朝早く起きて車を移動した、前夜にホテルの前のおばさんからクレームがあり「そこは私の場所だから移動させろ」みたいなことを言われていたのだ。 朝食後、朝のお散歩をすませてチェックアウト後に、文句をいったおばさんに挨拶したら前夜とは打って変わってとても機嫌がよかった。 我々の車が駐車していた場所には当然彼女の家の車が停まっていたのだった。 しかし駐車場のないポザーダも珍しい、受付の女性は「車はそのあたりに適当に停めておいてください」と言ったので、そうしただけなのに・・
雲ひとつない青空を見ながら、次の目的地であるマルバオへと向かう。 よく整備されているが、ほとんど対向車と出会わない道路、交差点はほとんどがロータリー方式なので信号に出会わない道路をひたすら走る。 しかし、時々ふと気が付くと真後ろに車が迫っており、次の瞬間あっというまに追い抜かれる。 やはりこの国のドライバーはクレージーだ、まったく油断が出来ない。
途中で寄り道をしながらゆっくりと走りドライブを楽しむ。 そのうちにマルバオらしい山が見えてきた。遥か山頂に建物が見えるぞ、きっとあれがマルバオに違いない。 車は目の前に見える山の急な坂道をひたすら登ってゆく。 山頂の村マルバオには夕方到着、予約していたホテルへチェックインした。 フロントで「眺めのいい部屋のにしてね」と頼んだら、フロントのおばさんは「どの部屋からでも景色は最高よ」と言った。 彼女の言葉は嘘ではなかった。 我々の部屋の窓からはとんでもない風景が見えたのだ。 ここマルバオはスペイン国境すぐ近くの山頂にある小さな村、我々のホテルからの景色は「スペインを一望」できているのだった。
マルバオは、昔から戦略的に重要な場所だったということをガイドブックで読んだが、この要塞はさぞかし難攻不落であっただろうと思った。 山の頂にあるこの村は、周囲を頑丈な城壁で完全に囲まれており城壁の下は断崖絶壁、城壁の上には攻撃のための仕掛けがあらゆる場所に設置されており、この要塞を攻める敵がかわいそうに思った。
城壁の上は歩くことが出来る。 村の端にある城から一周するコースは面白い。 昔、戦う戦士たちが命を賭けて行き来したであろう狭い階段、城壁の上の狭い道を注意しながら歩くのであるが、驚くべきことに安全対策がまったくされていない。 足を滑らしたりして道や階段から落ちたら一巻の終わりで外側の断崖絶壁か内側の村の道路へまっさかさまに墜落してしまう。 日本だと手すりや墜落保護の網を設置して大騒ぎとなっているだろうと思いながら、この昔のままの城壁を慎重に歩く。
夜になり、といっても昼と同じように明るいが、村のレストランで夕食。 ハウスワインの赤をオーダーしたら、大きな甕からディキャンタに注いでくれた。 少し冷えたこのワインは素晴らしく旨かった。 マルバオはアレンテージョ地方の北に位置しており、この味が楽しみにしていたアレンテージョワインかと感動した。
日程の関係で、この空に近い愛らしい村マルバオには1泊しかできない。 翌朝のお散歩ではまたまた城壁を歩き、郷土美術館などを見た。 もう少しぶらぶらと歩きたかったなあ思いながら次の目的地へと向かうためマルバオを後にした。 ホテルのアンケート資料によると、この村は世界遺産への登録を検討しているとのこと。 しばらくすると世界遺産になっているかもしれな、しかしそうなった場合に観光客がどっと押し寄せて村自体が観光化されてしまうのではないかと心配になった。
車は、次の目的地であるモンサラーシュへ向かう。 幹線道路を避けて、小さな道を走ることにしたが、アレンテージョ地方、スペインとの国境付近、このあたりの風景はすごい。 右も左も見渡す限りの牧草地帯、まるで映画のシーンの中にいるようだ。 何度も車を止めて写真を撮ったり風景を眺めたりしてゆっくりと車を走らせる。
牧草地帯、山越え、湖地帯など目まぐるしく変わる風景を楽しみながら進むと、そのうち前方に空中にぽっかりと浮かんだような山の上の村が見えてきた。 ここが今回の「スペインとの国境近く、360度見晴らしの良いMで始まる人口100名程度の小さな村」シリーズ最後の村、モンサラーシュだ。
・・・・・・・・ to be continued

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