ポストイナ鍾乳洞のツアーを終えて、そこから9Kmばかり山奥への道を行った場所にある「プレドヤーマ城」へ行ってみた。 ここはLonly Planet「SLOVENIA」の表紙にもなっている山奥の洞窟に作られた城で、洞窟と一体となった城だという。 山道をしばらく走り着いた時間がちょうど15時の洞窟ツアー開始直前だったのでこれに参加することにした。
このツアーがまたおもしろく、洞窟内には人工の明かりがないので各自にバッテリー付き懐中電灯が手渡され、この明かりだけで洞窟内を歩くというものである。 このバッテリーが重い。 ガイドは若いおにいさんで強力なサーチライトであちこち照らしながら数カ国語で順に説明してゆく。 この洞窟は城のかなり下に入り口がありそこから垂直に近い階段をどんどん登ってゆくツアーなので運動量はかなり激しく8度という寒さの中で汗をかくほどだった。 出口の近くでは蝙蝠(こうもり)の乱舞も見られた。
懐中電灯による洞窟ツアーのあとは城の見学をした。 この城は背後の断崖絶壁鍾乳洞に埋め込むように作られており完全に一体化している。 城の中は一部博物館になっているのだが、8月期間限定でベニスの画家の展覧会が開催されていた。 どこかゴーギャンにも似たアフリカの人達を描いた人物画が印象的でしばらく見ていたら係のおばあさんが寄ってきてポスターをくれた。
この洞窟と一体化している城は「難攻不落」であったらしい。 実際に城に入ってみるとそれも納得で、城の上は切り立った断崖絶壁、城の下は同じく断崖絶壁の谷、城へ向かう道は山道が1本だけ、城の背後には洞窟が奥深くへと延びており迷路のようになっている。 過去にこの城に立て籠もって長期間の攻撃を凌いだ英雄の肖像画があったが、確かにこの城は理想的な条件を備えていると思う。 最近ではジャッキー・チェーン主演の映画にも使われたらしい。
実は、リュブリャーナのHertzのおじさんお勧めのドライブコースはとても強行なスケジュールで、初日にポストイナとシュコシァンを見て周り2日目は白馬で有名な土地や鉱山を周り、3日目はブレッド湖に行くというスロベニア半周コースであった。 マイペースの我々は初日に高速道路のサービスエリアで甘い西瓜を見つけて2時間も長居した時点でもうおじさんの計画から外れてしまったのである。
その後もおじさんの計画は無視してのんびりとしたドライブとなるのだが、彼の計画の中で一つだけどうしても行ってみたい場所があった。 それは「Zomonoという場所にある有名なレストランでテラン(Teran)という赤ワインと生ハムを食べる」というものだった。
スロベニアのワインは日本ではあまり聞かないが、高品質で定評があるという。 フランスのボルドー地方と緯度が同じというこの地方のワインは当然品質が良いと言う理屈らしい。 生ハムはこの地方の名産で、サラサラとした空気で乾燥させた生ハムと酸味が程よく効いたTeranワインは絶妙の組み合わせだと聞くともうこれを経験せずにいられるかという気分になってしまったのだった。
このレストランを探して山道を走破する。 地図を便りに山を越えるのだが、山道は途中から舗装がなくなり砂ぼこりを巻き上げながら対向車もこない道を走る。 途中で道を聞きながらやっと見つけ出した「宿泊設備とワインセラー付きの素晴らしいレストラン」には人の気配がない。 入り口に張り紙がある。 何と8月は長期休暇と書いてあるではないか!
このレストランには宿泊も可能ということで、ドライブのあとでのワインとハムの夕食を思い描いていたが、ここが休みということですべてが砕けてしまった。 一転して今夜の宿泊にも困る事態となった。
仕方なく今夜の宿泊場所を探しながら車を走らせる。 道路に宿泊/レストランのカンバンを見つけては横道に入り寄ってみるが、外観がいまひとつの場合はこちらからパスで、外観がよさそうなところは土曜日の夜でもあり満室である。
それでもどんどん道路を行くと、とある酪農農家の部屋にやっと空きがあった。 部屋は少々牛臭いが清潔であり、2階の部屋はその日は我々だけでバス・トイレも専用となりとても静かな宿泊となった。
・・・・・・・・ to be continued
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