不思議な雰囲気の駅をあとにして、来た道を南に戻る。空を見る限り雨の心配はなさそうだ。
ハカをそのまま通り過ぎると、「San Juan de la Peña修道院はこちら」の標識発見。 カーナビもその道を指示しているので少し不安になりながら細いわき道を走る。
道は登り坂になり山に向かってゆく、ところがしばらく走ってもカーナビの到着予定時間がどんどん延びるだけのだ。でもまだまだっ時間的には余裕だなと思い、対向車もほとんど来ない田舎の山道をのんびりと走る。
途中で、「Parador」の標識を見つけた。 こんな山の中にパラドールがあるのか!とびっくりしてしまい、ちょっと見にゆこうと標識が示す更に狭いわき道へと進む。
道はずーと登ってゆき、なんと途中から未舗装道路になってきたぞ、本当にパラドールあるのかと不安になる。15分も走っただろうか、引き返そうとしたそのときに駐車場が現れた。しかし、小さな小屋と空地があるだけで、ホテルはないぞ。
ここは、「レストラン・パラドール」だった。 おいおい Paradorは国営高級ホテルでしょ、勝手に自分の小さな山奥の小屋のレストランに使うなよ!間違うじゃないか!!!
と文句を言っても仕方ないので、ここでランチとする。山が開けた見晴らしの良い場所にある小さなレストランというかカフェが小屋で、周囲にはベンチが点在し地元の人がピクニックに来ている感じ。
我々は当然レストランには入らずに、外のベンチで朝ホテルで作ったランチセットを食べる。突然雨が降ってきて車に避難したり、森を散策したりしてゆっくりとしてしまった。
さてさて、ここで時間を取られてしまい少し焦る。修道院に行かなければ。来た道を山道の分岐まで戻り、目指す修道院へと向かう。相変わらずカーナビの到着予定時間は延びる一方なのだ。
山道を登ったり下ったりしながら走り続けると、ついに修道院に到着した。ここが目的地の サン フアン デ ラ ペーニャ修道院 (Monasterio San Juan de la Peña)なのか?
岩をくりぬいて建造された修道院に行きたかったのだがが、ちょっと違うぞ! 開けた場所に大きな修道院があるからやっぱり違う。
この修道院はパスして先へ進むことにした。 しばらく山道を下るとそれは突然目の前左側に現れた。狭い山道に沿った大きな岩の下にその修道院はあった。
遂に到着した、駐車場はどこだろう? 少し先の道の横に駐車場があったが「バス専用」だった。周辺の道路には「駐車禁止、レッカー移動するぞ」の標識だらけで路上駐車している車は1台もいない。
仕方なく、山道の上のパスした修道院まで戻った。 この修道院には、なんと森の中に大きな駐車場があったのでびっくり。 修道院入口でチケット販売していたので聞いてみた。
このエリアには修道院が3つあってチケットはまとめてここで販売している、移動はシャトルバスを使うとのこと。 新しい修道院と古い修道院、もうひとつ良くわからない場所のチケットから選ぶらしい。
新しい修道院は?「ここだよ」、古い修道院は?「山道の下だよ」、とやりとりして、結局古い修道院と新しい修道院のチケットを買った。
分かりにくい場所からシャトルバスは出発した。 バスは山道を下りさっき我々が駐車場を探した古い修道院に着いた。みんなここでバスを降りる。
良く見ると、岩をくりぬいたのではなくて。自然の大きな洞窟の中の岩の下に建てたのだということがわかったのだった。
小屋から出てきたガイドのお姉さんから簡単なパンフレットを受け取り見学開始。入口からまずは半地下に行ってみる。温度が下がり空気が違ってきた。神聖で厳粛な雰囲気が漂う空間だった。
次に階段の上にある回廊へと向かう。 うわっ、なんだなんだ大きな壁のところに人がいっぱいいるぞ! どこかのグループがここにいてガイドが大きな声で説明しているではないか。
このグループの中を、Excuse us! と叫びながら通り抜ける。 そこが目指す回廊だった。
回廊に入った瞬間からまた半地下とは異なる感じで空気が違ってきているのを感じる。 大きな岩の下にその回廊はあった。岩と一体となっている落ち着いた佇まい、強いパワーを感じずにはいられない。
