◇ テルエル (Teruel) ◇


 おばさんの家ではとても快適に過ごすことができた。 部屋は広く日中でも涼しくて、家の中も外もとても静かで落ちつく。

朝ごはんを食べ終わって部屋に戻る途中、気分が良いのでちょうどBGMで流れていた Fly me to the moon に合わせて歌っていたら、突然おばさんが登場して笑顔で拍手された・・ あーびっくりした、というかすごく恥ずかしかった。

チェックアウトのとき、おばさんに「日本のうちわ」と「折り紙の鶴」をあげたら、とてもよろこんでくれた。

さて、今日は移動日なので、西へと移動して小さな村へと向かうのだ。 途中のテルエルという町に寄ってゆこう。

テルエル (Teruel) は世界遺産に登録されている「ムデハル様式の建築物」が4つもあって、「テルエルの恋人の悲恋物語」で有名らしい。 サラゴサで食べたハムも「テルエルハム」だったし、これはもう行くしかないでしょ!

アルバラシンから西に向かって40分走るとテルエルに到着、想像していた以上に大きな町だなぁ。 どこに車を停めようかなと思いながらゆっくり走っていると、目の前に水道橋が出現した。 この近くにしよう、ちょうど1台分だけ路上駐車できそうだし。

車を停めて現在地を確認すると、町の東の端にいることがわかった。 OK、ぶらぶら歩き開始だ。 まずは目の前の水道橋に行く。

この水道橋は2層構造になっていて上が水の通路で下が人が通る道になっている。 驚いたことにこの下の道は普通に人が歩いているではないか。 うーん、この道が生活道路とは・・・

期待が大きくなってきた、中心部へ向かって歩き出す。
最初は「サン・マルティンの塔 (Torre de San Martin)」だ。 普通の道の横に、普通にその塔はあった。 確かに彫刻がすごい、これが世界遺産のムデハル様式というものか・・・ ってサラゴサでも見たでしょ、アルハフェリア宮殿とか、ラ・セオとかも同じくくり(アラゴンのムデハル様式の建築物)の世界遺産。

ムデハル様式 (Estilo Mudéjar) は、キリスト教建築とイスラム建築が融合したもので、レンガとタイルで幾何学文様の装飾をするのが特徴。 なるほど、この塔の彫刻は、まさに「幾何学的」としか言いようがないなぁ。

さて、大聖堂を見に行こう。
「サンタ・マリア大聖堂 (Catedral de Santa María de Mediavilla)」は世界遺産で、システィーナ礼拝堂にも匹敵する素晴らしい天井があるらしい。
おっと、大聖堂は改修工事中だ、ものすごく大きな音で絶賛工事中、さらにシェスタの時間で閉まっているぞ、残念。 工事にはシェスタないんかい!

大聖堂はあきらめて、「エル・サルバドールの塔 (Torre de El Salvador)」へと向かう、なんと通りの真上にあって真下をつ売り抜ける構造だった。 ここは塔の上に登れるらしのだが時間的に厳しいと考えパス。この塔もまた幾何学的な模様がすごい。 ただ、二つの塔はよく似ていて、というか同じ塔に見えるのだ。

エル・サルバドールの塔に登るのはあきらめて、すぐ近くの「エスカリナータ (La Escalinata)」へと向かう。 この「階段」という名前の場所は、やはりムデハル様式に統一された大階段なのだった。

「テルエルの恋人」のハイライトシーンが正面の壁に大きく彫られている。 これが有名な悲恋物語なのだろう。
悲しい恋の物語は、以下参照(地球の歩き方のサイト)
https://tokuhain.arukikata.co.jp/valencia/2013/10/post_124.html

この階段に座って休んでいたら、カメラ片手の観光客が近寄ってきて「シャッター押してくれませんか?」と言ってくる。 これが次々に来るのでちっとも休憩できないのだ。最後にはビルバオに住んでいるカップルがやってきて「一緒に写真とろう」とか「僕は日本に行ったことがあるんだ」とか、ごちゃごちゃうるさい。 女性のほうが「迷惑だからもう行きましょう」と言ってもどんどん話しかけてくる、まったくもう、うるさいスペイン人だったなぁ。

やっと騒がしいカップル(男性のほうだけ?)がいなくなったので、この大階段から移動する。 次は広場に行くのだ。


坂道を登ったところにその広場はあった。 「トリコ広場 (Plaza de Torico)」には大勢の観光客がいた。 ここがテルエルの中心なんだろう。Tricoとは「小さな牛」という意味らしい、どこに牛がいるのだろうか? あっ、広場の中央にある噴水の一番上の像が牛っぽいぞ、あまりに小さくて、そう言われなければ牛だとはわからない。

「牛が小さすぎる」とぶつぶつ言っていたら、突然話しかけられた。 上品な感じの現地のおばさんが、なんと日本語で話しかけてくるではないか! 日本に住んでいたとのことで一緒にいた娘と孫も日本語を話すのでまた驚いた。 近くに住んでいるとのことで、テルエルはスペインで一番良い町だわ、と自慢するのだった。

あまり長いする訳にもゆかないので、最後に「サン・ペドロ教会 (Iglesia de San Pedro)」へ行く。 ここは例の「フアンとイサベルの棺が並んで置かれている」ので、これは必見だろうと思ったから。

教会は閉まっていた、やっぱり・・・。 すぐ横のインフォメーションで確認すると、ここテルエルではほとんどすべての見どころがシェスタ時間は閉まっているとのこと。 16時になれば一斉にオープンするのでそれまで待ってね!と軽くお姉さんに言われてしまった。

がっかり、移動時間を考慮すると、とても16時までは待てないのだ。 教会の前の銅像の写真を撮るしかないのであった。 残念。

なるほど、全部閉まっているから観光客は広場で時間をつぶしていたのだと納得した。 しかし、観光都市なのに一斉に閉めるかなぁ? スペインで一番の町というのであればもう少しそのあたりを考えて欲しいものだ。

ぶらぶら歩いて水道橋まで戻ってきて、テルエル観光は終了した。


(ちょっと雑談)
ヨーロッパには、テルエルの恋人のような「悲しい恋の物語」があちこちに残っている。
テルエルの恋人の話も、どうしてもポルトガルのアルコバサ (Alcobaca)で見た「ペドロとイネス」の悲しい物語を思い出してしまう。
古くは「ロミオとジュリエット」かな?
http://www.hiro500.com/portugal/port7.html




・・・・・・・・ to be continued


 



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