★ トラカイへの道 ★
朝起きて部屋から外を見ると空一面の雲だった。 今日はこの旅行で一番楽しみにしていたトラカイ(Trakai)へと行く日なのに天気が悪いとのでとても残念。
部屋に運ばれてきた朝食をすませてチェックアウト、一泊朝食付きでTWINが30US$だった。
トラカイはヴィリニュス郊外に位置する観光地で、「森と湖に囲まれた中世の古城」というガイドブックのフレーズと同じくガイドブックに載っていた「静かな湖上にひっそりと浮かぶトラカイ城」という一枚の写真にすっかり魅惑されてしまい、「ここへ行かずにどこへ行くのだ!」という感じで今回の旅行で一番楽しみにしていた場所であった。
トラカイ行きのバスは駅前のバスターミナルから出ているらしいので、とりあえず大聖堂前からトロリーバスに乗って駅へと向かう。
バスターミナルでトラカイ行きのバスを見つけて乗り込む。 なんかボロボロのバスだぞ。 途中のバス停で何度も止まり人を降ろしたり乗せたりしながら1時間程度走るとバスはトラカイに着いた。 そのころには外はすっかり雨降りとなっていた。
しかし、”リトアニア屈指の観光地”であるはずのここトラカイにしてはこのバスターミナルはなんとも寂しい限りである。 待合室と小さなカフェがある古い建物で観光バスもいないし、観光地には必須である土産物屋もない。
雨ではどうしようもないので、雨が止むのを待つ間にバスターミナルのカフェで食事をとることにした。 向かいの席の女の子達がこちらをジロジロ見て話している。 時々こちらを見ながら笑っている。 そんなに俺達が珍しいのか?? と思い切り睨んでやったがまるで効き目がない。
1時間程待ったが雨は止まない。 仕方ない歩くかと覚悟を決めて、雨が降り続く道をレインコートと傘で装備を固めてキャスターバッグを引きずりながらトラカイ・インフォメーション・センターを目指して歩き始めた。
雨の中を30分も歩くとやっと目指すセンターが見えてきた。 中にはお姉さんが一人だけ。
「日本から来たぞ、Internetでプラベートルームを予約してある」と言ったら、「あらあら、あなたたちは2日前に来ると思って待っていたのに。 来ないと思ったら今頃来たの?」とおっしゃる!!
それはないでしょう、まったくこの国のInternetの約束は何なんだ!
以下、 お姉さん(L)と私(H)のやりとりを示す。
(H) : それは何かの間違いだ、ここに予約確認受信文書のコピーがある。
(L) : あらそうだわねえ、おかしいわ。 でも心配しないで、問題ないわ。
(H) : 今日から予定通り2泊出来るのか?
(L) : もちろんOKよ
(H) : プライベートルームは予約確認書に書いてあるとおりの「美しい湖に面した一般家庭で、英語を話せるとても親切な住人がいる」のか?
(L) : もちろん、そのとおりだわ。
ここまで聞いてやっと一安心したのであった。 が・・・・
(L) : 場所を教えてあげる。(地図を広げながら)今ここにいるから、あなたたちの向かう家は南の方の、えーと、ここだわ。
(H) : ふうーん、ゲッ、ここだわって簡単に言うけれど、ここへ行くには今泣きながら歩いてきた道をまたバスターミナルまで戻って、それを通り越して更に同じくらい歩かなくてはならないではないか! それはあんまりだ、もう歩けないぞー。
(L) : わかった、わかった、そう興奮しないで。 私が車で送ってあげるからね。
その前にちょっと待っててね、今行くって電話しておくから。 と言いながら受話器を取り上げてダイヤルする。 そして「あっ、ママー、私、なんだか2日前に来るって言ってた日本人2人が今来ちゃったのよ。 今から連れてゆくからよろしくね、じゃあね。」
(H) : (なんだ、今確か”ママー”って言ったぞ、どういう事だ)
(L) : そうなの、実は私のママーの家なの、安心して。
そのお姉さんは、電話を切るとあっという間にその事務所に戸締まりをしてしまった。 ここはインフォメーションセンターだろう、旅行者が来て閉まっていたらまずいだろう。 などど思い唖然としていると、早く来なさいと言われて駐車場の車に乗せられてしまった。
我々を乗せたその車は、今さっき我々がとぼとぼと歩いてきた道を逆に進み、バスターミナルも通り越して、あっという間にママーの家に到着したのであった。
・・・・・・・・ to be continued
リトアニアに戻る
ご意見は hiro_homepage@ab.auone-net.jp まで
Copyright (C) "HIRO" 1997-1999