緑に囲まれた古城が美しい町スィグルダに別れを告げて再びリガに向かう。
ホテルの前の道のバス停でバスを待っていると釣りの帰りと思われる一人の少年と出会った。 1日に数本しかないバスが到着時間になっても全然来ない。 彼が突然こちらを向いて What clock ? と言った。 一瞬意味が分からず固まった我々であったが、3秒後に「彼はバスがなかなか来ないので我々に時間を聞いたのだ」とやっと理解した。
それから彼との会話が始まったのであるが、互いの言葉がわからないのでガイドブックの写真を指さしながらの発音練習と言う感じとなり大騒ぎとなる。 でも幼さを残す顔の少年は外国人で言葉もわからない我々に対してとても親切で、自国の観光名所について、身振り手振りを交えながら一生懸命説明してくれたのだった。
駅前で少年と別れを告げてリガまでのバスを探す。 来るときは列車だったので戻るときはバスにしようと言う計画だ。 駅前のInformationオフィスのお兄さんにバス乗り場と時刻を訪ねる。 しかしバス乗り場も時刻もわからないと言うではないか!
何故案内が仕事のお前がこんなに基本的な事を知らないのか! と思い執拗に聞く。 彼は遂に「うまく説明できない My English is bad」などと言い出した。 参ったなあと思いながら更に聞き出すと、バスはかなり離れた道路を走っておりこの駅前は通らない、リガへはみんな列車で行くということでバスの情報はないと言う訳だったらしい。
まったく役に立たない奴だ! と文句を言いながら結局列車でリガに戻ったのであった。
(いつも私は My English is very poor ! と言ってあちこちで言い訳して恥ずかしい思いをしていたのだが、このお兄さんの bad よりは poorの方がまだましかと考えて思わず優越感に浸ったりしてしまった)
リガには昼過ぎに到着。 さっそく駅の近くの巨大マーケットへと向かう。 3日前に来たときは閉店直前で十分探検できなかったので気合いを入れて歩き回ったのであるが、このマーケットは想像を絶する規模で本当に驚いた。
周り全部がパン屋さん、見渡す限りのチーズ屋さん、売場には店のエプロンのおばさんが大勢いるところに多くの買い物客が加わって熱気がムンムンしている。 別の建物は全部魚屋さん、また別の建物は全部肉屋だったがこの肉屋がすごい、大きな塊が生でそのままつり下げてある、値段はキロ単位で表示されており日本のように「きれいにスライスしてショーケースに展示し100g単位の価格表示」ではない。 ブタの顔も売っているしウシの舌もそのまま売っている。
唐突に、日本では高価なサフランなる香辛料を買おうということになりサフランを求めて歩き回る。 あちこちの売場で「サフラン、サフラン」と叫びながらやっとたどり着いた香辛料売場でビニールの袋入りの目指すサフランを見つけた。 値段は何と日本円で50円、これホントにサフランなの? とぶつぶつ言っているとおばさんは大きな紙袋を持ってきて、ここから入れたから絶対に本物だから読んで見ろといいう仕草、でも読めないもんね! 結局2袋買った。
この昔の駅の建物を使った巨大マーケットは強く印象に残った場所となった。
このマーケットは屋外店舗もまたぎっしりと軒を並べており様々なものを売っていた。 花、果物、衣類、カセットテープ、中古の電化製品、履き古した靴の片方、何でもある。
飛行機で出されたチョコレートがおいしかったので日本へのお土産に買おうと思いチョコレート売場を探す。 小さな店を見つけて飛行機で食べたチョコの包み紙を出して同じものを買う。 50個くださいと言ったのだがおばさんは5個を包もうとした。 50個だぞ、その10倍だぞ!! と何度も身振り手振りで言うとやっと意志が通じた。 その店のその種類のチョコをほとんど買い占めた我々は大喜びの店のおばさんをあとに残してマーケットをやっと離れた。 ああおもしろかった。
マーケットの探検を十分楽しんだ我々は、3日前に歩いていて張り紙を見つけて楽しみにしていた「大聖堂でのオルガンコンサート」へと向かった。
大聖堂に到着するとまだ開演30分以上前なのにもう切符売り場に並んでいる。 急いで並ぶ。 切符をどう言って買えば良いかわからないで前の方に並んでいる人達を観察する。
みんな切符を買っているようなのだが何故か色がいろいろ違う。 白、緑、赤があるぞ。 説明らしき張り紙が売場の上にあるが全然読めないぞ。 ああ、遂に順番が来てしまった。
私はどきどきしながら一言「two tickets ,please」、窓口おばさんは一瞬こちらの顔を見て白い切符を2枚差し出しながら、「38 Lats」と言うではないか。 まさかこれほど高い料金とは予想していなかった私はあせってしまい財布の中身を確かめたがぎりぎりセーフで仕方なく支払った。
中に入ると案内の人がいて、切符を見せて案内された席は中央の一番良い席だった。 その席から良く観察すると入り口に近い席、中央に近い席そして我々が座る中央の席で持っている切符の色が違うことがわかった。 つまり中央から入り口に向かってS席、A席、B席という訳だ。 なんとS席の切符を買わされてしまったことにやっと気づいたがもう仕方ない。 こうなったら演奏を楽しむことに決めた。 その後演奏会が始まるまでダブルブッキング騒ぎなどあったが予定の時間の19時を過ぎてやっと演奏会が始まった。
大聖堂のパイプオルガンの音は重厚で荘厳な響きだった。 リガ出身の有名なプレイヤーの演奏とのことで基調となるスローテンポな曲と少しアップテンポの曲を交互に演奏する構成であった。 建物全体が楽器となり響きわたる音に酔いしれているうちに1時間半の演奏会が終了した。 ラトヴィアの首都で聞いたオルガン演奏会は、高額ではあったが(リガで泊まったホテル1泊と同じ金額)最高の席?だったせいもあって良い思い出になった。
演奏会終了後は町をぶらぶらとして早めに駅に着いて、待合室で時間を調整してから23:45発のヴィリニュスゆきの寝台列車に乗り込んだ。 夜はすっかり冷え込んで気温が下がり、待合室は暖房されている程寒いリガであった。
・・・・・・・・ to be continued
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