気で感じの良い店だった。 久しぶりの海外での運転で疲れていたこともあり、軽い夕食に決定。 ピチ(Pici)というホームメイドのパスタを食べた。 Piciはトスカーナ地方特有の料理で、腰が強くて太くて短めの麺、自家製のため店によって味が違うらしい。 ここで食べたPiciの味はとてもシンプルで、なんとなく手打ちうどんのような感じがした。 とても美味しかった。

食事が終わる頃になってやっと外は薄暗くなってきた。 食事を終え、城壁の門をくぐって町へと入る。 右側に気になるサインを発見、エスカレータの絵が書いてあるので行ってみた。 そこにはやはりエスカレータがあった。 もちろん乗ってみた。 なんとエスカレータを次々に乗り継ぐと丘の上の細い道に出ることが出来た。

夕方は長い坂道を下った我々であったが、なんとすぐ近くにエスカレータが設置されていたことがわかり苦笑するしかない。 苦労せず丘の上に戻り、坂道を歩いて町の中心にあるカンポ広場へと行ってみた。 広場と建物はライトアップされ美しい。 夜になると気温が下がり過ごしやすくなるので、観光客も地元の人達も皆外に出てきて賑やかだ。 地元の子供達が広場を元気に走り回っている、もう寝る時間なのにと心配になってしまう。


 シエナの2日目は移動しない日に決定、車で出かけるのはやめにしてSienaの町をぶらぶらする日にしよう。 遅い朝食を済ませてから町へ繰り出した。 町の中心は、プッブリコ宮殿があるカンポ広場であるが、敢えてそこは避けて大聖堂があるドーモ広場へと向かう。 広場近くのチケット売り場には長い列ができていたので驚くが、しかたなく並んだ。 すると若い案内係りがやってきてチケットの説明をしてくれる。 「まとめて購入お得入場券」が専用の窓口で購入できるというので、その窓口でチケットを購入した。 このエリアの観光は、ドーモがメインではあるがそれ以外に全部で5箇所の場所の入場券がセットとなったものが10Euroとなっている。 この「OPA SI Pass」はそれぞれの入場券を個別に購入するよりは断然お得であった。

このお得入場券を使って最初に大聖堂に入る。 大聖堂は入り口正面の外壁が大迫力ですばらしいが、内部も豪華絢爛で見ごたえがあった。 大理石の床に書かれた絵がすごい、でも年に数日だけ公開されるもっと大きな床の絵があるらしい、見てみたいものだ。 隣接する図書館もすばらしい。 美しい絵画と聖歌だろうか音楽関連の図書が壁一面に納められているのは圧巻で、差し込む光を反射して部屋全体が光り輝いているのだが、本当に見事な図書館である。

次にこの大聖堂に隣接する美術館に行った。 入り口に「パノラマ展望の待ち時間は60分」と書いてある、なんだこれはと思いながら階段を登って行くと突然長い列が出現したのであった。 以前、もっと大きな大聖堂の建設が決定して工事が始まったが、予算難やぺエスとの流行などですぐに計画は頓挫した。 初期の工事で建設された外壁がそのまま残されており、その上から眺めるシエナの展望が最高とガイドブックに書いてあったので、多分この列がそれに違いない。

何となく列に並んでしまった。 遅々として進まない列に並んで1時間待って、やっと先頭になった。 係員の許可が出るまでここでストップだ。 やっと許可が出て、とても狭い階段を登り壁面の上に出る。 確かにシエナの町を一望する景色が目の前に広がっていた。 ここからは大聖堂と隣接する鐘楼が目の前に見える、そして反対方向にはカンポ広場とプッブリコ宮殿が見渡せて、とても眺めの良い場所であった。 この場所はファッチャトーネというらしい。

通路も壁面の上も人が行き違いできない程狭いので見学者の人数を抑えているのだ、部屋に戻ってきた人数と同じ人数だけを登らせる人数制限をしていたのだ。 みんな1時間も待ってやっと絶景の場所にくると、しばらくはこの景色を堪能する訳でなかなか戻ってこない、よって列がなかなか進まないという訳だったのだ。 やっと長い待ち時間の理由がわかったぞ。 もちろん我々もこの絶景ポイントに相当時間滞在したことは言うまでもない。

予想外の列に長い時間並んだのですっかり疲れてしまった。 一旦ホテルに戻り休憩とする。 ホテルで少しお昼寝して疲れを取ってから、再び町へと繰り出す。 お得チケットで入場できる残りの場所を目指す。 お得チケットを使い、大聖堂の地下へと入ってみた。 

