この小さな村は、あちこちの家に花が飾られていてとてもチャーミングな雰囲気の村になっている。村のメイン通りの中心には花屋さんがあって、村の人達がこの花屋さんで花を買ってゆく。どんなに小さな村でも必ず教会があるのはここラディコファーニでも同じである。
村をぶらぶらしていたら夕方になったので、閉まっているインフォメーションが開いたか気になり行ってみるとまだ閉まったままだぞ! 念のため時間が書いてある張り紙を辞書で確認してみたら、何と、「週末だけオープンします」と書いてあることがわかった。 おばあさんに助けてもらっていなければ、4時半まで待ってもインフォメーションが閉まったままで途方にくれていたところだった、おばあさんに感謝。
約束の時間である6時にMauroの家に行くと、奥さんではなくて本人が現れたぞ。レストランを案内すると言われて彼の車に先導され城壁の外のレストランに向かう、当然まだ閉まっている。 こんな森の中のレストラン、教えてもらわなければ絶対にいけないなと思った。 レストランの場所を確認し、Mauroの車はのんびりと坂道を下ってゆく、と思ったら突然道路から逸れて未舗装の道に入った。 ついてゆくと坂道を丘の下へとどんどん下ってゆく、対向車がきたらすれ違いできないくらい細い道なので不安になる。 道は分かれ道となり、左に曲がるとそこが彼のアグリツーリズモだった。
丘の中腹にある小さなお家は貸し別荘という感じのコテージ、なかなか小ぎれいな建物だな。 ひととおり設備を説明してMauroは戻ってしまった。 前日に内装のペンキを塗ったと言っていたなぁ、まだオープンしていないアグリツーリズモのようだ。 おばあさんから強引に「この人達は困っているのだから今晩泊めてあげなさい」って言われて仕方なしに我々を連れてきてくれたのだと理解した。
大草原の真ん中の一軒家、鳥のさえずり、楽しそうに舞う蝶々たち、空は快晴で日光に映える色とりどりの花、まさに別荘暮らしだな、一泊ではもったいないなと思った。 アグリツーリズモは通常一週間以上でしか宿泊を受け付けないと聞いていた、置いてあったパンフレットを見るとここもそんな感じだった。
夕方になって気温が下がってきた、ヒータをつけようとコントローラのスイッチをオンにするが全然暖かくならない。 コントローラ表示がイタリア語なのでどうもよくわからない。 夕食のため車でRadicofaniまで戻る、途中Mauroの家に寄るとMauro、奥様と娘まで出てきた、三人にヒーターが動かないと訴え、デジカメで撮ったコントローラの写真を見せて説明すると「操作しているスイッチが違う」と言われた。 正しいスイッチを確認して一応納得。 ボタンを押してもランプがつかないと言ったところ「ボタンは関係ない、ランプはバッテリー低下のときに自動的につく、今はついていないのでバッテリーは大丈夫なので正常だよ」と娘が説明。 お礼を言ってそのままレストランに向かった。
森の中のレストラン、中に入ってみるとレストランというよりも「町の食堂」という雰囲気。 オーナーが注文をとりにきた。 途中までは順調だったが、飲み物になってうまく伝わらない、オーナーは突然従業員を呼んでそのままメンバーチェンジ。 従業員は英語OKだった。 車で別荘まで戻らなければならないので「グラスワイン」をオーダーしたら、何とグラスと三分の一くらい入ったデキャンタワインが出てきた。 「ほら、ワインとグラスだぞ」って感じで置かれたが、ちょっと笑えたな。
こちらの皆さんの場合、夕食には二人で普通に1本(760ml)のボトルワインやディキャンタ(500ml)ワインを飲む、私がハウスワインをオーダーすると「1リットルか?」と聞かれることも普通。 グラスワインを注文するとこんなことになってしまう。
ほろ酔いで、これ以上ないくらい慎重な安全運転でコテージに戻った。 でも、森の中のレストランから普通の道路を走り、未舗装の狭い道の坂道を下る帰り道は、ずーと真っ暗、車は対向車も含めて一台も見かけず、というような状況だったので、心配もなかったのだが。
別荘から眺める空は、星がきれいだった。 静寂の夜、熟睡。
翌朝は気分良く目覚める。 あまりにも良い天気なので珍しく朝の散歩に出かけた。 誰もいない緑の草原を歩く、気持ちが良い。 散歩から戻ると、Mauroが朝食をバスケットで持ってきた。 朝から鼻歌まじりで登場したご機嫌のMauroに早速「言われたとおりにしたが、結局ヒーターが動かなくて寒くて死にそうだった」とクレームをぶつける。 Mauroはびっくり顔でコントローラをチェックしていたが、突然大声で「バッテリーが切れている!、なんてこった」と叫んだ。 顔が突然申し訳なさそうになって、何か謝っているがよくわからない。
前夜レストランから戻り、指示されたスイッチにしてもヒーターは動作しない、再度Mauroの家に行くのも酔っ払い運転で無理だし、電話しても多分うまく状況を伝えられないし、夜も遅いし、まあそんなに寒くないからそのまま寝るか、ということだったのだ。 別荘は機密性が良く、実際は夜中に少し寒かったかなという程度で助かったのだが・・・ 結局、前夜自信満々に説明した娘が大嘘つきだったということだったのだ。
Mauroがチェックアウトの時間を聞いてきたので11時というと、「その時間にまた来る」と言って去って行った。ゆっくりと朝食を楽しみコテージのまわりで遊んでいたら、10時30分頃にMauroが登場した。 コントローラのバッテリーを交換して「ほうら、これで動いたぞ、まだ時間があるから家の中でゆっくりとできるよ」と言い残してまた去って行った。 もう既に日は高く、家の中より外のほうが暖かいのに何を言っているのだこのおっさんは! このままチェックアウトせずに逃げるかと一瞬考えたが、親切なおばあさんに申し訳なくて我慢することにした。 しかし彼はあれからどこまで電池を買いに行っていたのだろうか?
11時になるとMauroがまたまた登場した、ニコニコ笑っている、イタリア人らしくておもしろいな。 さくっとチェックアウトしてこの陽気で人との良さそうなおじさんとお別れした。
・・・・・・・・ to be continued

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