森の中にひっそりと佇む美しい修道院巡りが終わった。 今でも昔と変わらず深い信仰に守られた修道院は、それぞれに特徴があり特に外壁に描かれた壁画の美しさが心に残った。 さて、修道院に別れを告げて次の目的地であるシク村に向かうことにしよう。
雨の中を慎重に車を走らせる。 途中のArgestruという町でスーパーマーケットに寄ったり、現金を引き出したり、郵便局を探したり、いつものように寄り道ばかりしていると時間があっとい間に過ぎてしまい夕方になってしまった。 この調子だとシク村につけないかもしれな、と思った瞬間にシク村まで行くのは諦めて途中で一泊することにした。 レストランがあるペンションを探しながら村から村へと移動する。 この季節は夕方でも外は明るいので心配はないのだが。
そうしているうちに外装がきれいなレストラン・ペンションを発見。 人の気配がなく、閉まっているかなと思いながらドアを押すと開くではないか。 中にはお姉さんがいて営業中だという、二階の部屋は小さいが清潔そうなのでここに決定。 宿探しはまず第一印象、次に部屋を見て清潔具合を確認する、最後に部屋の蛇口でお湯が出るかを確認してから決めるのが基本なのだ。
ここのレストランは見かけの安っぽさとは違って、驚いたことにしっかりした料理を出した。 ここのミティティはボリュームがあり美味しかった、一緒に出てくるマスタードと一緒に食べるとなんとも言えず美味しい。 前夜とは違ったルーマニアビールは、やはり少し甘くてこれまた美味しかった。
あーよく寝た、清潔そうに見えた部屋だったが夜になると虫が現れて、夜は部屋の中の虫を追い出すので大変だった。 我々の後からチェックインした家族がサッカーの試合をテレビで見ながら大騒ぎしてうるさかったが、朝にはもういなくなっていた。 レストランでゆっくりと朝食をとってから、シク村に向かって出発だ。 空模様は曇りだが雨の心配はなさそうで安心する。 幹線道路を走るのだが、このぼろぼろレンタカーはスピードがでない、どんどん抜かれてゆくのにもすっかり慣れてしまい、マイペースでのんびり走る。
しかしルーマニアの幹線走路は整備が悪いな、舗装のデコボコはまだ良いほうで、道路の真ん中に大きな穴が開いているなんてのは普通で、みんな器用にその穴を避けながら走っているのだ。 驚いたのはそれだけではない、道路工事が多すぎる。 道路が工事中で片側通行規制の箇所が頻繁に出てくる。その度にじっと待たなければ成らないのだ。
しかし、片側通行規制なんてまだまだ甘かったのだ。 極め付きは道路の完全封鎖であった。 突然道路が封鎖されており進めなくなった、みんなユーターンしてゆくので付いてゆくと小さな道へと続く迂回ルートの小さな標識があった。 生まれて始めての道を地図帳便りで運転している場合、こんなに小さな迂回路表示案内は確実に見逃すのだ、やっと見つけた迂回路はお約束のように細い道で大渋滞だった。
大渋滞の迂回路からやっとの思いで本線に戻ったときに迂回の原因を確認すると、なんと道路の真ん中に大きな大きな深い深い穴が開いているのを発見した。 これじゃあとても通れないな、でもいったいこんなに大きな穴を開けて何の工事をしているのだろうかと、とても不思議な感覚になる。
迂回路が多くて時間を大幅にロスしてしまい、シク村に着いたのは午後3時過ぎになってしまった。 シク村はハンガリー人の村だ。 のんびりした田舎の村という雰囲気で、この時間帯は住人もほとんど歩いていない。 まるで時間が止まってしまったような静かでのんびりとした雰囲気が漂っている。
それでも時々見かける村の人たちは、男性はつばの狭い帽子を、女性は独特の民族衣装をそれぞれ身に着けている。 昔訪れたハンガリーの小さな村を思い出した。 村を車で流しながらプライベートルームを探すがまったくそのような表示は見つからない。 何とかなるさとのんびりしたもので、村はずれの遊歩道で遊んだりしていると夕方になってしまい、プライベートルームは諦めて村の入り口に一軒だけあったペンションにチェックインした。
この村の住人の96%はハンガリー人で、彼らは昔から変わらず民族衣装を普通に着ているとのこと。 日曜は彼らは教会に行くために正装することから、ハンガリーの伝統衣装を多く観ることができる。 そえがこの小さな村を有名にしているらしい。 うーん、残念、今日は木曜日だった。
どうも宿泊客は我々だけのようだ。 2時間程度お昼寝してから散歩に出る。 木造の黒い教会が近くに見えたので行ってみた。 近そうでなかなか着かない、家から出てきたおじさんが親切に教えてくれた畑を横切る近道を通ってやっと到着。 ところが残念なことに門が閉まっていて入れなかった。 ペンションのレストランは予想通り我々の貸切状態だった。 またまたミティティを食べて、ルーマニアビールを堪能した。 この小さな村の夜は夏なのに肌寒い。 物音ひとつしない静寂の中で、この小さな村の夜は更けてゆくのであった。
山の中の小さな村、夏なのに朝は肌寒い。 誰もいないレストランでフルーツティーを飲みながらゆっくりと朝食をとってから、この静かなハンガリー人の住む小さな村に別れを告げて山の道を走り出した。 近くの湖に立ち寄ってから、地図帳に小さく載っているのを見つけた近くの修道院に寄り道した。 この修道院は山の小さな坂道を登った行き止まりの場所にあった。
小さくて排気量の小さな車は苦しそうに坂道を登り、駐車場のような空き地のような場所に駐車した。 と思ったらどこからともなくジプシーの家族が現れて車を取り囲む。 花を買えとか人形を買えとか、ギャーギャーとうるさいなぁ。 その気もないしお金もない、相手をしている時間もないと言いながら連中を追い払い教会入り口の門をくぐると、不思議なことに彼らはこの門から中には入ってこなかった。 多分、門から内側には入らないようなお約束になっているのかもしれない。
坂道を登ったところに広場があり、広場の真ん中には、古い古い黒い木造の教会があった。 そして広場の周りには新しい教会が建っているのだが、どういう訳かこの古い教会のほうが存在感が強い。木造の教会ではミサが行なわれており地元の人たちで小さな教会の中はいっぱいだった。
・・・・・・・・ to be continued

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