★ トラカイ ★
やっとの思いでトラカイの宿にたどり着いた。 お姉さんは、「私は仕事に戻るけれど、もしよかったら城まで送ってゆくわよ。 10分で決めてね」 と言って奥の部屋に引っ込んでしまった。
外の雨は止みそうにない、もう夕方でとても寒い、やっと暖かい場所にたどりついた我々はこの状況で外出すべきか考え込んだ。 しかし特にやることもないことと、どっちにしても夕食のために外には出る必要があったため、とりあえず行ってみることにした。
お姉さんの車は10分後に出発し、再びバスステーションとインフォメーションセンターを通り過ぎてトラカイ城へと到着した。
雨のトラカイ城はまさに湖に浮かぶ古城で、それは期待どおりの美しい景色だった。 でも雨の中、土産物屋も店じまいで周辺は活気がなくとても寂しい雰囲気である。
城は小さな島に建設されている。 そこへ行くには目の前の小さな島へ橋で渡り更にその向こうの城がある島へと橋で渡らなければならない。 2つの橋を歩き、さっそく城の中へ入ってみる。
入場料を払って入場すると大きな中庭があった。 左側の城壁である建物と中庭奥の本丸の建物は博物館になっており、膨大な数の資料が展示されている。 結構おもしろい。
1時間ほど城の中の博物館を見学してから中庭に出ると、信じられないことに雨がすっかり上がり快晴になっていた。 何だ、この天気は! 朝からずーと降っていた雨はどうなったのだ・・ しばし呆然としてしまうが、まあ外国で文句行っても仕方ないということで素直に回復した天気を楽しむことにする。 気分は爽快、城にも光が溢れて風景も生き生きとして見えてくる。
城から出て2つの橋を戻ると、土産物屋が一斉に店を開いており来たときとは違い活気が出てきている。 土産物屋といっても城が見える湖沿いの道に露店が10店程度出ているだけである。 売っている物は、「琥珀(こはく)」だ。
この琥珀はリトアニアの名産品とのこと。 不思議なことに、トラカイ城付近では琥珀を売る露店ばかり目立ったが、他の場所ではあまり目にしなかった。 値段は帰りのコペンハーゲン空港で売っていたものに比べると確かに安い。 おもしろいことに、中に虫が封じ込められているもの程値打ちがあるとのこと。 私には「なんか濁った茶色い色の石の中に古代の虫が可哀相にも閉じこめられた変なみやげ物」にしか見えなかったけどねえ。
リトアニアに行って琥珀を買う人は、トラカイ城の入り口の露店で買いましょう。 値段は安いし種類は多い、まとめて買うときっと勉強してくれることでしょう。
噂では日本の1割程度の価格とか???? バルトの他の大都市でもあまり売っていないとか???(私は琥珀には興味がないため実状はわかりません)
快晴となって湖と城には光が溢れ、我々の目前には素晴らしい景色があった。 まるでおとぎ話に出てくるような景色だねえと言いながら、長い間眺めていたのであった。
夕食には「キビナイ(Kibinai)」という不思議なものを食べた。 ガイドブックに紹介してあった「キビナイ・カフェ」は城の北、歩いて10分の場所にあった。 メニューはほとんどが飲み物リストで何を注文すればよいか困ったが、周りの人達がみんな同じ不思議な形のものを食べているのを見て、”多分あれがキビナイだ” と思い「キビナイちょうだい」と言って注文した。 「4つ」注文してどきどきしながら待っていると、遂に出てきた。
形はギョウザのとても大きなものを想像していただきたい。 生地はパイのよう。 中身は何やら肉と野菜が詰まっていてとても熱い、香ばしくておいしい。 というか何とも言えない不思議な味がした。
後から調べてわかったのであるが、この料理はトラカイに暮らすカライメという少数民族の民族料理であった。 絵本のような街トラカイでキビナイというカライメ族の民族料理を食べる。 異国情緒あふれる体験であった。
翌日は朝から快晴、一日かかってトラカイの南の宿泊地から北のトラカイ城までを歩いて往復し、おとぎ話に出てくるようなこの美しい景色を堪能する事が出来た。
この日は休日であったので観光客も多く城の周りは観光地らしい賑わいを見せていた。
城の周りに4、5時間も居ただろうか、その間に次々と結婚式直後と思われる雰囲気の人達がやってくるのだ。 彼らは正装でシャンペンを片手に大騒ぎ、みんなで騒ぎながら橋を渡って城に向かうのである。
彼らはヴィリニュスで結婚式を挙げたばかりの連中で、結婚式を済ませたカップルはトラカイまで来て新郎が新婦を抱いて橋を渡ることになっている? のだそうです。
何故だか知っている方はぜひお便り下さい。 この日だけでも10組以上の新婚さんを見たぞ。
トラカイのプライベートルームは快適だった。 湖に面した静かなその家は、2階が客室であるが2泊とも宿泊しているのは我々だけで、バスルーム、TV、冷蔵庫等はすべて2階にもあるため我々が自由に使うことが出来た。
部屋は清潔で広く、バスルームもずいぶんと広い。 朝食にはママーの手作りのジャムなど豪勢な内容で美味しい。 まるでホテルのような感覚で料金が一人一泊30US$であるから十分満足できた。
しかしよく考えてみると、自分の家を 「ご紹介するプライベートルームは、トラカイの一般の家で、湖に面した静かな環境で、住んでいる人は英語を話しとても親切です」 と紹介するトラベルセンターのお姉さんもずいぶんですねえ。
しかし、まあ嘘は言っていないけれど・・・ 親切で英語を話す住民って、あんた自分のことじゃあないか! ママーは全く英語を話さなかったぞ・・・・
ま、いいっか。
・・・・・・・・ to be continued
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