アンドレアのB&Bの朝食システムは確かにリニューアルされていた。 ご自慢の冷蔵庫から食べ物を取り出して、電子レンジでパンを温めて、コーヒーメーカーで出来立てのコーヒーをいただく。
でもね、Coopで買ったビニール袋に入ったパンとカートリッジに入った半分インスタントのようなコーヒーでは、とても寂しいものがあるなぁ。 ヨーロッパの朝食は美味しいパン、ハムとチーズ、コクのあるコーヒーでしょう。 ここイタリアではカフェ・ラーテかな。
簡単な朝食を済ませてから、ピエンツァの村をぶらぶらと歩く。 広場の横の重厚な建物、ピッコローミニ邸(Palazzo Piccolomini)に行って見た。 ここは法王の住まいだったとのことなのでぜひ見学しようと思いチケットを買おうとしたら、見学ツアーに参加しろと言われた。 個人見学は許可されていないとのこと。
しばらく待ってから英語の見学ツアーに参加した。 ガイドは若い女性で宮殿の中の部屋を次々に案内してゆく。 この宮殿の中、ものすごい数の部屋があって、どれも美しくて装飾にお金がかかっている。 さすが法王の力はすごかったのだなぁと感心してしまう。 このピッコローミニ邸は部屋も見ごたえがあるが、庭がまた素晴らしい。 庭や庭に面したバルコニーから眺めるオルチア渓谷独り占めの景色もまた絶景なのだ。
この宮殿ツアーは内容が濃くて、とても満足できる内容だった。 法王になったピオⅡ世は、故郷のこの村を理想郷にしようと全精力を注ぎ込んだというが、この館にその執念が凝縮されているような気がした。
さて、念願だったピッコローミニ邸見学を終えると昼前になっていた。 今日は快晴だ、前回は行けなかったピエンツァ周辺の村を訪ねよう。
まずは、モンテフォローニコ(Motefelonico)へと車を走らせる。 ピエンツァの近く、北の方角にあるこの小さな村に着くころにはお腹が減ってきた。 いつもは朝食のときに簡単なサンドイッチを作りそれをランチにするのだが、アンドレアB&Bの朝食ではサンドイッチを作る気にもなれなかったのだ。
城壁の外に車を停めて門から村に入る。 意外なことに、この小さな村の入り口には立派なレストランがあった、モンテキエッロと同じパターンだ。 昼過ぎのレストランはこれまた信じられないことに満席状態、仕方なく村をぶらぶらとする。
小さな大聖堂や個性的な家の入り口などを見ながらぶらぶら歩いていると、村の中心あたりにレストランを見つけた。 入ってみると、分厚い大きな本を手渡されたぞ。 なんだろうと中を見ると、なんとその分厚い本は「ワインリスト」であった。 このワインリストにはびっくりしたが、良く見ると店の壁はワインボトルで埋め尽くすされているではないか!
このレストランでワインを飲んでみたい、目茶苦茶美味しそう、でもドライバーである私はワインを飲めないのが残念、悔しい。 次回はこの村に泊まろうと誓うのであった。 このワインだらけのレストランのピチはとても美味しかった。
昼過ぎの村は静かで人はまったく歩いていない、ゴーストタウンのようだ。 村の外れから隣の村の遠景が見えた、オルチア渓谷の向こうの高台にある村の景色はうっとりとする程バランスが取れていて、いつまでもいつまでも眺めていたい気持ちになる。 あの村は、方角から考えると多分 モンテ・プルチアーノかもしれない。
オルチア渓谷の小さな村モンテフォローニコに別れを告げ、坂道を下る。 メイン道路に出る直前でパトカーを発見、と思ったら二人の警察官に停車を命じられる。 免許証を見せろと言われ、「はいはいわかりました」と言いながら出そうとするが見つからない。 突然、「B&Bの部屋の中の金庫に貴重品と一緒に入れた」ことを思い出した。
一瞬青くなるが、一生懸命「免許証はパスポートと一緒にホテルの金庫に入れてしまい、ここにはない」と説明する。 しばらく押し問答を続けたが、警官はついにあきらめ呆れ顔で「行ってよろしい」と言った。 やれやれ、我々は外国で警官に止められたことは過去何度もあるが、常に無罪放免なのだ! その分日本では何度も切符を切られているのではあるが・・・
