★ リガ ★


 
 リガのホテルで目覚める。 「ここはどこだ、見慣れない部屋だ、出張先か? 会社へ行かなければ!」と一瞬あせるが3秒後に昨夜の夕焼けの空、SASの機内で見た映画、成田空港と記憶が戻ってきた。 恒例の時差ボケで頭がぼんやりしている。
 空腹を感じたのでホテルのレストランで朝食を食べる。 黄身の色が薄い卵を食べていると外国に来たことを実感する。 ヨーロッパの朝食はパン、バター、ハムとチーズがとても美味しいのでいつも楽しみにしている。
 外に出てみると快晴で真っ青な空に飛行機雲が美しい。 乾燥した空気が肌に心地よい。 前日まで湿気の多い日本にいたためか、旅行初日の開放感からか、とても爽やかな気分になってくるのがわかる。 何といっても時差ボケには日光浴が一番なのである。

 公園のベンチに腰掛けてぼんやりしていると、つい前日までの忙しい仕事のことなど思い出してしまう。 日本では今頃は日曜の夜7時前、普段だと自宅で「サザエさん」を見ている頃だなあと思って苦笑してしまう。

 リガの旧市街を散策する。 旧市街は石畳の道が多く残る中世の雰囲気を今なお伝える落ち着いた雰囲気を持った地区である。 あちこちにある塔がその鋭い先端を蒼い空に向けているのも美しい。 自由記念碑はこの街のシンボルである。 ゴシック建築の教会や大聖堂など歴史的な建築物が多く観光客もあまり見かけない。 日曜日であるからかもしれないがとても静かな旧市街であった。

聖ペテロ教会の塔へはエレベータで登ることが出来る。 塔の上からたった今歩いてきた旧市街を一望する。 吹く風は爽やかでリガの旧市街は美しいたたずまいを見せる。
 歴史的な街にはその古くからの風格ある建物や道、街を流れる川、そしてそこに住む人々が一体となってその街独特の”香り”を醸し出している。 私は東欧諸国のその”香り”が好きなのかも知れない。

 リガからリトアニアのヴィルニウス行きの夜行寝台の切符を買うためにリガの駅へと向かった。 地図を頼りに適当に歩いていると駅らしい建物があった。 建物の周りには所狭しと露店がいっぱい並んでおりいろんな物が売られている。 ずいぶん賑やかな場所だなあと思いながら駅の構内に入ったらこれは驚いた。 そこにはすさまじい人混みと見渡す限りの店があったのだ。
それはチーズを売る店で周り全部がチーズかヨーグルトを売っている。 その種類は膨大で独特の乳酸製品の臭いが周囲にたちこめている。 そう、そこは古い駅の建物を利用した巨大なマーケットであった。 見渡す限りの店と人、しかし入ったと同時に店じまいが始まってしまい(ちょうど閉店の時間であったらしい)残念ながらそれ以上奥の方へと進むことは断念せざるを得なかった。 あとから考えるとこの日は日曜であり特に人出が多かったのだということがわかった。

 巨大マーケット(ガイドブックによると中央市場)を後にして本当の駅を探す。 それはマーケットの隣にあった。
10カ所程度ある駅の切符売り場には長い列が出来ていた。 これは困った、寝台車の予約はどの窓口だ? ガイドブックによると右の方に予約専用の窓口があるとなっている。 そんなところはないぞ、いやちょっと待てまさかこの薄暗いロビーのことか、誰もいないのだが・・・ 入り口には鍵がかかっって入れない、どこから入るのか?
やっとの思いで入り口を見つけて中に入ると明かりのついた窓口があった。 窓口のおばさんに列車の予約をしたいというと簡単に事は進み、3分後には数日後のヴィルニウス行きの夜行寝台の切符を手にすることができた。 あまりの簡単さに拍子抜けしてしまう程であった。(いつも現地で前売り切符を買うときには苦労するので・・)

 夕食はホテルリーガの地下にある「セナ・リガ」というレストランに行ってみた。 民族衣装のウェイトレス、海賊の衣装でのライブ演奏付きのラトヴィア料理。 隣のテーブルのアメリカ人酔っぱらいおやじと写真を撮りあったりしてすっかり観光客気分になってしまった。
夕食を楽しんで気分良く通りに出ると、これがまだ明るいのでどうも感覚が狂ってしまう。 やっぱり夜はしっかりと暗くなってくれないとね!

 リガに2泊し、翌日はトロリーバスで駅へと向かう。 駅の切符売り場は前日の長い列はどこへいったのか誰も並んでいない(月曜日だもんね)。 切符はレシートに日時、行き先と値段が印刷されただけのものでまあ日本のスーパーのレシートと同じだ。
列車は緑の中をゆっくりと進んで行く。 この列車は網棚の位置が高くて身長168cmの私が背伸びしてやっと届く感じ。 位置が高すぎるぞ! 座席も大きくて相撲取りでもゆったりと座れる大きさだ。 大きなイヌを連れている人や大きな荷物を持った人がいたが空いている席も多くのんびりと列車の旅を楽しみながら、次の目的地であるツェーシィスへと向かった。

・・・・・・・・ to be continued

バルトへ行こう ツェーシィス


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