スロベニアでの4つ目の鍾乳洞探検は「ピブカ洞窟」だ。 ポストイナ鍾乳洞からプレドヤーマ城へ向かう道から数キロ入ったところにあるこの洞窟はピブカ洞窟とブラック洞窟(Pivka Cave and Black Cave)という2種類の洞窟から構成される。 ここは車がないとなかなか行けないこともあってか人も少なくて1日3回のみのツアーだった。 我々の参加した15時のツアーは総勢12名というもので英語をリクエストしたのは我々2名だけだった。 ガイドのおばさんはスロベニア語、イタリア語に続き英語でゆっくりと説明してくれたのでとてもわかりやすい説明でじっくりとツアーを楽しむことが出来た。
ポストイナ鍾乳洞は有名で大人数を一気に案内するツアー、シュコシャン鍾乳洞は世界遺産に指定されている割には観光化されていない素敵な場所、そしてプレドヤーマ洞窟は懐中電灯を持っての探検であった。 この最後の洞窟は一番規模が小さくて、ツアーの参加人数も少なかった。 参加人数が減るにつれてツアーの参加費用も少なくなり、洞窟内部もより自然に近い状態になっている。 この洞窟ツアーがガイドとの距離が一番近くてじっくりと回ることが出来た気がする。
この2つの洞窟のツアーは地下を流れるピブカ川に沿って進む。 秋にはこの川が増水しボートでのツアーとなることもあり、冬には完全に氷で埋まってしまう場合もあると聞いた。 鍾乳洞と地下を流れる川は密接な関係にある。 これら2つの洞窟は途中のドアで完全に分離されており温度が違う。 ピブカ洞窟は8度だがブラック洞窟5度だった。 洞窟の境界は鉄のドアで仕切られているが、このドアと通って8度から5度へ移動するとこの3度の差がはっきりと感じられる。 この5度の洞窟では長袖の上着を着ているにもかかわらず体が完全に冷えきってしまった。
ブラック洞窟に足を踏み入れた途端、その温度差だけではなく他にも何かが違うことに気付く。 暗闇の中良く周りを見ると鍾乳石が全体的に黒い色をしているのだった。 石灰の成分が違うのだろうと思って見ていたが、ガイドの説明を聞くと「昔、この洞窟が発見されたときの探索では懐中電灯がまだ存在していなかったので、たいまつ(松明)を持って進んでいった。 この松明から出る煤が鍾乳石に付着してしまったので洞窟全体が黒くなってしまった」とのこと。
昔の人達が松明を片手に真っ暗で寒い洞窟を進んで行く姿を思わず想像してしまった。
ブラック洞窟の出口は深い谷の底だった。 ガイドのおばさんが皆に注意する。「ここの温度は5度ですが、外の気温は28度です。 この谷には階段があり上の道路へと急激に登ってゆきますが、50段の階段で5度から28度まで気温が変わります。 走ったりすると急激な気温の変化に体が耐えきれずに倒れてしまう人がいます。 ゆっくりと階段を一段づつ登ってください」
出口は深い谷の底だった。 眩いばかりの日の光の中、階段をゆっくりと上って行くと確かに気温が急激に上昇してゆくのが感じられる。 階段を登り切ると山道へと出た。 シュコシャン鍾乳洞から始まった我々の数日間という短い、しかし長い洞窟の探検はここで終わったのであった。
・・・・・・・・ to be continued
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