B&Bに免許証を取りに戻ってから、次の村 カスティーリャ・デ・オルチァ(Castiglione d'Orcia)) に向かう。 ピエンツァを南の方から見るととても美しいことを思い出したので、車を停めて今来た道と丘の上のピエンツァを眺めてみた。 絶景・・・・・
実は、ここは夏にモンテキエッロからピエンツェに向かう途中、あまりの美しさに車を停めた場所だったのだ。 夏には小麦色一色だった丘がこの季節は緑一色になっているので驚いた、印象が全然違う。 ファインダーを覗いていると、WindowsXPの標準壁紙を見ているような気分になってしまった。
目指す村はピエンツァの南の方角だ。 カーナビに誘導され草原の中を走り、丘の坂道をしばらく登って行くと頂上には村があり、ここが目指すカスティーリャ・デ・オルチァだった。 この村も人の気配が少ないが、集落の規模はモンテフォローニコよりも大きな感じだ。
村の北のほうに面白い形の遺跡のような建物があるのでまずそこへと向かう。 案内標識によると昔の要塞のようだ。 確かに要塞跡だったけれど、中にはカフェらしき場所があるだけで営業していないというかしばらく使っていないような雰囲気だ。
要塞跡は途中までしか入れなくて最上部は進入禁止だった。 この要塞跡は高台にあり、はるか彼方まで障害物なしでオルチア渓谷を見渡すことができる。 はるか彼方、同じような高台の頂上にラディコファーニが見えた。
村の南にも遺跡のような建造物があった。 城跡のようだ、てくてく歩いて行ってみた。 入り口が見つからない、まあいいかとあきらめて城跡の周囲をぐるりと回ると村の中心部に迷い込んだ。 この村は坂道だらけ、それも急な坂道がやたら多い。
この村のメインストリートらしき道を歩く、いろいろな店があるが歩いている人はいない。 中心らしき場所の広場に出た、やっと人が集まっている場所にきて何となく安心する。 広場で美しい噴水を見つけた。
どこに行くの? 何か探しているの? と心配してくれるおばさんとまったく通じない会話などをしながらぶらぶらと歩く。 どんな小さな村にも必ずあるCoopを発見、ここでお買い物などしているともう夕方になってしまった。 さて明るいうちに戻ることにしよう。
帰り道は下り坂だ。 坂の途中で気になる景色を発見したので車を停めて確認することにした。 なんと、景色2が遠くのほうに見えるではないか! カスティーリャ・デ・オルチァは景色2のすぐ横の脇道から坂道を登った場所にあったのだと気が付いた。 カーナビを頼りに移動していると地図上の位置がわからなくなり、こんなことが起こってしまう。
高い場所から見下ろす景色2は、アングルが違うためまた違う景色に見える。 オルチア渓谷は奥が深いなぁと思いながら、またまたこの景色をじっくりと眺めてしまうのであった。
しばらく景色2を丘の上から眺めてから、やっとピエンツァに向かって車を走らせる。 ピエンツァに向かう道はすっかり見慣れた道になってしまった。 緑一色の春の景色の中、がらがらの道路をゆっくりと景色を楽しみながら、そしてドライブを楽しみながらピエンツァに戻った。
ピエンツァに戻りひと休みしてから、レストランを探しながら村をぶらぶらした。 日が落ちてくると気温が急激に下がってきて寒い。 結局、昨年夏と同じレストランに行くことにしたが何と団体が入っていて小さなレストランは満席だった。 夏と同じ陽気なオーナーシェフが出てきて「9時半にくればOKだよ」などと言う、お腹が減ったけれどまあ待つか、ということでまたまたぶらぶらすることにした。
村外れの道をぶらぶら歩く。 時間は8時半、夕食までまだ一時間もあるぞ。 村外れの教会に行ったり夕暮れのオルチア渓谷の景色を眺めたり、土産物屋を冷やかしたりして時間を潰して、やっと夕食となった。 遅い夕食が終わるとピエンツァはすっかり夜の景色だった。 気温が更に下がり寒い寒い、これ以上のぶらぶらはやめて宿に戻るのであった。
・・・・・・・・ to be continued

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