スィグルダはガウヤ国立公園の中にある緑が美しい場所である。
その名もずばりのガウヤ川に沿って見所がある、と言っても観光客は少なくてハイキング気分で気ままに散策する事が出来る。
駅前からタクシーに乗ってホテル・センレーヤに向かう。 途中のガウヤ川を渡るところで青い空に浮かぶようにして移動するロープーウェイが見えた。 ホテルは坂道の途中にあり周囲は緑一面の渓谷という環境。 ハイシーズンというのにガランとしている。 後から良く考えるとスィグルダはリガから近いこともあり日帰り観光が多くてこの地に宿泊する人は少ないのであろう。 我々は2泊もしたので時間も気にせずにのんびりとあちこちを訪ねることができた。
一番印象的だったのは何といっても「トゥライダ城」だ。 この城は13世紀のもので我々のホテルからは歩いて10分程度の距離にある。 赤いレンガの城は遠くから見ると濃い緑の中にポツンと浮かんでいるようで大変美しい。 我々は正規の入り口が開く前の時間にホテルからの横道を通ってこの城を訪れたので朝の誰もいない素敵な時間をこの城で過ごすことができたのである。
トゥライダ城の塔に登ってみる。 眼下には大きく曲がるガウヤ川と緑の渓谷が一望できる。 吹く風は心地よく肌寒いくらいである。 日本との違いは「湿度」で、夏でも湿気が少ないヨーロッパでは「じめじめした暑さ」がない。 汗をまったくかかない。
塔の上で飽きることなく緑がいっぱいの景色を眺めていると、どこからともなく風に乗って音楽が聞こえてきた。 ピアノ伴奏のバイオリンで、ビートルズのイエスタデイだ。 城の入り口付近で二人の女性が演奏を始めたようだ。 突然聞こえてきたこの調べは耳に心地よく最高のトゥライダ城のBGMであった。
昼近くになり、バスで乗り付ける団体観光客と入れ違いに城を後にする。 城のすぐ隣にある「歌の丘」ではユニークな彫刻が見られる。 カフェで伝統料理を食べた後はハイキングとなった。 トゥライダ・ルァザの墓、グートゥマニャ洞窟、スィグルダ城跡を順に歩いて回る。 渓谷の山道を登ったり下ったりして良い運動になった。 この墓と洞窟には古くからの言い伝えがあるということで、事前にお勉強していったのであったが、実際にそれらを見ると伝説の主人公たちが私に話しかけてくるような気がしてしまった。 (事前準備段階、行きの飛行機の中、ホテルでと何度もこの伝説を読んだのですっかりと覚えてしまったことも影響してる?)
スィグルダ城跡から少し歩くとロープーウェイ乗り場があるはずだ。 しかしどこにもその気配がない。 案内板の示す方に歩いてゆくと広場があり子供達がバスケットボールで遊んでいる。 よく見ると広場の向こうにロープーウェイ乗り場らしい場所がある。 乗り場に着くとちょうど発車したところで青い箱が遠ざかって行くのが見えた。 しかしこの乗り場は切符売り場も売店も休憩所もなくてむき出しのコンクリートの塊からワイヤーが渓谷の向こう側に向かって延びているだけというもの。 先ほどの遠ざかってゆくロープーウェイを見ていなかったら多分「昔のロープーウェイ跡」と思っただろうことは疑いがない。
ここでロープーウェイを待つが全然来ない。 青い空、そよぐ風、子供達の歓声とボールの音、平和な世界が続く。 30分も待っただろうか、突然ワイヤーが動きだした。
乗客は我々2名と係りのおばさんだけだった。 渓谷を渡るロープーウェイからは緑に浮かぶ赤レンガのトゥライダ城とそのすぐ下の我々が宿泊している白いホテルが見えた。
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