この地下はクリプタと呼ばれる場所で、地下祭室らしい。 大聖堂の豪華絢爛さとは違い、素朴で地味な印象を受けた。 天井の一部がガラス張りにされていて大聖堂を歩いている人が覗き込んでいるのを逆にこちらから見上げることが出来ておもしろい。

次に向かったのが サン・ジョヴァンニ洗礼堂、この洗礼堂は大聖堂に連結して建てられていた。 ピサの洗礼堂に比べると存在感が薄いかな、中も狭い。 中の椅子には大きな鏡が置いてあって、何に使うのかなと思っていると他の観光客が天井の彫刻を見るのに使っていた。 なるほど、首が痛くならないから便利だと納得した。

最初に買ったチケットは、共通入場券(Biglietto Comulativo)というもので、ドゥオモ(大聖堂)、ドゥオモ付属美術館、ファッチャトーネ、ドゥオモのクリプタ(Cripta)、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、そしてサン・ベルナルディーノ祈祷堂にこれ1枚で入場することができるという優れものだった。 残るはサン・ベルナルディーノ祈祷堂だけとなった。

サン・ベルナルディーノ祈祷堂は一ヶ所だけドーモ広場から離れた場所にあって少し歩かなければならない。 通り道のカンポ広場に寄ってみた。 夜の広場はライトアップされてきれいだったけれど、夕方の広場も上品な雰囲気があり見ていて飽きない。

イタリアでもっとも有名な広場、世界で一番美しい広場などと呼ばれるカンポ広場はとても個性的な形をしている。 広場全体が傾斜していて広げた貝殻のような模様になっている。 観光客が広場に面したカフェでのんびりしているのは毎度の光景であるが、広場で寝転がっている連中もたくさんいる。 Spainの Santiago de Compostelaの広場みたいだな。 広場にはガイアの泉という美しい泉があり、確かにバランス良い素晴らしく調和の取れた美しい広場だと思った。 世界一の広場かどうかは別問題ではある、まずはピサの奇跡の広場と勝負してからにして欲しいな。

チケットにリストアップされた最後の場所、サン・ベルナルディーノ祈祷堂へと広場から歩いて向かった。 10分程度歩くと突然目の前に大きな修道院が出現した。 前の広場では子供達がサッカーをして遊んでいる、ベンチでは地元の人たちが世間話をしたり編み物をしたりしてのんびりと過ごしている。 中心地の観光客が溢れる光景とはあまりに違い、のんびりとした雰囲気に何となくほっとする。 このの大きな修道院は San Francisco修道院で、サン・ベルナルディーノ祈祷堂は修道院のすぐ横にあった。 祈祷堂は絵画館だった。チケットのリストではここだけ場所が離れているためか、観光客はまばらでゆっくりと絵を鑑賞することが出来た。

サン・フランチェスコ教会に行ってみた。 とても大きな教会であったが、中はガランとしている。 入り口から真ん中あたりまで「何もない空間」のだ。 奥には立派な祭壇があるのに不思議な感じだな。 建設の途中でストップしたような感じを受けた。 この教会はその大きさと空洞感、そそてステンドグラスが美しかったのが印象的であった。

教会を後にして、メインストリートをぶらぶら歩きながら中心部へと戻る。 道の両側にはブランドショップが並びにぎやかな通りはイタリアの都会という雰囲気だ。 すぐ近くには歴史的建造物が並んでいるのだが、この昔と現代の建造物が妙に調和しているのが不思議な気分である。


 前夜は軽い夕食にしたので、今晩は本気で食べるぞということで、同じレストランに行くことにした。 今度は坂道を下らずにエスカレータを使い楽して城壁の門まで下る。 また来たのね、とレストランのおばさん。 キャンティクラシコのボトルをオーダーすると、慣れた手つきでコルクを抜きながら「このワインは美味しいわよ、私も大好き」などとコメントするおばさん。 なかなかやるな。

前菜に生ハムメロンをオーダーし、パスタはカルボナーラにして、メインは「薄切り牛肉とルッコラ、ペコリーノチーズ乗せ」。 私はキャンティクラシコが好きで普段から飲んでいるのであるが、ここSienaで飲む本場のキャンティ・クラシコの味は格別であった。 牛肉は美味でペコリーノという羊のチーズとの相性も抜群。 デザートは手作りのティラミスだ、ティラミスは滅茶苦茶美味しかった、さすが本場のデザートだな。 食後はエスプレッソのミルク入りというあまり日本では飲まないコーヒーを楽しんだ。

さすがにボトル1本空けると酔いが回り、エスカレータで丘の上の道まで戻り城壁に沿った道を歩いてホテルまで何とかたどり着くが、即寝てしまった。




・・・・・・・・ to be continued


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