◇ モラ・デ・ルビオレス-1
 (Mora de Rubioles-1) ◇


 しかし、テルエルは世界遺産も多くある町なのにシェスタ時間帯は町中の観光スポットがすべてクローズするとはどういうことよ! とぶつぶつ言いながら車に戻った。 さて、気を取り直して次の目的地に向かうのだ。

高速道路に戻り少し走り、目指す村の標識に従い高速道路を降りて一般道に入る。 前後には1台も車がいない道をしばらく走ると、目的地の村 モラ・デ・ルビオレス (Mora de Rubioles) に着いた。

村の入り口の小さなスーパーマーケットで2日分の朝食の材料を買ってから村へと入る。 この村では城の近くの家を予約していたのだが、場所がよくわからなかったので少し不安が・・・。

村の中心らしい小さな広場から狭い道に入り城を目指す、この道は石畳で車1台分の幅しかなくて、そこを住民がゆっくりと歩いているので走り辛い。 狭い石の門を抜けると左手の坂の上に城が見えた。

門を通り抜けたところ、小さな教会の横の小さな広場に1台分駐車スペースがあったので、そこに車を滑り込ませる。 レンタカーオフィスのお姉さんお勧めの3ナンバー日本車ではこんな狭い道は走れないところだった、ヨーロッパではコンパクトカーがいちばんなのだ。

さて、宿を探そう。

住所はだいたいこのあたりって感じで、Google Mapのストリートビューでもそれらしき建物が見当たらなかったのだった。 坂道の上のお城まで行ってからそれらしき家を探す、みんな普通の家だなぁ、宿っぽいところないなぁ。 誰も歩いていないので聞くこともできない。

前日にメールで「到着予定時刻は17:00予定」と連絡したら、「了解、Pilarが対応するので連絡はPilarまでお願い、電話番号は********」って返信がきていた。 時刻は16:55だ、少し焦ってきた。

なんとなくそれらしい家を見つけたが入り口の表示が全然違う・・・ 自力で探すのはあきらめて、Pilarに電話することにした、ところで Pilarって誰だろう?

携帯電話を取り出しダイヤルしていたら、突然ぼろい車が走ってきて目の前に停車した。 窓から運転していたおばさんが顔を出して、「あなたたち、---さん?」って聞いてきた・・・ このおばさんが Pilarだった!

Pilarは車から出てきて、ようこそ、ここが宿ですよさあ入ってと、なんと目の前の家の中へと案内するのだった。 この家、名称が全然違うんですけど???

この家が探していた宿だった。 オーナーの Esabel が部屋から出てきた。 おっと、めちゃくちゃ早口のスペイン語だぞ、英語はだめみたい。予想通りだったがあまりの速さに聞き取れない。旦那まで出てきたがこちらも当然英語だめ。

Isabel とのコミュニケーションはあきらめて、Pilarから部屋の説明を聞くことにした。 宿帳への記載を丁寧に説明してくれのだが、彼女も普通の速さでスペイン語を話すもんだから、コミュニケーションが大変だった。 我々が初めての日本人ゲストだと言っている。 アルバラシンの宿のおばさんも同じこと言っていたなぁ。

Pilarから家のルールと部屋の説明を(苦労しながら)ひととおり聞いて、やっと落ち着くことができた。 いやいや、ホテルやパラドールは英語が通じるので楽だけれど、部屋を貸し出している宿ではオーナーがスペイン語オンリーなのでなかなか大変だな、まぁこれはこれで面白いけど。

部屋に荷物を運び込んでひと休みしてから村の散策に出かける。 まずは、村の中央にある広場へ行く。 まだ日は高いが時刻は夕方なので広場 (Plaza de la Iglesia)にはそれなりの人がいた。 インフォメーションが開いていたので村の地図をもらって、お姉さんに見どころを確認する。

宿の横のお城は今夜コンサートがあり準備のため今日は見学できない、明日なら入れる。 お城とは反対側の丘の上には城壁跡があって村が一望できるとのこと。 お城はシェスタ時間は閉まるので注意してねと言われた。

地図を見ながらぶらぶらと歩く。小さな村なのであっという間に全体を把握してしまった。
広場近くに肉屋さん発見、生ハムがおいしそうだったので「これちょうだい」というと、何枚欲しいの?と聞いてくる。 枚数を伝えると目の前でスライスしてくれた。 部屋での朝ご飯のときに食べるのだ。

いったん部屋に戻ってから、洗濯をする。 大きな洗濯機は表示がスペイン語で使い方がわからない。 Esabelに聞きながらなんとか動かすことができた。 しかしこの国の洗濯機はいったん回し始めると終了するまで待つしかない。 一旦停止ができない、かつ、ものすごく長い時間かかるのだった。

洗濯機が止まるのを待ってから夕食に出かけた。
夕食は、広場近くのバルレストラン。 21時は外はまだ明るくて開店直後のまだ早い時間、店はガラガラ。
ウェイターが来たので、 Quiero una cerveza por favor? と言ったら驚いていた、その反応が楽しい。でも彼の suave o fuerte? には即答えられなかった・・、残念。

ビールは、AMSTEL というブランドになっていた。
サラゴサの AMBAR もおいしいビールだが、この AMSTEL もまたおいしいのだった。 セビージャのビールだったかな。

絶対に食べると決めていた 「テルナスコ (Ternasco)」という子羊の肉をオーダーする、この地方の名物料理を食べるのを楽しみにしていたのだ。 テルナスコが登場、ラムチョップのような感じで柔らかくてジューシーで少し焦げた感じの味は想像を超えたおいしさだった、赤ワインとの相性も抜群だ。

大満足して食事を終えて店を出ると、出たところの入り口横のテーブルから誰かが突然声をかけてきたぞ! おいおい、この村には知り合いはいないぞ、誰だ?
最初に私がビールをスペイン語でオーダーしたときに、びっくりした顔していたウエイターの兄ちゃんだった、お友達と一緒に飲みながらワイワイやっているではないか、おいおいまだ営業時間中だぞ。 でも、なんだかおおざっぱでいい感じだな。


・・・・・・・・ to be continued


 



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