ソス・デル・レイ・カトリコ (Sos del Rey Católico) 、フェルナンド王の生まれた村であることからこのような大胆不敵な名前(カトリック王の丘の上)を頂く村。
この小さな村のパラドール (Parador)、中世のアラゴン貴族の館をベースにしているらしい。今回の旅行では唯一のパラドールなのでとても楽しみにしていたのだった。
パラドールにチェックイン、重厚な感じの建物でワクワクするなぁ。部屋で少し休憩してから夕食に出かける。 パラドールは村の端にあり周囲にはレストランはないので歩いて店を探す。
Barを見つけて中に入るが狭いテラス席は既に満席、中のテーブルには地元の常連のおじさんしかいない。入り口近くのテーブルに座る。
メニューはスペイン語だけ、太ったウェイターがやってきて英語で説明してくれるのだがこれが相当なまっていてよくわからない。 スペイン語のメニューを眺めて料理を想像しながら、なんとかオーダーする。 アラゴンのワインはここでも美味しい。
料理は全く洗練されていなくてワイルド感満載であったが、それもまた楽しいのだ。
食事を終えて外に出ると、時間は22時を過ぎておりやっと夕暮れの感じ。とても寒い、夏だというのにこの寒さはなんなのだ、びっくり。 そうだった、ここは標高1,000m以上であることを思い出した。
人気のなくなった石畳の道をパラドールまで歩く、街燈のオレンジ色と中世の建物が幻想的な雰囲気を醸し出していた。
翌朝、久しぶりのパラドールの朝食、豪華な内容に満足。 カフェコンレーチェも美味しいし、フルーツも充実している。朝から気合が入る食事なのだ。
いつものように午前中は部屋でぐたぐたして、午後から活動を開始。村の探索は後回しにして、近くの ウンカステージョ (Un Castillo) という村に出かけた。 ここも政府観光局で見つけた写真に惹かれて記憶していた場所。
車はメイン道路から別れて細い道に入る、山の上に並ぶ風力発電用の風車を眺めながら細い道を進む。しばらく走ると 目の前に、ウンカステージョが見えてきた。
どこに車を停めようかな?と駐車場を探すが標識が見当たらない。 ま、いいかということで 村の端のほうの道路に車を停めてから村ブラブラ開始。
なんとなく中心部に向かって歩いていくと、小さな広場の教会の横にインフォメーションオフィスを見つけたので寄ってみる。
英語全然ダメのおじさんが地図を見せながら、「城跡に行きなさい」と言いながら城壁のオープン時間などを教えてくれた。 村をぶらぶらしながら城跡を目指す。
しかし、ここには観光客の姿が見当たらない、というか住民の姿も見ない。 まだシエスタ前なのにおかしいなぁ。 駐車場がない村だから観光客は来ないと言うことか。
村の狭い道を歩いていると「城壁はこちら」の標識を発見、標識の示すとおりに進むと、入口らしき場所にきた。なんだか狭くて草ボウボウの入口だけど大丈夫かな?半信半疑で階段を登って行くとそこには小さな小屋があって、小屋の横でお姉さんが仁王立ちでこっち見ている。
小屋に入りお姉さんに入場料を払うと、英語にする?スペイン語にする?と聞かれたので「うーん英語かな?」と答えた。お姉さんは反対のドアの鍵を開けて塔の1階まで案内してくれた。1階に入ると部屋が暗くなり突然ビデオ上映が始まった。
この村とこの城の歴史を説明する内容だったが、品質は悪くて説明も聞き取りにくい英語で(だからお姉さんが英語にする?と聞いたのか!)大変だった。
ビデオが終わった瞬間に部屋が明るくなりお姉さん再登場、あとはこの塔の上と隣の城跡を自由に見学OK、でもね14時にここ閉めるからよろしくと言う。
この場所の見学は独占ということか! といっても塔は少し上までしか登れなくて隣の城跡も中は良くわからない展示がごちゃごちゃあっただけで、見学はすぐに終了してしまった。
実は、お姉さんは「自由に見学してね」と言っておきながら我々に「早く帰れ」プレッシャーをかけるのだった。塔の下で鍵を持ちながら待っていて我々が塔から出た途端ドアを施錠する。 城に入ると小屋の前で仁王立ちしてこちらを睨んでいる。
なるほど、まだ14時前だというのにもう撤収準備しているということか。城跡から出てくると仁王立ちしているお姉さんのプレッシャーに負けて見学終了することにした。 我々が小屋から出た途端にお姉さんは小屋の入口を閉めて鍵かけてしまう。
そのお姉さんは、小屋からでてプラプラ歩いていた我々の横をスマホで誰かと電話しながら足早に通り過ぎて行った。 一旦お家に帰ってからまた17時にご出勤ということなんだろうな。
城壁を追い出されたので村をぶらぶらしていると、民家の2階で洗濯物干しているおじさんがいた。 挨拶するとどこからきたのだと聞かれた。 この村は中世の町並みでいいだろう/城跡には行ったか?などと言う。
平日の昼下がりの静かな村でひとり洗濯物干しているおじさんが、流暢な英語で村の見どころを説明するとはどういうことかな、おもしろいなぁ。
人の姿が見えない村の散策を続けて、最初のとは違う教会の横の広場で休憩。昼下がりのウンカステージョ、とても静かで落ち着く。
さて、パラドールに戻ろう。もう夕方だけれど、まだまだ日は高い。
パラドールに戻り、カフェでウェルカムドリンクを頂く。 さすがパラドールだ、ワインは香りも味も良くてとても美味しい。 静かな夕方のカフェでゆったりとした時間を過ごしてから、恒例のパラドール探索に出かけた。
このパラドールは、中世の貴族の邸宅をホテルにしたもの。 古城や修道院跡のパラドールとはまた違う雰囲気があって面白いが、こじんまりしていて探索は早々と終了してしまった。プールがないパラドールも珍しい。
まだ夕飯には早いので、村のぶらぶら歩きに出る。 中世の町並みを残す建物の間をぶらぶら歩いていると、突然おじさんの像が現れた、椅子に座る像はスペインの映画監督らしい。 ルイス・ガルシア (Luis García-Berlanga) はスペインを代表する映画監督/脚本家らしいが、日本とは縁がないのか全然知られていない。
ルイス・ガルシア像の近くの丘の上には、城跡が残っていた。ここの塔がこの村のシンボルになっていて遠くからでも目立つ。
夕食、この村には数件のレストランしかないので選択は限られる。前夜の安っぽいBARではなくて村一番のレストランという評判の店にに行ってみる。パラドールのレストランを抑えてナンバーワンになるのはすごい。
20:30のオープン直後に入ると愛想のいいオーナーが笑顔で迎えてくれた。 英語を話すオーナーのオススメの「色々な料理を少しずつお試しコース」をオーダーする。
このコースは店の前の看板でも紹介されていたもので、第一の皿、第二の皿、それぞれ3種類ずつが順番に出てくる。 全てがスモールポーションと説明されていたが我々には十分な量であって、とてもお試しではなくボリュームたっぷりの食事となった。
料理は見た目も美しくて味も上品、アラゴンワインも素晴らしい味で満足。最後にはデザートまで出てきた。
後から来た観光客にもオーナーはこの「お試しセット」を勧めて注文させていた。 なるほど複数の客が同じセットを注文すると「普通に作って分けて出せばいい」ので効果的だと、納得してしまった。
食事を終えて外に出るとやっぱり寒い、前夜と同じ誰もいない夜道の散歩しながらパラドールへ戻るのだった。
・・・・・・・・ to be continued

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