ワルシャワ中央駅で乗り込んだ一等車のコンパートメントは定員6名であった。 前日の日曜日の同じ列車は満席だったのを見ていただけに覚悟していたのだが、結果的にはクラクフまではこのコンパートメントは我々の貸切状態だった。 一日違いでとてもゆったりした列車の旅となった。
列車は平坦なポーランドの大地を南に向かって走り続ける。 右も左も山がまったく見えない、限りなく続く平原でずーと地平線が見えている。 途中の駅に止まることもなく2時間半大平原の中を走り続けて列車はクラクフ駅に到着した。
クラクフのホテルはメインストリートに面しており、建物は古いが中は清潔で感じの良い部屋であった。 ただし、我々の部屋はまたしても最上階の4階で、エレベータがない。 ワルシャワのホテルに続き、重い荷物を持って最上階までの急な階段を運ぶ羽目になってしまった。
少し休憩してから街に出た。 ホテルの前のメイン通りをぶらぶら歩いてゆくと突然視界が開けた。 これが中央市場市場だ。 広い広場には観光客がいっぱい、まるで休日のようだ。 広場をぶらぶらしてからバベルの宮殿へと向かう。 時間は夜の7時であるが日差しが強くて夜はまだまだこれからという感じ。 夕日が美しいバベル宮殿は人影も少なくて閑散としていた。 ここはまた翌日来ようということになり、近くのレストランへと向かった。 街外れにある田舎風レストランでポーランド料理の巨大なロールキャベツなどを食べた。 この国では一人前の量がとても多くて食べきれないが、ジャガイモが抜群に美味しくてつい食べ過ぎてしまうのだった。
ホテルに戻る途中、コーヒ専門店を見つけたので入ってみた。 あまり期待していなかったのだが、実は本格的な店でオーダーを聞いてから独特のポットを使って一杯づつ淹れるので美味しい。 ワルシャワのホテルの朝食はインスタントのネスカフェだったこともあり、この店で飲むコーヒーの美味しさは格別であった。
クラクフの二日目、朝からホテルのすぐ近くにあるチャルトリスキ美術館へと向かう。 クラクフ自慢のこの美術館へ行くのは、混まないと予想した午前中を狙ったのだが以外にも朝から相当混雑していた。 お目当ては当然ダ・ビンチの「白テンを持つ貴婦人」だ。 ダ・ビンチが描いた油絵の3枚の肖像画のうちの1枚でこの美術館の目玉である。
美術館を昼前まで楽しんでから中央市場広場へと歩く。 広場はすごい人だった、織物会館1階のみやげ物やを冷やかしてから向かいの聖マリア教会の塔に上った。 狭い狭い木製の螺旋階段をひたすら、ひたすら上ると最上階の狭い踊り場に到着、ここの窓から見るすばらしい景色に上りの苦労も忘れてしまう。 今回の旅行では何故か長い螺旋階段ばかりだ、素晴らしい景色を堪能してから、目が回る、目が回ると言いながら同じ階段を今度はひたすら下る。
前日少し覗いたバベル宮殿へ再び行ってみた。 前日とは違う方向から丘を登ることにしたのだが、その途中に大きな川に沿った場所で龍が炎を吹くおもしろい銅像を見つけた。
ここにはどうも龍の伝説があるらしく、土産物やも龍グッズばかり。 この竜の像は時々口から火を吹く仕掛けで、格好の撮影ポイントとなっている。 龍の銅像を通過して、丘を登って前日と同じ場所へ着いた。 驚いたことに前日の夕方は閑散としていたこの場所が観光客で溢れているではないか! チケット売り場の長蛇の列を見た瞬間とても並ぶ気がしなくなった。 チケットが必要な建物にはほとんど入らずに、昔のポーランド王が住んでいたというこの広大な宮殿の付近をぶらぶらとする。
結局チケットは買わずにぶらぶらしてから宮殿を後にした。 ホテルに戻る道の途中の屋台で皆が食べている丸いパンを買って食べながらゆっくりと歩く。 輪になったパンは素朴な味がして美味しい、しかも滅茶苦茶安いのだ。 時間はまだ午後2時、ホテルに戻ってからビールを飲んでお約束の昼寝タイム、幸せな時間。
夕方に起き出してまた街を散策する、何度も歩いた道なのでもう地図は不要。
ガイドブックに載っていた「信じられないくらい安い町の食堂」へ行った。 中は薄暗くて壁に貼ってあるメニューはポーランド語で全く読めない。 レジのおばさんに直接オーダーするとそのおばさんが厨房に大声で伝えたりレジ横からスープを出したりする仕組みらしい。 5分以上壁を睨んでいたがやっぱりわからないので、最後の手段ということで辞書を取り出してああでもないこうでもないとメニューの解析を始めたら、それまで我々をじっと見ていたおばさんが英語のメニューを持ってきてくれたのだ。
この店はオーダーしてから1分は待たせない、すぐに出てくるがこれが温かくて美味しいのだった。 地元の人たちが暗い部屋で黙々と食事をしている。 ときどきツーリストが入ってくるがメニューをしばらく見てから退散する場合がほとんどだった。 我々に英語のメニューを渡したおばさんは、彼らをじっと見るだけで動かない、努力する人間にだけ救いの手を差し伸べるポリシーなのかもしれない。 地元の連中は、パンもビールも、デザートもコーヒーも何もないこの食堂で、メイン料理とスープを黙々と食べて、食べ終わったら食器を自分で片付けて帰ってゆく。 夕食の値段は前日のレストランの6分の1だった。
食後に少し散歩してから、前日の同じコーヒーショップに行った。 この日の夕食と同じ値段のコーヒーをゆっくりと楽しむ。
・・・・・・・・ to be continued

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