部屋でゴロゴロしながら、朝からテレビのニュースを観る。 スペインのテレビ局の女性キャスターはどのチャンネルもすごい美人なので観ているだけで楽しい。
ニュースはどこのチャンネルでもやっていて、同じチャンネルでも話題毎に次から次へと美人キャスターが登場する。
髪型も服装もばりっとした感じで化粧は派手、 そして早口のスペイン語をマシンガンのように話す。 日本の朝のニュースとは雰囲気がまるで違い、内容は理解できなくても飽きない。
前夜の大雨が嘘のように、朝から快晴ですっきりとした天気だ。 さて、今日は予定通りにアインサ (Ainsa) と アルケサル (Alquezar) に行くことにしよう。
前日と同じく山道を南に下る、前日は右に曲がったT字路をそのまままっすぐに進むと、道はまた上りの山道になった。途中の見晴らし良い場所で少し休んだりしながらのんびりと走る。
アインサに行くにはこの山を越えなければならないのだ。山道は狭いワインディングロードで運転はなかなか厳しいが、連日の山道の運転ですっかり慣れてしまった私には余裕の運転だった。
しかし、地元の車はみなさんクレージーな運転なので細心の注意で山道を運転する、山の景色はきれいなのだがそれを楽しむ余裕まではまだ出てこないのが残念。 登り道ではポルシェにピタリ後ろに張り付かれてあおられて怖かったり、下りでは工事中の片側通行が連続したりして気が抜けない。
緊張しながらこの狭いクネクネ道の山越を無事走り抜けるて、やっと最初の目的地であるアインサに到着した。町に入るとすぐに駐車場の案内が目に入り、案内に従い坂道を登ってゆくと丘の上に広い駐車場があった。おいおい、こんな小さな村にこの駐車場って、どんだけ観光客が来ているのだ! と不安になってしまう。
駐車する時間を決めてから、小さな装置に必要なコインを投入すると有効期限の時間が印刷されたレシートが出てくるシステム。このレシートを車の中の見えるところに置いておくのだ。周囲の車のレシートをチェックし、大体みなさん3時間くらいに設定していることを確認してから余裕を見て4時間分の料金を投入した。
アインサ (Ainsa) は、アラゴン地方の古都で中世の町並みをそのまま残している小さな村。最初の計画ではこの村に宿泊しようと考えたのだが、ホテルがどこも満室で料金が高いことから諦めた。
で、ぜひ見てみたいと言うことでやってきた。駐車場で地図を確認する、この丘の上の駐車場がこの町の一番高い場所にあり、駐車場の隣には城跡があり旧市街へと続くことが地図からわかる。
さっそく城跡へと向かう この城跡は城壁だけが残っていて中央は広場になっている、城壁は階段を上り歩くことができて目の前には美しい山の姿があった。
次に向かったのが町の旧市街の中心であるマヨール広場だ、広場を取り囲む建物の色は控えめで、窓のピンク色の花がアクセントとなり美しい景観となっていた。
マヨール広場から、小さな坂道を下りながら旧市街の町並散策を楽しむ。石畳の坂道の両側には11世紀の建物が立ち並び重厚な雰囲気を、というか「中世そのまま」という雰囲気が漂う。
坂道をどんどん下ると城壁に到達した、城壁の門をくぐり階段を下ると眼下に新市街が見えた。 2つの川が合流しているのが見える、右が Rio Ara で 左が Rio Cínca だ。 アインサは二つの川が合流する斜面にある町だと実感することができた。
旧市街に戻り今度は坂道を登りながらまた散策、細い坂道から見上げる聖マリア教会の鐘楼が美しくて、鐘楼が見える坂道の途中に座り込み長い休憩をとってしまうのだった。
さて、中世の町アインサを堪能したので、次の目的地であるアルケサル (Alquézar) へと向かうことにしよう!