大きな岩があるので屋根がない、岩の色と回廊の色彩が完全な調和を見せているので、見ているだけでその美しさに打たれるのだ。 この修道院は今回の旅で一番行きたかった場所だったが、期待でワクワクしてくる。
12世紀の建造物であるこの美しい回廊は、ロマネスク建築の傑作と言われているが、屋根の代わりに大きな自然の岩があって内部と外部の境がないという造りになっている。
この美しい回廊を眺めていると、なんだか突然騒がしくなってきた。さっきのグループがやってきたのだ。ガイドが大声で説明を始めるがバスの時間の関係か5分もすると一斉にいなくなり、再び静寂が戻ってきた。
グループがいなくなってから、1時間以上はここにいて回廊を眺めていたような気がする。
シャトルバスで新しい修道院まで戻り、新しい修道院を見学する。古いドアを開けて中に入るとびっくりした。エアコン完備の見学コースが整備されていて、建物の中は超近代的な設備であった。
廊下がガラス張りになっていて、下には昔の修道院跡が保存されており当時の人の暮らしが解説されていた。 相当な金をつぎ込んだと思われ、その内容は面白いのだがどうも古い修道院の強烈な印象のあとではパワーが感じられない。
岩の下の修道院を「古い修道院, Real Monasterio」と呼んで、この修道院を「新しい修道院, Monasterio Nuevo」と呼ぶらしい。 そしてこれらを合わせて, Monasterio de San Juan de la Peña と呼ぶらしい、ややこしい。
でも、nuevaは「新しい」という意味だけど、realは「王家の」という意味でしょ。 岩の下の修道院は「古い」という意味の viejo を使い、Monasterio Viejo de San Juan de la Peña と呼ぶ場合もあるみたい。
さて、まだ明るいけれども夕方の6時前だ、ホテルの夕食に間に合うように戻ろう。帰りはカーナビが示す山の長い長いクネクネ道を避けて違う道を選択、そのまま道を下るとあっと言う間に幹線道路に出たのでびっくり。
ブロトに戻る途中、ハカに入る手前に大型スーパーマーケット発見。 道の横の店に行こうするのだがなかなか辿り着けない。
ランダバートでUターンして戻ること3回でやっとスーパーに到着した。簡単に曲がれない道ってどういうことよ!
スーパーで買い物を済ませ車に戻る途中で突然雨が降り出した。日本でいうと最近のゲリラ豪雨という感じで最初はぱらぱらだったがどんどん激しくなってくるではないか。
T字路からブロトに向かって山道を登り始める頃には滝のような雨になっていた。 高速ワイパーが全く効かないし、視界は5m
くらいしかない。 対向車が突然出現するという感じ。
でも、さすがにこの雨では対向車ものろのろ運転なので、晴れた日のセンターラインオーバー対向車より安全な気がした。 ホテルまでの30分、いや45分はものすごう緊張し運転に集中したのでどっと疲れた。
やっとホテルに到着、車から入り口までの10歩でずぶぬれになった。 しかし信じられないことに、部屋に入って5分後にはあのものすごい雨は上がってしまい、雲の切れ目からは晴れ間が見えてきたのだ。
夕食、レストランで誰もオーダーを取りに来ないぞ、英語メニュー準備している模様。 10分くらいしてからオーナーのお兄さんがタブレット持ってきた、そこには英語ののメニューが表示されていた。
プリンターが故障しているのでこれ見てオーダーしろという。 おっと我々だけのためにメニューを英語に翻訳していたのか?ご苦労さんだったね?
おいおい、ぼくはスペイン語メニューで大丈夫だよ、なんて言えなかったけど。 この日はメインを魚チョイスで白ワイン。 この白ワインがまたおいしい。 豪雨の山道を運転して疲れてしまい、ワインがあっという間に染み渡る。
夕食が終わるころには雨が完全に上がり、やっと暗くなってきた空にはたくさんの星が見えた。 この日は雨の影響か気温が下がり、窓を開けると寒いくらいだった。
・・・・・・・・ to be continued

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