★ シュコシャン鍾乳洞 ★


 今回のスロベニアへの旅は、リブリャーナ市内でレンタカーを借りてこの国南部に広がるカルスト地域の鍾乳洞を見て回る計画だ。 まずはホテル近く市内中心部のHertz事務所で手続きをする。

ここはツーリスト事務所を兼ねているせいか係のおじさんがとても親切だった。 どこへ行くのかと聞くので「シュコシャンとポストイナの鍾乳洞」と言うと、2泊もするのにそれでは時間が余るからもっとあちこち行くべきだと言い出した。 「そうか初めてのスロベニアなのか、よしよし任せなさいと」言いながら2泊3日コースを勝手にセッティングしてゆく。 次々と途中の見どころ案内を始めてしまった。 おもしろいので聞いていたら、どこで食事してどこに泊まって何を見てというふうに次々と決めてゆく。 結局30分も説明をしたあとにようやく本来のレンタカーチェックアウト手続きに入ったのである。

毎度のことだが、日本の事務所で予約した内容とまったく違った条件で説明された。 予想されたことでもあり、金額が日本で聞いたものよりかなり安かったので言われたとおりでOKした。
しかし我々のすぐ後に来た連中をずーと待たせたままで、我々に30分以上も観光名所の説明を上機嫌で延々と続けるハーツのおじさんもどうかと思うが・・・・・ まあ基本的には親切なのだろう。


 久しぶりのマニュアル、左ハンドル車、右側通行の運転に加えて、この初めての街は道路工事による通行止めと一方通行が多くて、更に困ったことに道の両側に路上駐車が多く町中の運転は困難を極めた。 すぐそこのホテルになかなか到着できずに苦労してしまう。 やっとの思いでホテルに着いてチェックアウト、荷物を積み込みさあ鍾乳洞ツアーに出発だ。

車はややこしい市街地を抜けて高速道路へと入った。 時速120Kmで走っていてもすごいスピードで抜かれてゆく。 スロベニアの運転手は皆スピード狂だぞ。
でも車の量は郊外に向かうにつれてどんどん減ってゆく。 高速道路は有料だが料金は日本に比べてずいぶんと安い。 途中のサービスエリアで十分休んでからシュコシャンへと向かう。


 シュコシァン鍾乳洞に到着した。 シュコシァン鍾乳洞は世界遺産にも指定されているが、交通の便が悪いためか訪れる観光客もそれほど多くなくてあまり一般には知られていない。 公共の交通機関で行くのは大変らしいが車の場合は高速道路のインターからすぐの場所にあるので道に迷うこともない。 到着してから40分程待ってガイド付きのアーに参加することにした。 ガイドは4ヶ国語を話し、各国の言葉で順番に説明しながら洞窟の中を進んでゆく。 1時間30分のツアーは素晴らしい内容だった。

日本にも鍾乳洞はあるが、その規模と迫力でとてもこことは比べ物にならない。 この鍾乳洞は大自然の力を見せつけるに十分な内容であった。 中の温度は13度で年間を通して一定、外気温が30度近いので鍾乳洞の中は寒くて長袖の上着がないとツアーに参加できない。

レカ川というずーと地下を流れてくる川が、ここシュコシァンで一度地上に姿を表しすぐに洞窟内に流れ込んでゆく。 鍾乳洞の中をこの川は流れ続けてゆくのだがツアーのクライマックスがこの地底を流れる川だった。 地下深くに大規模な渓谷が存在しており、はるかに下をごうごうという音をたてて流れるこの川を渡る橋はまさに冒険映画に出てくるそれだった。 この川は洞窟内のDead Lakeという場所で更に地下深くに潜り消えてしまうが、イタリアのとある場所で再び地上に姿を表して最後はアドリア海に流れ込む。 この地下洞窟を流れるレカ川の不思議な旅を思いながらロマンチックな気分に浸る洞窟ツアーであった。

ツアーの終了地点はレカ川が洞窟内へ流れ込む地点で深い渓谷の中だった。 長い時間涼しくて暗い洞窟の中にいたためか、洞窟から見るぱっかりと空いた出口の木々の緑と青空が目に眩しい。 ケーブルカーで渓谷を一気に上がり出発地点へ戻るのだが、途中の道を右手に曲がりしばらく歩くと突然右側にあっと驚く景色を見つけた。

真っ青な空の下、崖の上に中世の教会と小さなシュコシァンの村があり、その下は断崖絶壁となっていてはるか下側にまさに洞窟内に流れこもうとしているレカ川が見えるのだ。 誰もいないこの絶景にしばし見とれてしまう我々であった。 どうしてツアーはこの場所に来ないのだろうか? この景色を見るだけでもシュコシァンに来た意味があろうというものだ。


この日は近くのモーテルに泊まった。 モーテルというものに初めて泊まったが、車での移動ならではの経験だった。 特徴のある設備でも、価格でも、料理でもなかったが夜は静かに熟睡することができた。


・・・・・・・・ to be continued




サラエボ空 ?? ポストイナ鍾乳洞



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