アインサからアルケサルへの移動、そんなに遠くないのかなと考えていたが結構な距離であることが前日の事前確認でわ分かっていた。
カーナビは相変わらず山越えのクネクネ道を提案してきたが、もちろん無視して東から南へと回りこむ平坦ルートで向かうことにした。
南北に細長く伸びる湖に沿って良く整備された道路を走る、景色が刻々と変わり楽しいドライブだ、途中から湖に別れを告げ進路を西に変えて山の南からアルケサルに向かう。
東京のスペイン政府観光局でもらった分厚い詳細地図帳が今年も役に立った。この地図は情報は古い(10年前)のだが詳細なので、今回のような「山超えのコースを回避する」ような目的にはピッタリなのだった。
結局この地図は十分実用になったといえる、カーナビは常に距離最短ルートを案内することから山越えの道を簡単に案内する。 その癖を覚えて、山道を極力回避しながらこの地図を併用すれば最適な道を走れるのだ。
しかし、アラゴンでは「 この地図帳で建設工事中表示のハイウェイの場所がまだ同じ区間で工事中だった」のには驚いた、工事が10年以上同じ場所で続いているということになるからだ。
快適なドライブを続けてアルケサルに到着、ここに決めたのは政府観光局から入手した資料の中で見つけた1枚の美しい写真が気に入ったからだった。しかし近づいても車からはまったくその写真で見た姿は見えないので、なんとなく不安になってしまう。
アインサと同じように、駐車場の案内に従い坂道を登ってゆく。 広い駐車場に車を停める、車は相当数いるのだが観光客の姿が見えないぞ、みんないったいどこに行ってしまったのかな?
アルケサルはどこだ? 車が道に沿って駐車している坂道の上まで行ってみるが道は行き止まりでそれらしき雰囲気がない。仕方なく駐車場に戻ろうと坂道を歩いていたら、左手の草むらの向こうにその景色を発見した。
草むらをかき分けると、突然全視界が開けて、視界の先には谷が、そして谷の向こうにアルケサルが見えたのだった。
写真と同じだ、美しい景色だ! しかし、観光客は周囲にひとりもいない、不思議だなぁと思いながらこの場所からの絶景独り占めを楽しんだ。
あの谷の向こうまではとても歩いては行けないなぁと思う、この車の連中はアルケサル目的ではなくてハイキングか山登り目当てに違いないと考えた。
素晴らしい景色を存分に眺めて満足してから駐車場に戻る。
車まで戻ってから帰りのルートを考えているとき、ふと駐車場の下の道に標識のようなものが見えたので、シャトルバスでも出ていないかなと確認したくなりその道まで行ってみた。
おっと、この下の道からはさっき見たアルケサルの町がもっと近くに見えるではないか! 更にその道を進むとそこにも小さな駐車があってそこから町に入ることができた。
駐車場の上の草むらからではあんなに遠く見えた町が実はすぐそこにあったのでとてもびっくりした。目の錯覚とは怖いものだ・・・・
町に入り、インフォメーションオフィスで地図を入手して町の見所などを聞いた。城、教会、川を一望できるビューポイントなどが点在しており楽しそうなところだなぁ。
でも、ちょっと長距離運転で疲れた、さっきまでホテルに戻る道を考えていた私はちょっと町を散策する元気が出ないのだった。ホテルの晩ごはんの時間も考えて、町の探索はやめにして広場のカフェで休憩することにした。
カフェで休みながら眺めていると、多くの観光客がぶらついていることがわかった。 駐車場の車の連中はハイキングではなくて、この町にいたことがわかり納得したのであった。
アインサでのんびりし過ぎたのと、アルケサルまでの移動に思いがけず時間がかかったこと、そして草むらからのアルケサルの景色を長い時間見ていたこと、それらの影響で結果的にアルケサルぶらぶらができなくなって残念だったが、仕方ない。 また機会があればゆっくりと訪れてみたいと思いながら駐車場に戻るのだった。
帰り道もカーナビが案内する山のクネクネ道を避けて、ウエスカから大きく西回りで山を回り込むハイウェイルートを選択した。このルートが正解で、距離的には遠くなるが連続するハイウェイをぶっ飛ばして予定通りの時間にホテルに戻ることができた。
今日も夕方からは雨が降ったが、前日の猛烈に激しい雨に比べると穏やかなものだ。
3度目の夕食を楽しむ、この宿のレストランの夕食は本当に素晴らしい!
夜は気温が下がり、ぐっすり寝ることができた。
・・・・・・・・ to be continued

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